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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル/円は150円に向けて上昇か? 米ドル/円と米金利
の相関性に注目が集まる! 円安を阻止する介入実施の
条件の1つ、145円の突破はクリア、もう1つの目安は?

2023年08月17日(木)16:30公開 (2023年08月17日(木)16:30更新)
西原宏一

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最強通貨スイスフランは今週も史上最高値を更新!

 みなさん、こんにちは。

 このコラムで注目している“最強通貨”のスイスフランは、今週も続伸。スイスフラン/円は一時166.42円と史上最高値を更新しました。

スイスフラン/円・日足
スイスフラン/円・日足

(出所:TradingView

 これでスイスフラン/円は、年初来7カ月半で29円近く上昇したことになります。

 いったい年間でどこまで上がるのでしょうか?

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は介入懸念もあり、138~145円のレンジを維持か。悪材料続出するなか、169円を目指して続伸中のスイスフラン/円と、160円に向かうユーロ/円に注目!(2023年8月10日、西原宏一)

 ユーロ/円も159.36円と160円に向けて年初来高値を更新中。

 今週も最強通貨スイスフランが牽引する形でクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は続伸しています。

 ただ、今月のクロス円上昇の内容には大きな変化があります。

 年初来からのスイスフラン/円は、米ドル/スイスフランでの米ドル安と、米ドル/円でのドル高という米ドルに対する方向性の相違で急上昇してきました。

 ところが今月は違います。

 下図は、月初来の米ドルの主要通貨の騰落率です。

主要通貨の対米ドル騰落率(2023年8月1日~17日)
主要通貨の対米ドル騰落率(2023年8月1日~17日)

 今月はまだ2週間という短い期間での推移ですが、英ポンドから、豪ドルまで全て米ドル高に推移。

 この米ドルに対する弱さの相違でクロス円が上昇しているだけで、この2週間に限っては単なる米ドル高相場と言えます。

 当然、米ドル/円もその影響を大きく受けています。

米10年債利回りの上昇が米ドル/円を押し上げる

 米ドル/円は、6月30日に145.07円という高値に到達した後、あっとう間に137.25円まで急落しました。

 先月末の日銀金融政策決定会合の結果を受けて、米ドル/円は反発。

 その発表が巧妙だったため円安が進む、という見方は過去のコラムでご紹介させていただいた通りです。

 ただ、それだけだと137円から145円まで8円弱ほど押し上げるだけで、ここを抜くのは難しいと考えていました。

 しかし、そこに米ドル金利上昇という援軍が現れました

米ドル/円・日足
米ドル/円・日足

(出所:TradingView

 米ドル金利の上昇が後押しし、今週(8月14日~)の米ドル/円は節目の145.00円を突破してきました。

 米ドル金利の上昇のきっかけはFOMC議事録です。

 日本時間8月17日未明、FOMC議事録でインフレが鈍化しない可能性を当局者の大半が懸念し、利上げ継続が必要になり得るとの見解が示されたことで、米国債相場では10年債利回りが昨年10月以来の高水準である4.276%まで上昇。

米10年債利回り・日足
米10年債利回り・日足

(出所:TradingView

 サマーズ元米財務長官は、最近の米10年債利回りの上昇は今後も続く可能性があると指摘しました。

サマーズ氏、米10年債利回り上昇続く公算大きい-今後10年で4.75%に

(出所:Bloomberg)

 一時、米ドル/円と日経平均の相関性が急速に高まっている時期がありましたが、現在、その相関性が切れて、過去2年間で相関性が極めて高かった米ドル/円と米ドル金利との相関性にマーケットの注目が戻っています

 この相関性からいえば、米ドル/円は再び150円に向けて上昇することになります。

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政府・日銀の介入の条件のひとつは145円超え、そしてもうひとつは?

 前述のサマーズ元米財務長官が指摘するように「米10年債利回りが4.75%もしくはそれ以上になる」のであれば、米ドル/円は再び150円に向けて上昇する公算が高くなります。

 それを阻止するのが政府・日銀の介入。

 介入のタイミングに関しては、意見が分かれています。

 例えばバンク・オブ・アメリカ(BofA)のアダーシュ・シンハ氏。トレーダーが日本当局による外国為替市場への介入のリスクに備えるのはまだ早いと語っています。

円は介入までに1ドル=150円まで下落する可能性-BofA

(出所:Bloomberg)

 政府・日銀は150円という水準をめどに介入すると言う見方。逆にいえば、150円までは介入しないのでしょうか?

 一方、マーケット参加者の多くは、昨年、米ドル/円の為替介入に踏み切った要因は下記の2つと考えています。

1.米ドル/円の145円超え
 2.米ドル/円のボラティリティ(振れ幅)が急速に高まった時

 ここで問題なのは、米ドル/円のボラティリティが急速に高まった時というのは、具体的にどういう局面なのか?

 この点に関して、「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」でもお世話になっており日本一為替に詳しいライターの高城泰氏は、前日比に注目しているようです。

高城泰/FXコレクティブ
 

(出所:高城泰/FXコレクティブ (@takagifx) August 16, 2023

 介入の条件については、当局がコメントするわけでもなく、参加者が推測するしかないわけですが、前日比1.2%以上の上昇というのもひとつの目安になるかもしれません。

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ユーロ/スイスフランは0.9400フランに向けてじり安に!

 と、ここまでコラムを書いてる間に、米ドル/円は146.56円と高値を超えてきました。

 詳細は次の機会に譲りますが、中国の大手デベロッパー碧桂園(カントリー・ガーデンHD)の失速報道が中国経済の悪化を印象づけており、米国株、日本株も失速。

 これがリスクオフの米ドル買いを誘引しています。

 また、今月初旬、欧州で取引される天然ガス価格が1日で40%急騰した報道があってから、ユーロ/米ドルの上値が徐々に重くなってきており、下値余地が拡大傾向にあります。

 スイスフランが強いというスタンスは変わりませんので、ユーロ/スイスフランが0.9400フランのレベルまで値を下げるのではないかと想定しています。

ユーロ/スイスフラン・日足
ユーロ/スイスフラン・日足

(出所:TradingView

 今月に入ってユーロ/米ドルの下落が鮮明に。

 スイスフランの強さは変わらないため、ユーロ/スイスフランは0.9400フランに向けてじり安推移に。

 スイスフラン/円は続伸。

米ドル/円は中長期のドル買いはキープしつつも、スウィングトレードは、日銀の為替介入の条件が揃って反落する局面待ち、とします。


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