8月10日は米CPI、インフレは収まるのか
先週(7月31日~)は、米雇用統計が発表されました。
ほぼコンセンサスどおりの結果でしたが、米金利は低下で反応しました。
(出所:TradingView)
細かく見ると、5月分、6月分の数字が下方修正されたため、「今までが過大評価だったのでは」との不安が高まり、金利が低下したのでは、との指摘もありました。
金利低下を好感したため、直後から株は買われています。
(出所:TradingView)
今週(8月7日~)、8月10日(木)は米CPI(消費者物価指数)が発表されます。前回が前年比+3.0%。今回は+3.3%の予想。
金利がピボット(政策転換)するのか、あるいは9月に再度の利上げがあるのか、利上げは見送るにしても、どこまで高止まりするのか――それを考える上でも、今週の米CPIは重要です。
米国の友人は「この水準からは下がりにくい」と繰り返し指摘していますし、物価に大きく関連する原油価格も、気になる水準にありますよね。
WTI原油、重要なレジスタンスへ
WTI原油は6週連続で陽線をつけて、ジリジリとボックス相場の上限、83ドル付近まで上がってきました。
背景にあるのが、サウジアラビアとロシアの動向。サウジは7月から行っている自主減産を9月まで延長すると発表しましたし、ロシアも原油輸出の削減を継続しています。
このまま金利が下がって、米ドル安が常態化するようだと、WTI原油がボックス相場を上抜けし、「7月からの上昇がトレンドの始まりだった」ということになるかもしれません。
(出所:TradingView)
先週は、アトランタ連銀が発表するGDP予想モデル「GDPNow」の7-9月予想が、+3.9%と非常に高かったことも話題でした。
先進国としては、尋常ではない高さですよね。
7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「リセッションは予想していない」と言い切ったところから、米長期金利の上昇が始まり、GDPNowも高い。
「景気はいいし、中国が景気刺激策を打つかもしれない、だったら原油は安すぎる」と考える投資家がいるのかもしれないですね。
バイデン政権の対中経済制裁にも注目を
原油が上がってくると、米CPIもこの水準で下げ止まる可能性があります。
そうしたら、米金利は再び上がり、株価が下がるかもしれませんね。
今年(2023年)始めに多く見られたのが、「金利で逆イールド現象が起きているから景気後退、株価が下がる」という意見です。
ところが、ここまで株価は上がっています。
株価下落を警戒して、資産を債券に逃していたファンドマネジャーは、パフォーマンスが上がらず苦しくなってきている。年末まで5か月を切って、彼らがどうするのか。
原油がリスク要因のひとつになるかもしれませんね。
83ドル台を上抜けてくると「あれ?原油が上がっている、インフレ再燃?」とのセンチメントになるかもしれないですし、ここからのWTI原油は注目ですね。
あとは、先週末に出たバイデン政権の対中制裁報道も気になりました。
米雇用統計後、上がっていた米株がガクンと下げたのは、このニュースが発表されたタイミングです。
報道によると、今日、8月7日(月)に状況説明、8月8日(火)に正式発表される見通しとのことです。
(出所:TradingView)
「お盆の円高」、円を買うなら通貨ペアは?
今週から日本はお盆入りです。
8月は円高になりやすいアノマリーが知られていますが、過去20年で見ると、米ドル/円が下がる確率は50%から75%ほどですが、豪ドル/円は80%が円高となっています。
ということは、豪ドル/円のショートですか?
ただ、今年の豪ドルは円の次に弱い通貨。年初からスイスフラン/円が20円以上も上がったのに対して、豪ドル/円は10円も上がっていません。
そのため、豪ドル/円をここから売りたくはないですし、かといって中長期で強気なスイスフランも売りたくない。
そのため、米ドル/円の売りで考えています。
お盆になると、円高の記憶がありますね。
8月15日の±5営業日前後は、気持ち悪いですね。流動性も薄くなりますし、動き出すと止まらないイメージもある。
米ドル/円は、145円より上は介入警戒で重いですし、大きく見れば135円から145円のレンジかもしれませんが、今週は戻り売り目線でいいかと考えています。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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