米ドル/円は153.60円まで下げたが、反発。長引くインフレ、為替市場への影響は
先週(5月13日~)は、米CPI(消費者物価指数)と米小売売上高、2つの米経済指標で米金利が低下し、米ドル/円も153.60円まで下げましたが、週末にかけて反発しています。
(出所:TradingView)
しばらくはレンジかもしれませんね。
世界的にインフレがテーマで、戦争が収まらず軍事支出は増大する。シンプルに考えればゴールド、株、不動産を買えばいいし、そうなっているのですが、為替市場は別。
「米インフレで米金利高、米ドル高」は理解できるのですが、ゴールド高・米ドル高がこれまでの相関と相違して、相場を難しくしています。
米利下げ開始は9月との織り込みが中心ですが、「意外と7月へと前倒しされるかもしれない」となれば、米ドル安が進む余地もありそうです。
ただ、米国が利下げすれば他国も利下げする。ECB(欧州中央銀行)も6月利下げがほぼ確実で、突出する国がありません。
そうなると為替市場は動きが出にくく、レンジが続いてしまう。
米ドル/円は当面152円から157円、158円程度のレンジか
各国が利下げに向かうなか、日銀だけは利上げを控えています。円高になる可能性はありませんか?
昨年末(2023年末)もそう言われたのですが、米ドル/円は今年(2024年)、もっとも上がっている通貨ペアのひとつです。
個別に見れば、さまざまなヘッドラインが出るのですが、そうした点が線になりません。
先週は日銀の国債買入オペが注目されました。
5月13日(月)のオペは買入額を減額し、円高が進みましたが、5月17日(金)は据え置きで円安へ。
次回のオペは5月23日(木)の10時10分。また減額となれば円高方向に走る可能性があります。
これで153円、154円にいるならまだわかりますが、週末は155円台後半。思ったよりも高いところにいるのですが、介入警戒もあり158円は抜けないでしょう。
かといって、152円を割るようなこともなく、当面は152円から157円、158円程度のレンジでしょう。
(出所:TradingView)
三角持ち合い的に上値・下値のレンジを狭めてく、エネルギーを貯める段階かもしれませんね。
エヌビディア決算は5月22日。今回も反落すればトリプルトップのような形に
週末には、農林中金(農林中央金庫)が保有する外国債券の含み損を処理するため、1.2兆円の資本増強を検討しているとのニュースも出ました。
ただ、これが去年3月に起きたSVBショックのような連鎖的な信用不安につながるとは思いません。
週明けの地銀株には影響が出るかもしれませんね。「農林中金のようなポートフォリオになっているのではないか」との連想が働きやすいですから。
今週(5月20日~)はニュージーランドの政策金利発表が5月22日(水)に控えていますが、据え置きの見通しです。
ニュージーランドドル/円は2014年高値を抜けてきました。中国経済の停滞を気にしているため、南半球通貨の買いには慎重だったのですが、このところ中国と南半球通貨の相関が切れてきたようでもあり、買ってもいいかなと思っています。
(出所:TradingView)
イベントでは、5月23日(木)にエヌビディアの決算発表です。エヌビディアの株価は過去2回止められた高値付近にあり、今回も反落させられるようだとトリプルトップのような形となります。
(出所:TradingView)
そうなるとチャートの形は悪くなりますね。
ニュージーランドドル/円の押し目買いも
VIX指数は12ポイントを割り込むほどに低下しており、コロナ禍以降の最低水準。楽観が非常に強まっています。
もしエヌビディアの決算が悪いと、米国株全体が反落ムードにつつまれるかもしれません。
(出所:TradingView)
米国株が下がれば、ニュージーランドドル/米ドルや豪ドル/米ドルといった南半球通貨も下がるでしょうね。
ユーロ/スイスフランの上昇トレンドは変わりませんが、米ドル/円はしばらくレンジを見込んでいます。
スイングトレードはやりづらいでしょうから、レンジを前提に細かく取っていくか、ニュージーランドドル/円の押し目買いでしょうか。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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