FRBの6月の利下げ織り込みは50%割れへ
先週末、4月5日(金)に発表された米雇用統計は強かった。インフレはまだ収まっていません。
原油価格も上がっていますし、繰り返しになりますが、インフレ退治は「最後の1マイル」が本当に遠い。
FRB(米連邦準備制度理事会)の6月の利下げ織り込みも50%を割ってきました。
6月がムリだとして、7月に利下げできるかというと、それもわからない。
今年(2024年)は6回利下げなんて言われていたのが2回まで減り、米長期金利(米10年債利回り)が4.4%まで上がってきました。
岸田首相の訪米と神田財務官の「奇策」
ところが、あれだけ強い米雇用統計でも、米ドル/円は152円に届きません。
152円を超えれば政府・日銀が介入するかもしれないという中で、手前を買っていくのはトレーダーの発想では難しいですよね。
(出所:TradingView)
そんな中、岸田首相が今日(4月8日)から7日間の日程で訪米します。4月10日(水)は日米首脳会談も開催されます。
一般的には、首脳会談中の介入は避けるだろうという見方ですが、そうであれば、会談終了後の東京時間に入ればいいわけですし、神田財務官は異例な手法を好むので、どんな手を打ってくるかわかりません。
米CPIは4月10日、気がかりな財務官大物OB発言
今週(4月8日~)は、4月10日(水)に米CPI(消費者物価指数)、4月11日(木)に米PPI(卸売物価指数)が発表されます。
高めの数字が出る予想です。経済指標で152円を超えれば、次の日の東京時間で介入が入る可能性もあるでしょう。
先週(4月1日~)は山崎・元財務官が152円超えでの介入を指摘していました。
財務官OBの発言ですから、重みはあります。コンセンサスは154円、155円レベルでの介入ですが、それを待たずとも入る可能性が高まったと考えています。
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米ドル/円はオプションの影響で下値も堅い
152円は届かないですが、下値も堅いですね。
オプションの影響でしょう。オプションでロングを持っていれば、151円台を売り上がって151円台前半で利食いといった戦略で回転させますから。
介入に備えた戦略は?
152円を超えれば152.50円くらいまで上がって、そこで入らなければまた上値を試してといったイメージです。
155円はさわらないでしょうし、その手前の154円に届くかどうかも怪しい。
いずれにせよ、介入といってもスムージング・オペ(過度な変動を抑えるための為替介入)でしょうし、5円下がっても耐えられる資金管理であれば買ったままでいいのでしょうし、そうでなければ150円、149円といった水準に買いの指値を並べておいてもいいのでしょう。
ユーロ/米ドルは、ユーロ/スイスフランが上がっていると、基本的に下がらない
今週は英国、カナダ、ユーロ圏で政策金利が発表されます。
どれも据え置きがコンセンサスですし、サプライズもなさそうです。
ECB(欧州中央銀行)は6月利下げの織り込みが94%。ユーロ/米ドルではパリティ予想などもありますが、ユーロは下がらないと考えています。
その理由は?
ユーロ/スイスフランが上がっていると、基本的にユーロ/米ドルは下がらないためです。
ECBが6月に利下げしたとしても、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])が追随します。
スイスの6月利下げの織り込みは100%です。そうなると、ユーロ/スイスフランは下がりにくいですから、ユーロ/米ドルも基本大きくは下がらないでしょう。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
米ドル/円が152円にタッチすれば、149円、150円といった水準に買い指値を出して、介入を待ち構えるのもいい
今週の戦略はどう考えますか?
イスラム圏では、明日(4月9日)がラマダン(断食月)明けになります。それをきっかけに中東マネーが入るとの指摘もあり、まずこれが注目。
また、今週は日本株のSQ(特別清算指数)週です。4月はマイナーSQですが、今年はメジャーSQよりもマイナーSQのほうが動いているため、これにも注目です。
為替では?
ユーロ/円のロングがいいかもしれません。もし米ドル/円が介入で下がってもインパクトは緩和されるでしょう。
米ドル/円は152円にタッチすれば動意が出てくるでしょうから、149円、150円といった水準に買い指値を出して、介入を待ち構えるのもいいと思います。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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