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西原宏一_メルマガ取材記事
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドル/円は、早ければ11月にも135円台が射程圏内!?
逆石破ショックの本質は? 投機筋の円買いポジション
は一掃、2023年安値を割りこみ大きな下落波動へ!

2024年10月04日(金)18:24公開 (2024年10月04日(金)18:24更新)
陳満咲杜

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「逆石破ショック」は、石破氏の変貌ぶりに戸惑った市場が「株買い」と「円売り」で応酬した結果?

 「石破ショック」でサプライズがあったと思いきや、今度は「逆石破ショック」がみられ、米ドル/円は大荒れとなった。「逆石破ショック」の本質に迫ってみたい。

 前回(9月30日)本コラムが指摘したように、そもそも「石破ショック」と呼ばれることに違和感があった。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は137円台前半をめざすだろう。逆張りは禁物!思惑で急伸した米ドル/円が下落するのは当然の成り行き。本流は米ドル安。「石破ショック」後の市況のほうが正常(2024年9月30日、陳満咲杜)

 そうなると、「逆石破ショック」もふさわしくないと思われるかもしれないが、筆者は今回の言い方は合っていると思う。その理由を解釈するため、もう一度市況の経緯を整理してみよう。

 自民党総裁選に関する思惑があって、9月27日(金)、米ドル/円はいったん146.50円まで買われた。市場関係者(と言ってもヘッジファンドなど投機筋がメイン)が安倍元首相の継承者とされる高市さんの当選に賭け、また一部報道されたように、高市さんが有望だったこともあって、米ドル買い・円売りが推し進められた。

 しかし、石破さんが選出されたことが伝わると、米ドルがたちまち売られた。当日でも142円の節目に迫ったほどで、日足では「弱気リバーサル&アウトサイド」という大陰線を形成した。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 このままなら円買い筋の勝利が見えた、と思われたが、米ドル全体(ドルインデックス)の下げ一服、また本質的に言えば米金利の下げ一服があって、その後、141.65円以下に押し切ることができず、逆に10月2日(水)には大きく上昇した。肝心なのは、9月27日(金)の高値を更新したことで、今度は大きな「逆のサイン」が点灯したことだ。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 円売りの再燃はほかならぬ、石破首相が同日に日銀総裁と面談し、早期追加利上げの可能性を否定したとの報道があったからだ。市場は大きなサプライズを覚え、投機筋の円買いポジションが踏み上げられたと推測される。

 前回の「石破ショック」と違い、今回は「逆石破ショック」との呼び名がふさわしいと思うのも、ほかならぬ、そのサプライズが理由だ。

 言ってみれば、石破さんは選挙前の主張のほとんどを撤回し、「財政規律を重視、金融緩和の継続反対」といった核心的な政策も放棄したと思われる。早期解散や原発推進なども、選挙前の話とまったく違っているから、マーケットは戸惑いながら、「株買い」と「円売り」で応酬しているように見える。

 政治家の二枚舌に今さら誰も本気で驚かないが、岸田路線の全面継承まで変貌する石破さんの姿には、筆者を含め市場参加者の大半が、やはり覚悟ができていなかったと思う。

 この意味では、今回のショックは本物で、「逆石破ショック」の呼び名がふさわしいと思う。

米ドル/円が急伸した背景に、投機筋による拙速な円買いと損切覚悟の投げ売りがあったはず

 しかし、それにしても米ドル/円の反応は激しかった。石破さんの変心がきっかけだったとはいえ、ここまでの米ドル/円の急伸は、やはり内部要素から検証しないと本質に触れられないだろう。そのカギは、やはり国際的な投機筋の動向にあるかと思う。

 9月28日(土)にリリースされたCFTC(米商品先物取引委員会)の統計では、円のネットポジションは買い超で6万6千枚を超え、2016年10月以来の高水準であった。円高が進まないと、円買いポジションの積み上げが逆に「円売りのマグマ」と化すリスクがあった。

 実際、市況は二転三転しながら、執筆中の現時点まで円安の方向に再度振れ、ポジションの解消が伴ったと推測される。投機筋の多くは市況に翻弄されながら、円買いポジションを維持できなくなり、損失覚悟の投げ売りを余儀なくされたはずだ。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

 なにしろ、日米政策金利差がなお大きいから、投機筋の性質上、ポジションを長く持てないはずだ。過去に6万超の円買いポジションが積み上げられた時期においては、日米金利差(政策金利)が小さかった。現在は4%以上の開きがあり、また過激な米利下げ観測の後退もあって、本格的な円買いが本来なら生じにくい。

 したがって、今回の円買いポジションの積み上げも、7月前半までの円売りバブルと同様、投機筋主導で、また同じく失敗に終わった。

 さらに言うなら、米ドル全面安の本流と相まって7月前半まで「歴史的」な円売りバブルがあり、またその崩壊があったからこそ一転して投機的な円買いが行われたと言える。

 相場はいつも行きすぎを繰り返し、またバランスを再構築する間、投機筋主導の値動きになりやすいから、投機筋による拙速な円買いがあった背景には前回の円売りの失敗があり、その「後遺症」の一部として理解したらよりわかりやすかったと思う。

米ドル/円は、健全なベアトレンドへ。早ければ11月には135円台の下値打診も射程圏内に

 ゆえに、確かに目先、投機筋の失敗があって米ドル/円の切り返しが進行しており、また場合によっては一段と上値余地(筆者は最大150円台半ば~151円台前半と見込んでいるが、あくまでサプライズ・シナリオであることにご注意)を拡大するが、米ドル/円のベア(下落)トレンドの終焉などとはまったく思わない

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 むしろその真逆が正解だと思う。すなわち、今回の「逆石破ショック」があったからこそ、米ドル/円は十分な切り返しを果たし、これからより「健全な」ベアトレンドを形成できるはずだ。

 したがって、再度頭打ちになれば、米ドル/円は大きな下落波を推進することができ、早ければ来月(11月)にでも137円台どころか、135円台の下値打診も射程圏内にとなるだろう。投機筋の円買いが一掃されたからこそ、「身軽」な下値トライができる、という理屈である。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 その詳細についてはまた次回に譲るが、米ドル全体(ドルインデックス)においても同じロジックであることを最後に強調しておきたい。

 ドルインデックスの切り返しがあっても、しょせん「コップの中の嵐」、早晩2023年安値を割りこみ、大きな下落波動を推進していくだろう。市況はいかに。

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