石破ショックや中東情勢悪化でリスクオフ加速も、石破総理の「追加利上げの環境にない」発言などで、リスクオフは急速に鎮静化
みなさん、こんにちは。
先週(9月23日~)から本日(10月3日)にかけての為替市場は荒れ模様となっています。
まず石破ショック。
【※関連記事はこちら!】
⇒石破ショックは長く続かず、新NISAへの影響も限定的! 自民党敗戦回避のため、株対策が出てくるかも。中国の景気支援策で中国株が大幅高。豪ドル/円の押し目買い検討(9月30日、西原宏一&叶内文子)
先週金曜日(9月27日)の自民党総裁選決選投票で、石破氏が勝利したことがマーケットの失望を呼び、リスクオフへ。
高市氏勝利を織り込んで上昇していた日経平均と米ドル/円も、あっという間に暴落。
(出所:TradingView)
特に米ドル/円は「これは介入なのか?」と思わせるスピードで値が飛んでいます。
今回の事で「ISHIBA」という名前は、為替介入と同じ規模とスピードで円高を引き起こすワードとして、欧米勢で一躍有名になったぐらいです。
そして、今週(9月30日~)になっても金融市場には悪材料が続きます。
10月2日(水)未明、イランがイスラエルに向けて200発近いミサイルを発射したと、イスラエル軍が発表。
イスラエルへの直接攻撃は今年に入って2度目です。
ミサイルの多くは迎撃されたようですが、イスラエル南部や中部で一部が着弾している模様で、Bloombergも以下のように報じています。
ブルッキングス研究所中東政策センターのブルース・リーデル氏は「少なくともイスラエルとヒズボラの全面戦争が始まる瀬戸際にある。そうなればレバノンには壊滅的な被害が及び、イスラエルには多大な苦痛が伴うだろう」と発言。
「イランが参戦すれば、中東全域にリスクが及ぶ」と述べた。
(出所:Bloomberg)
このバッドニュースが株の急落を誘引し、リスクオフがさらに加速。
米ドル/円とクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は再び上値の重い展開となりました。
ただ、石破ショックは、石破総理自ら「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」とコメントしたことから、急速に沈静化。
そして、マーケットを震撼させた「イランのミサイル攻撃」も、ある程度織り込み済みだったこともあり、buy the facts(事実買い)による株やクロス円の買い戻しも散見され、マーケットに覆いかぶさっていたリスクオフという厚い雲も、急速に消えていきました。
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豪ドル円は110円超えを目指す。2015年以来の大幅高を演じている中国株が支え
一方、石破ショックやイランのミサイル攻撃というビッグニュースが際立っているため、見過ごされがちですが、先月(9月)後半からマーケットの流れを大きく変えるような動きがあります。
それは、中国株の急騰です。
石破ショックやミサイル攻撃などのヘッドラインほど目立たないため、いまひとつ注目度は高くありませんが、多くのヘッジファンドが注目しているのが、中国政府が行っている一連の経済対策。
(出所:TradingView)
9月24日(火)には、潘・中国人民銀行総裁らが記者会見で景気支援策を発表しました。
まず、預金準備率・中銀リバースレポ金利の大きめの引き下げ、そして不動産関連施策(住宅ローン金利引き下げなど) 、加えて株式市場安定化策も打ち出しています。
Bloombergも以下のように報道しています。
中国株、2015年以来の大幅高、強気相場に向かう展開
中国株は史上最も顕著な回復を見せ、9日連続で急騰した。
政府による景気刺激策が投資家を世界で最も低迷した市場の一つに呼び戻した。
CSI300指数は月曜日に6.5%急騰し、2015年以来最大の上げ幅となった。トレーダーらは、1週間の休暇を前にした最後の取引で株式を買い急いだ。
2021年の高値から9月中旬までに45%以上も価値を失った同指数は、それ以来20%以上も急騰し、テクニカル的には強気相場に向かっている。
先週の上昇は、2008年以来最大の上げ幅となった。
(出所:Bloomberg)
これまで僕は、一連の中国政府の経済対策を懐疑的にみていましたが、今回の経済対策はかなり大規模なもので、長期に低迷してきた中国経済を浮揚させるかもしれません。
それは、豪ドル/円の動向に大きな影響を与えます。
もともと僕は、豪ドル/円に対して強気なスタンス。
ところが中国経済が長期低迷していると、どうしても相関性の高い豪ドル/円の上値を抑えてしまいます。
ただ、今回の中国政府による景気刺激策はかなり効果的で、少なくもと低迷していた中国株を続伸させる力があると考えます。
中東情勢が混迷していることで、まだリスクオフに陥る局面もあると考えますが、中国株が底堅いことから、豪ドル/円は底堅い動きをしており、再び大台の100円台まで回復しています。
テクニカルをチェックすると、豪ドル/円の200日移動平均線が100.07円に位置しており、本稿執筆時でもこのラインを上抜いて推移しています。
(出所:TradingView)
また、豪ドル/円は他のクロス円と比較しても、上昇の遅れが目立ちます。
例えば、このコラムで頻繁に取り上げているスイスフラン円は昨年(2023年)、33円も暴騰していますが、豪ドル/円の上昇幅はわずか12円のみ。
現在、唯一の避難通貨であるスイスフランと、豪ドルを比較するのは厳しいともいえますが、他のクロス円と比較しても豪ドル/円の上昇は遅れています。
中東情勢の混迷や、石破ショックというマイナス材料で下げる局面もありましたが、2015年以来の大幅高となった中国株の上昇を横目に、豪ドル/円の上昇トレンドは継続。
110円超えを目指して続伸する豪ドル/円の行方に注目です。
(出所:TradingView)
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