米CPIが市場予想を上回り、市場関係者たちは米利下げが小幅になるだろう、といった「まともな推測」に行きついた!?
昨晩(10月10日)9月米CPI(消費者物価指数)や新規失業保険申請件数がリリースされ、為替市場はやや波乱の展開となった。
(出所:TradingView)
同CPIは市場予想を上回り、インフレ鈍化の流れはいったん休止が示唆され、ハリケーンの影響もあったのか、新規失業保険申請件数は1年ぶりの高い水準を記録した。
案の定、マーケット関係者はいろんな憶測を出してきた。しかし、肝心なのは、やはりそのすべてが憶測であるということで、マーケットのコンセンサスとしてまとまらないのも、いつものとおりだ。あえて言うなら、米利下げが小幅になるだろう、といった「まともな推測」に行きついたのではないだろうか。
「まともな推測」と言うのは、やはり「過激な推測」があったからだ。それはほかならぬ、先週末(10月4日)の米雇用統計のリリースまで、米大幅利下げ継続(次回も0.5%といった内容)の思惑が多かったが、同統計を受けて、今度は一転して「2024年内、再度利下げなし」といった憶測が広がったことだ。
だから、次回も継続的に利下げするが、0.25%程度に留まる、という内容の推測が「まとも」だと言える。そういったまともなコンセンサスができているなら、マーケットもそろそろ「まとも」な値動きを形成していくだろう。
米長期金利が4%の大台を維持するのは困難! 米長期金利はすでに頭打ちしたか、これから頭打ちするる可能性大
為替は米ドル次第、米ドルは米金利次第だ。米10年物国債利回り(米長期金利)は執筆中の現時点でも4%台を維持しているから、米ドルの強含みもしばらく維持できるだろうと示唆されている。昨日(10月10日)ドルインデックスが103の節目寸前を打診したのは、その一環としてむしろわかりやすいと言える。
(出所:TradingView)
※ドルインデックスは算出元によって数値が異なることがあるため、チャートは参考としてご覧ください
(出所:TradingView)
しかし、米長期金利がこの4%の大台を維持できるかと聞かれると、難しいと思う。米長期金利は米国債市場の取引で決定されるから、世界で一番流動性の大きい金融市場として当然テクニカル・アナリシスが通用する。
下のチャートが示しているように、米長期金利の急反発があっても、あくまで下落波動途中におけるリバウンドである。いくら利下げ思惑のブレがあっても、米利下げ周期自体は間違いなく続くから、米長期金利がガンガン上がっていく環境ではない。
(出所:TradingView)
そしてRSIを見る限り、すでに「買われすぎ」の段階まで来ている(2)。その上、4月高値に対応したRSIの水準(1)を超えており、同日の4.7%程度の米金利から考えて、RSIが典型的な「リバーサル」のサインを点灯している、と見える。
RSIの「リバーサル」はトレンドの途中の調整が完了したか、これから完了するサインである。同サインが本物なら、元のトレンドへ間もなく復帰する示唆として重宝される。
したがって、同サインが効くなら、米長期金利の反発がすでに頭打ちとなったか、これから頭打ちになる可能性が大きいだろう。
ドルインデックスも米長期金利同様、頭打ちの可能性が大きい
「リバーサル」のサインが鮮明に点灯している
同じように、ドルインデックスの日足におけるRSIも「リバーサル」のサインを鮮明に点灯している。
急騰したドルインデックスとは言え、6月半ばの105前半の水準に対して、昨日(10月10日)の終値は102.70程度にすぎなかったが、目下のRSI(2)が6月半ば(1)よりだいぶ高くなっているから、リバウンドの限界を示唆。同サインが本物なら、ドルインデックスの頭打ちも間近と推測される。
米ドル/円だけは性急な戻り売りを避けたいが、上昇余地があってもあくまで「コップの中の余地」
仮にドルインデックスがここから反落し始めると、まずユーロ、英ポンドや豪ドルあたりの主要外貨が反落から持ち直してくれるだろう。
いつものように、円は遅れる可能性が大きいから、主要外貨対米ドルの持ち直しが先行される場合、むしろ主要クロス円の一段続伸をもって米ドル/円の堅調につながる可能性さえある。
となると、目下ではやはり米ドル/円だけは性急な戻り売りを避けたい。
とはいえ、米ドル/円だけがブル(上昇)トレンドへ復帰できるといった見方は到底持てない。米ドル/円の切り返しは、目先なお上値余地があっても、あくまで「コップの中の余地」なので、米ドル安の本流は変わらないと思う。
(出所:TradingView)
詳細の検証はまた次回、市況はいかに。
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