昨日の海外市場でドル円は下落。トランプ米大統領のSNS投稿で中東情勢を巡る懸念が後退し、159.60円台を高値に158円手前まで売られた。原油先物の急落も背景に、ユーロドルも1.15ドル割れから1.1640ドルまで大きく切り返している。
本日の東京為替市場でドル円はイラン戦争に関する報道を見極めながら、不安定な動きが続きそうだ。トランプ米大統領はイランの発電所やエネルギー施設への攻撃を5日間延期し、米国とイランの協議継続に期待を示した。ただ、イラン側は協議実施そのものを否定しており、停戦や緊張緩和を織り込むにはなお早い。
市場はひとまず軍事行動の先送りを好感し、原油先物は大きく下落した。ドルも主要通貨に対して売られる場面があった。ただ、これは情勢改善が確認されたというより、最悪シナリオがいったん後ろ倒しになったとの受け止めに近いとも言える。ホルムズ海峡を巡る不透明感はなお残り、エネルギー供給の正常化を見通せる局面には至っていない。
加えて、トランプ氏は協議進展に期待を示す一方で、交渉が不調に終われば攻撃再開も辞さない姿勢を崩しておらず、発言の振れがそのまま相場の振幅につながりやすい。東京時間も、協議進展期待によるドル売りと、軍事圧力再強化への警戒によるドル買いが交錯し、ヘッドライン主導の不安定な値動きが続く公算が大きい。
トランプ氏の昨日のSNS投稿を受けて、それまで売られていた米長期債も急ピッチで買い戻される場面があった(金利は低下)。ただし依然として4.3%台と水準として高い位置にいる。先週、米金融当局のタカ派的な姿勢を受け、一部で浮上した年内の米利上げ観測はさすがに鎮火したものの、「年内の利下げはなし」という見通しがかなり優勢だ。
先週発表された2月米卸売物価指数(PPI)が総合・コア指数いずれも強かったように、米国ではイラン戦争に伴う原油高の前からインフレ懸念はくすぶり始めていた。エネルギー価格の動向次第ではインフレが再燃し、長期化もあり得るだろう。こうした見方は、ドルの下支え要因として引き続き意識される。
なお本邦では本日、2月全国消費者物価指数(CPI)が発表予定。市場は、生鮮食品を除く総合が前年比1.7%と約4年ぶりの低い水準を予想している。とはいえ、先週の日銀金融イベントでは、中東情勢の悪化によるエネルギー高騰を背景としたインフレ上振れリスクが指摘されていた。本日に関しては、物価上振れ前の基調を確認するに留まりそうだ。
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