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■ユーロは底堅い動きを続けている
今週のユーロ/米ドルは、独IFO景況指数が良好だったこと、EFSF(欧州金融安定ファシリティ)債の起債が好調だったこと、そして周辺国の債券の利回りが上昇したことを背景に、引き続き底堅い動きとなっています。
ただ、1月第2週(10~14日)のような急騰劇はなりを潜めており、1.35~1.36ドル台でレンジ相場となっています。

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ユーロ/米ドルの上昇を先導していたユーロ/スイスフランも、1.3000フランのバリアを突破したにもかかわらず、上値は重い状況です。
高値は1.3069フランまでで、現在は1.3000フランを割り込み、1.2900フラン近辺で推移しています。

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その一方で、他のユーロクロスを見るとユーロの反発が続いており、ユーロ/豪ドルは1.3814ドル、ユーロ/円は112.93円まで反発し、高値をつけています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/豪ドル 日足)

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そして、今週に入ってユーロに対してのみならず、対円、対米ドルでも大きく値を崩した通貨があります。
それは、英ポンドです。
■イギリスはスタグフレーションに陥ったのか?
今月に入り、他のユーロクロスの反発に連れてジワジワとユーロの買い戻しが進んでいたユーロ/英ポンドですが、英ポンド自体の悪材料から、1月25日に急騰しています。
英ポンドの急落のきっかけとなったのが、この日に発表された英国の第4半期GDPで、速報値はマイナス0.5%(市場予想は0.5%)とかなり弱い内容で、市場を驚かせました。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国GDP成長率の推移)
加えて、オズボーン英財務相が「BOE(英中銀)には金利をより低位に、かつ長期に設定する裁量がある」と発言したことで、BOEの利上げ期待は大きく後退し、英ポンドの上値はさらに限定的となりました。
スタグフレーションの懸念さえ浮上したため、英ポンド/米ドルは1.5900ドルから1.5750ドルへと急落したのです。

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先週発表された英国のCPI(消費者物価指数)が強めの数字となったことで、マーケットにはBOEの利上げ期待が強まっていました。そのため、今回のマイナスGDPの数字にマーケットは大きく反応したようです。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:欧州主要経済指標の推移)
英ポンドはユーロに対してのみならず、他の主要通貨に対しても大きく値を下げ、対米ドル、対ユーロ、対スイスフラン、対円といったところで、軒並み下落しました。

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某米銀からは、ユーロ/英ポンドは0.88ポンド、英ポンド/米ドルは1.47ドルという予測も出てきているようです。
その後、ユーロ/英ポンドは26日に反発していますが、25日の水準を回復できていません。

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ユーロの下落は一服しましたが、マイナスのGDPの結果により、これからは英ポンドの動きに注目でしょうか?
■グローバルマクロ勢はコモディティの動きを注視している
さて、前回のコラムでご紹介させていただきましたが、1月第2週(10~14日)にユーロ/米ドルのショートポジション(売り持ち)を手じまった友人のファンドの注目は、商品市況とのことです(「ユーロ/米ドルの反発はそろそろ一服か?そのカギはユーロ/スイスと米国株が握る!」を参照)。
2011年に入って金(ゴールド)が軟調な展開を続けており、昨年30%も上昇したにもかかわらず、今月に入って6.2%も下落しています。
下落が急激なので26日には反発していますが、依然として不安定な相場展開です。
また、銀もアタマの重い展開が続いており、グローバルマクロ勢はコモディティの動きに注視しているようです。
そのため、為替市場における彼らの関心は資源国通貨、とりわけ、ゴールドと相関性の高い豪ドル/米ドルに集まっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
豪ドル/米ドルは1.0228ドルの高値で2011年をスタートしましたが、豪クイーンズランド州の洪水の影響によりRBA(豪中銀)の利上げ観測が後退したこともあり、軟調に推移しています。
なかなかパリティ(1豪ドル=1米ドル)を維持できない相場展開が続いています。
豪ドル/円も昨年末の反発がなりを潜め、82円を割り込み、81円台で推移しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
来月もゴールドの反発が弱いようですと、豪ドル/米ドルや豪ドル/円の下値余地が拡大してくる可能性が高まってきます。
当面は、英ポンドと豪ドルの動きに注目です。
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