こんにちは。
■中期的な「ユーロ安」に変化はないものの…
2月に入って、為替相場は難しい展開が続いています。
前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、ユーロ/米ドルは2月上旬に行われたECB(欧州中央銀行)理事会前に到達した1.3862ドルを高値に値を下げてはいるのですが、1.34ドル台が定着せず、1.35ドル台を回復しています(「ヘッジファンドも無視できない今年最大のリスク『G-zeroの世界』とは?」を参照)。

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その後、2月16日(水)のNY市場で「イランの軍艦2隻がシリアに向けてスエズ運河の通過を計画」と報道されると、米ドル売りが優勢となり、その流れを受けた本日の東京市場では一時1.36ドル台を回復する場面もありました。
中期的な「ユーロ安」に変化はないものの、中東情勢の悪化懸念が為替市場の方向性を不透明にしています。
■中東情勢の悪化を背景に、スイスフランの反騰が続く
さて、中東情勢が悪化する中、値を上げてきたのが避難通貨であるスイスフランです。
2月16日(水)のロンドン市場では、スイス政府が「観光産業および輸出企業への支援を強化する。ハイテク企業の革新を促進する」と、スイスフラン高に対抗してスイス企業への支援策を発表したことから、一時はスイスフランが売られる局面もありました。
しかし、中東情勢の悪化を背景に、スイスフランは反騰しています。

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(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/スイスフラン 4時間足)
ユーロ/スイスフランは1.2974フラン、米ドル/スイスフランは0.9554フランまでスイス高が進行しています。
■中東情勢悪化なら、円よりスイスフランが大きく買われる!?
全体的にスイスフランが選好されるなか、ヘッジファンドの友人たちが物色しているのがスイスフラン/円です。
昨年までの市場コンセンサスであれば、マーケット環境が悪化した局面での避難通貨は「円とスイスフラン」。
ところが、主要通貨の中で最も利上げが遠い「円」は、中東情勢が悪化しても積極的に選ばれず、スイスフランのみが選好される傾向にあります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:スイスフラン/円 4時間足)
もう1つの理由は、米ドル/円のボラティリティの低下です。
米ドル/円は2月10日(木)に83円台を回復し、「84円台を固めれば86円台も可能」といった期待も高まったのですが、それから1週間が経った本日の段階でも、依然として83.50円近辺で推移しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
米ドル/円のボラティリティは、リーマン・ショック後の最低水準を更新中で、方向は円安だとしても、その速度は緩慢です。
そこで彼らが立てたシナリオは、「中東情勢が安定していれば米国株が堅調に推移し、円売りがジワジワと進行する、逆に中東情勢の悪化や株の急落があれば、円よりスイスフランが大きく買われる」というものです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:スイスフラン/円 週足)
こうしたトレードは積極的にリターンを求めるといったものではないのですが、中東情勢が混迷を深める中、一時的に資金をパークするという意味では合理的なトレードと言えるのかもしれませんね。
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