こんにちは。
■アイルランド格下げでもユーロ/ドルの下値は限定的!?
先週のコラムで「アイルランドに格下げの懸念がある」とご紹介させていただきましたが、格付け会社のムーディーズの発表によって、それが現実のものとなりました(「トリシェコードが利上げ示唆でも、ユーロの上値は限定的か? 1.41ドル割れへ急落も」を参照)。
ユーロ/米ドルは「1.41ドル割れ」どころか、一時は1.3837ドルまで急落しました。

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この間に、ユーロ圏の悪材料が数多く報道されています。しかし、7月8日(金)発表の雇用統計が想定外の悪化となったように、米国経済も改善の兆しが見られません。
米ドルの弱さがユーロ/米ドルの下値を限定的にしており、ECB(欧州中央銀行)が周辺国の債券を購入したことをきっかけに、その後のユーロ/米ドルは反発しています。
つまり、現在はユーロも米ドルも多くの難題を抱えている状態と言えます。
友人のヘッジファンドも、ユーロに関しては依然として弱気です。ただ、6月分の米国雇用統計が発表されて以降は、対米ドルではなく、対スイスフランや対円といったところでの「ユーロ売り」が主流となっているようです。

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もしくは、米ドル/スイスフランや米ドル/円など、対避難通貨で「米ドル売り」を行うという流れでしょうか。
■ドル/円は本邦個人投資家の「買い」vs海外勢の「売り」に
さて、前述したようなヘッジファンドの考え方を裏づけるようなコメントを表明して「米ドル売り」の流れを加速させたのが、FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長でしょう。
7月13日(水)の議会証言ではバーナンキ議長は「追加緩和策の用意がある」と発言し、「QE3(量的緩和策第3弾)」の可能性を示唆しました。そのため、この日のNY市場では一時、米ドルが全面安となりました。
避難通貨であるスイスフランに対する「米ドル売り」は強烈で、米ドル/スイスフランは一時0.8081フランまで下落し、最安値を更新。

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その一方で、スイスフランに遅ればせながらも、もう1つの避難通貨である円も堅調に推移しています。
米ドル/円は7月13日(水)早朝に、79.00円以下にあった本邦個人投資家のstop loss(損切り注文)を巻き込んで、一時は78.48円まで急落しました。

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ただ、本邦個人投資家の新規の「米ドル買い」と「ナンピン買い」は収まっていません。彼らが米ドルを買い、それが米ドル/円の下値を一時的に支えているといった展開になっています。
一方で、海外勢はバーナンキ発言を受けて「米ドル売り」を進めており、それが米ドル/円の上値を押さえているといった状況です。
■ドル/円は76.25円も視野に入ってくるか?
そして、7月14日(木)早朝に、 ムーディーズが「米国債格付けを引き下げ方向で見直し」と表明しました。この報道により「米ドル売り」が加速し、米ドル/円は再び78.47円まで下落しています。
「QE1(量的緩和策第1弾)」、「QE2(量的緩和策第2弾)」ともに、実施された時の為替市場の反応は「米ドル安」でした。
今回、バーナンキ議長が「QE3」を示唆したことで、海外勢の米ドルに対する目線はかなり下がってきています。
米ドル/円の最初のターゲットは7月13日(水)安値の78.48円で、そのレベルが突破されるようであれば、3月安値の76.25円も視野に入ってくるでしょう。

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今週後半は、イタリアの債務問題に加えて、米国の「QE3」の行方、そして、米ドル/円と米ドル/スイスフランのダウンサイドリスクに注目です。
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