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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

トリシェコードが利上げ示唆でも、ユーロの
上値は限定的か? 1.41ドル割れへ急落も

2011年07月07日(木)15:29公開 (2011年07月07日(木)15:29更新)
西原宏一

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■ギリシャ問題先送りでユーロ/スイスが急反発した

 先週末はユーロ/スイスフランが急反発しました。ギリシャ問題の一時停戦で、多くの市場参加者がrisk offに備えてロング(買い持ち)にしていたスイスフランを売り返す動きが活発化したのです。

 加えて、オプションも含めてショート(売り持ち)にしていたユーロを買い戻す動きも加速し、ユーロ/スイスフランは1.1807フランから、わずか1週間強で550ポイントも急反発しています。

 そして、週明けの7月4日(月)には、一時1.2357フランまで急騰しました。

ユーロ/スイスフラン 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 4時間足

 連れて、ユーロ/米ドルは1.4577ドル、ユーロ/円は117.77円まで反発しました。

ユーロ/米ドル 4時間足

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ユーロ/円 4時間足

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 ギリシャ問題は再び先送りされました。

 マーケットは安ど感とともに、今週の週初までは「株は回復、ユーロ/スイスフランは反発、豪ドル/円は堅調」というように、risk onというか、soft patch(*)という状態となりました。

(*soft patch:経済成長が一時的に鈍化したり、足踏み状態になっていることを表す比喩的な表現のこと)

格付け機関による格下げが欧州周辺国を追い込んでいる!?

 しかし、7月5日(火)のNY市場で次のような報道が流れると、マーケットに再び不安感が漂い始めました。

 それは、7月6日(水)の日本時間早朝に伝えられた「ムーディーズがポルトガルの格付けをBaa1からBa2に引き下げ~見通しはネガティブ」というものです。

 ギリシャ問題は一服したものの、そのソブリンリスク(国家に対する信用リスク)はポルトガルに伝染し、戻り基調にあったユーロ/スイスフラン、ユーロ/米ドル、ユーロ/円の流れを一変させました。

 今回の格下げの理由は、「ポルトガルは市場からの資金調達が徐々に難しくなっている」とのことでした。

 ただ、そもそも格付け会社による格下げが、これらの国の市場からの資金調達を難しくしている面もあり、レーティングエイジェンシーによる格下げが欧州周辺国を追い込んでいるとも言えます。

 なにか矛盾していますね……。

ユーロ/スイスしだいでユーロ安に拍車がかかる可能性も

 ともあれ、7月6日(水)の欧米市場では、欧州周辺国のスプレッド(金利上乗せ幅)が拡大しています。特に、ポルトガル、アイルランドのスプレッド拡大が顕著になっています。

 マーケットはリスクオフの流れとなり、再び資金はスイスフランに集中しています。

 ユーロ/スイスフランは再び1.20フランを割り込んでおり、一時は1.1967フランまで急落しました。先週末の上昇を一気に解消する勢いで下落しており、今週に入って400ポイント弱も下げているのです。

ユーロ/スイスフラン 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 1時間足

 連れて、ユーロ/米ドルは1.4300ドルを割り込んで1.4286ドルまで下落し、ユーロ/円は115.55円まで急落しました。

ユーロ/米ドル 1時間足

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ユーロ/円 1時間足

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ユーロ相場を先導しているユーロ/スイスフランですが、仮に直近安値の1.1807フランを下にブレイクした場合は「ユーロ安」に拍車がかかる可能性もあるため、要注意です

 また、ユーロ/米ドルを単体で見ると、先週からのユーロの買い戻しの局面でも、6月6日(月)につけた直近高値の1.4698ドルを上抜けることができませんでした。これも、ユーロ/米ドルの下落に拍車をかけた要因と言えるでしょう。

 結果として、ユーロ/米ドルは5月4日(水)につけた今年の高値である1.4940ドルから徐々に戻り高値を切り下げてきています

ギリシャの債務問題がポルトガルにcontagion(伝染)したことが、どこまでユーロ/米ドルを押し下げるのかに注目です

ユーロ/米ドルの上値は依然として限定的なのでは?

 さて、そのユーロの行方を左右する重要なイベントが、7月7日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会後のトリシェ総裁のコメントでしょう。

 政策金利が25bp(0.25%)引き上げられて1.50%になることは、前回のトリシェ総裁による「strong vigilance」発言により、ほぼ100%確実視されています。

マーケットの注目は、年内にもう1回、利上げがあるのかどうか?

 予想される「トリシェコード」をもう一度確認してみましょう。

・「Monitor closely」 ⇒ 利上げを示唆

・「Monitor very closely」 ⇒ 2カ月後の利上げを示唆

・「Strong vigilance」 ⇒ 来月の利上げを示唆

 いくつかの米系銀行は、トリシェ総裁が「monitor (very?) closely」を使用し、年内の利上げを示唆すると見ているようです。そうであれば、ユーロ/米ドルはいったん反発する可能性もあるでしょう。

 ただ、アイルラントもポルトガルに続いて、ムーディーズにジャンク級(投資不適格)に格下げされるリスクがあり、そのような中では、ユーロ/米ドルの上値は依然として限定的なのではないでしょうか?

ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

 ユーロ/米ドルはこのところ、1.41~1.46ドルのレンジ圏での乱高下が続いています。

 しかし、ECB理事会とその後のトリシェ総裁のコメントをきっかけにして、
レンジの下限である1.4100ドルを割り込んでくる可能性は濃厚です

 「トリシェコード」に注目ですね。


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