■ギリシャ問題先送りでユーロ/スイスが急反発した
先週末はユーロ/スイスフランが急反発しました。ギリシャ問題の一時停戦で、多くの市場参加者がrisk offに備えてロング(買い持ち)にしていたスイスフランを売り返す動きが活発化したのです。
加えて、オプションも含めてショート(売り持ち)にしていたユーロを買い戻す動きも加速し、ユーロ/スイスフランは1.1807フランから、わずか1週間強で550ポイントも急反発しています。
そして、週明けの7月4日(月)には、一時1.2357フランまで急騰しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 4時間足)
連れて、ユーロ/米ドルは1.4577ドル、ユーロ/円は117.77円まで反発しました。
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ギリシャ問題は再び先送りされました。
マーケットは安ど感とともに、今週の週初までは「株は回復、ユーロ/スイスフランは反発、豪ドル/円は堅調」というように、risk onというか、soft patch(*)という状態となりました。
(*soft patch:経済成長が一時的に鈍化したり、足踏み状態になっていることを表す比喩的な表現のこと)
■格付け機関による格下げが欧州周辺国を追い込んでいる!?
しかし、7月5日(火)のNY市場で次のような報道が流れると、マーケットに再び不安感が漂い始めました。
それは、7月6日(水)の日本時間早朝に伝えられた「ムーディーズがポルトガルの格付けをBaa1からBa2に引き下げ~見通しはネガティブ」というものです。
ギリシャ問題は一服したものの、そのソブリンリスク(国家に対する信用リスク)はポルトガルに伝染し、戻り基調にあったユーロ/スイスフラン、ユーロ/米ドル、ユーロ/円の流れを一変させました。
今回の格下げの理由は、「ポルトガルは市場からの資金調達が徐々に難しくなっている」とのことでした。
ただ、そもそも格付け会社による格下げが、これらの国の市場からの資金調達を難しくしている面もあり、レーティングエイジェンシーによる格下げが欧州周辺国を追い込んでいるとも言えます。
なにか矛盾していますね……。
■ユーロ/スイスしだいでユーロ安に拍車がかかる可能性も
ともあれ、7月6日(水)の欧米市場では、欧州周辺国のスプレッド(金利上乗せ幅)が拡大しています。特に、ポルトガル、アイルランドのスプレッド拡大が顕著になっています。
マーケットはリスクオフの流れとなり、再び資金はスイスフランに集中しています。
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