先週末はついにドル円が歴史的な安値を更新した。といってもあまり破壊力のあるものではなかった。そこまで連日のように76円台でのスタックが続いていただけに、いつドル円が75円台に差しかかっても驚かないというような雰囲気が醸し出されていたのもあるのだと思う。
テクニカル面を重視した比較的にコストの低いところで作ったロングポジションの投げ売りがいっせいに出て、その力で75円台に突入はしたものの、短期筋などによる追随はなし。あえて75円台を拾うという向きも見られなかったが、事前に76円台に戻っていったという感じ。
あとは介入警戒感も徐々に出てきて、76円台の中盤まで押し戻されてしまった。日中の足型だけで見ると、上も下もやったという感じで、相変わらず値幅は小さいものが続く。
一方でユーロドルだが、これも方向感が定まらず、ここ3カ月間は1.41から1.44台までをコアレンジとしたもみ合いが続いている。1.40台まで行けば、そこは拾い場。また1.45台に乗せてくれば、そこで売り込むのがよいだろうという、レンジ相場を形成している。欧州の信用不安の高まりや、米国株の急落などによるリスク許容度の減退でも、レンジブレークしないということの意味は大きい。
今晩はほとんど経済指標らしきものはない。しかし今週いっぱいを見渡すと、いろいろと注目されるべきイベントが立ち並んでいる。まずは日本の金融当局の出方である。円相場が75円台を見た後である。いくら代表選挙で忙しいといても、一つの国難であることは間違いない。手をこまねいている場合ではなさそうだ。
「レベルを選んで介入しているわけではない」と言い切っているのだから、いつマーケットに出てくるのかも懐疑的になりつつある。それではタイミングかというと、当局が心配している「過度な変動」は起こっておらず、毎日、狭いレンジでの往ったり来たりが繰り返されているだけだ。仮に介入をしたところで、その後のフォローアップはあるのかないのかなど、市場との対話が十分でないことがうかがわれる。
ちなみに前回の、すなわち今月第一週の介入では、確かにドル円は80台を回復したが、本来の目的である景気浮揚、つまるところ株価の上昇を指そうと言う意味においては、日経先物などは100円しか上がらなかったので、まずは失敗だったといえるだろう。
野田大臣などが「効果のある」と強調しているのは、ここの部分を指しているのだろう。しかし効果的にやるとなると、相当の困難がともないそうだ。現状の株安は円相場だけで解決される問題ではないからだ。
次に週末にバーナンキ議長のスピーチがひかえている。昨年と同じでジャクソンホールで行われ、前回のここでの指摘でQE2が始まったことが連想されて、たいへんな関心を集めている。今年も何かあるのではないか、と。それがQE3の端緒になるのではないかという憶測が飛んでいる。
しかし現実を考えると、金融緩和へのハードルは高そうだ。食料品をはじめとして、世界にインフレをバラまいたとの避難もあり、政治的な側面からQE3は困難のように見える。それでもマーケットは何か刺激策の一環のようなものがうちだされるのではないかと期待しているようだ。いまだにFRB神話のようなものが生きているのかもしれないが…。
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