10月21日、高市首相誕生なるか
10月4日(土)に行われた自民党総裁選挙において高市早苗氏が選出され、マーケットは「高市トレード」に湧き、米ドル/円は147.40円から153.27円へと約6円も上昇、日経平均は4万6000円前後から4万8895円と3000円近い急騰となりました。
しかし「好事魔多し」で、10月10日(金)に公明党が自民党との連立離脱という驚天動地の事態が起こりました。26年間、自民党が野党の時も続いた連立が崩れるとはまったくの予想外でしょう。
高市氏が総裁にはなりましたが、首相にはなれないリスクが台頭し、高市トレードは一気に収束に向かいました。米ドル/円は153.27円から149.38円に、日経平均は夜間取引では4万5000円近辺まで崩れました。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
前回のコラムでは、公明党リスクに言及しました。
「公明党との政策協議が難航している。公明党は高市氏のタカ派的政治姿勢を歓迎していない。高市総裁は誕生したが、高市首相が誕生しないリスクは、小さいがある」
それは自民党総裁選において斎藤代表が「保守中道の方」と高市氏以外を望むメッセージを発していたこと、そして創価学会女性部(かつての婦人部)における高市氏支持が非常に低いと聞いていたからです。とはいえ、本当に離脱するとは思いませんでした。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円の上昇はどこまで?高市総裁誕生で日銀の早期利上げにブレーキがかかったのか?目先はトランプ大統領来日と日銀金融政策決定会合に注目!(10月10日、志摩力男)
もしかすると「政権交代」という機運も高まったのですが、今度は日本維新の会が自民党と連立するというニュースが飛び込みました。
「副首都構想」「社会保障改革」「国会議員定数の1割削減」が条件ですが、自民党が絶対に飲めないものでもないので、連立が実現し、高市首相誕生となりそうです。
★志摩力男さんの有料メルマガ「志摩力男のグローバルFXトレード!」では、世界情勢の解説に定評がある志摩氏が、その分析に基づいたポジションや、実践的な売買アドバイスをメルマガで配信! メルマガ登録後10日間無料です。
マーケットは再度「高市トレード」に湧くのか?
マーケットは再度「高市トレード」に湧くのでしょうか?
日本初の女性首相誕生です。再度、市場が「高市トレード」に湧く可能性は十分あると思いますが、一回冷やされていることもあり、熱狂の持続性には疑問があります。もしかすると、「材料出尽くし」という反応にも警戒したいところです。
株式市場は、高市首相誕生より、米国におけるAI関連銘柄上昇の方が、影響力は大きいでしょう。「バブル」懸念はありますが、バブルがいつ弾けるか誰にもわかりません。
米ドル/円相場は、高市トレードで160円、170円…といった可能性は低下しているように見えます。前回指摘した「高市トレードのリスク」は有効です。前回のコラムで指摘したポイントをお伝えします。
(1)トランプ政権は決して円安を歓迎していない。
10月15日、ベッセント米財務長官は米財務省内に内外の主要メディア招き質疑応答しましたが、その際円相場について「水準についてはコメントしない」としつつも「日銀が適切に金融政策を運営し続ければ、円相場も適正な水準に落ち着くだろう」と述べました。ベッセント氏は8月初旬にも同じ主旨の発言をしています。6月に発表された米為替報告書にも、日銀の利上げ継続が「円安の正常化を後押しする」と記されています。
「日銀が適切に金融政策を運営し続ければ」との条件が付いていますが、それは日銀の政策が適切ではないとのベッセント氏の思いも入っています。8月には「日銀はビハインド・ザ・カーブ」とまで発言していました。
(2)高市総裁を誕生させた麻生元総理は、決して積極財政派ではない。そして連立を組む維新も「身を切る改革」が党是で、大規模積極財政には反対だろう
高市氏が積極財政政策を実現しようとしても、おそらく麻生元総理が極端な政策には制限をかけるのではないかと考える市場関係者は多くいます。維新も、過度なバラマキには反対でしょう。しかし、それでは高市首相を選んだ「民意」とは逆行します。ある程度の「高市カラー」は財政政策に反映されるものとは思います。
(3)高市氏自身も、円がどんどん下落し、インフレ率が上昇する状態は好ましいと思ってないかもしれない。
★志摩力男さんの有料メルマガ「志摩力男のグローバルFXトレード!」では、世界情勢の解説に定評がある志摩氏が、その分析に基づいたポジションや、実践的な売買アドバイスをメルマガで配信! メルマガ登録後10日間無料です。
短期的な材料出尽くしには要注意
高市総裁は10月9日(木)のテレビ東京ワールドビジネスサテライトに出演した際、「行き過ぎた円安を誘発するつもりはない」と発言しています。「行き過ぎた」が、どの程度のレベルになるのかわかりませんが、かつてのように日銀の利上げに対して「アホ」と発言するようなことはないでしょう。
10月21日(火)、高市新首相が選出される可能性は極めて高いと思われます。その前に「高市トレード」を仕込む人も多いでしょう。
しかし、10月4日(土)に高市新総裁が誕生したサプライズ後の思惑より、山の高さは低くなっているでしょう。かなりマーケットに織り込まれているので、短期的には「材料出尽くし」に注意したいところです。

(※筆者提供・TradingView)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ゴールドマン・サックス証券、ドイツ証券など外資系金融機関を中心にプロップディーラーとして活躍した、業界では知らない人がいないほどの伝説のトレーダー志摩力男の有料メルマガ「志摩力男のグローバルFXトレード!(月額:4,950円[税込み])」がザイ投資戦略メルマガで好評配信中!
世界情勢の解説に定評がある志摩氏。その分析に基づいたポジションや、実践的な売買アドバイスのメールがほぼ毎日届きます。スウィングトレードが中心なので、日中は仕事をしている人にも向いているメルマガです。
また、志摩氏が購読者の質問にメールで直接答えてくれるため、FX初心者やFXの理解を深めたい人に最適です。
登録後10日間は無料なので、ぜひ 「志摩力男のグローバルFXトレード!」を一度体験してみよう!
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)