■中期スパンではユーロの切り返しが続く可能性が高い
賢明な読者のみなさまはここまで読んでいただければ、おのずと結論を出しているのではないか。
そう、中期スパンではユーロの切り返しがなお続く公算が高く、性急なユーロ売りは避けたほうがいいだろうということだ。ちなみに、2月16日(木)の1.3000ドル割れはユーロ続落のサインではなく、ユーロ調整一服を示唆するシグナルだった。
また長期スパンでは、ユーロの崩壊があるとしても、それは現在ではなく2015~2016年となるだろうとの私の見方にも納得してくれるだろう(2011年12月26日「【2012年相場見通し】米ドル/円の16~17年サイクルは2011~12年の底打ちを示唆!」を参照)。
相場の初心者にはかなりショックな話かもしれないが、相場における値動きは実にファンダメンタルズによって形成されているのではなく、ファンダメンタルズの先行指数として機能しているのだ。
実際のところ、ファンダメンタルズの解釈が後付け的になってしまうのは宿命的なことだが、それだけでなく、ファンダメンタルズの解釈自体もかなりいい加減だ。
仮にユーロの大幅高があれば、今、理路整然とユーロ安の蓋然性を説明している「センセイ」方もガラっと変わって「ギリシャはそもそも人口1100万人の小国、東京より少ないため、破綻しても影響が限定的」といった理屈を持ち出すことすら想定できるだろう。
ユーロの話はここまでとして、次に米ドル/円を見てみよう。
■79.52円のブレイクがあれば、円高一服が本物に
下のチャートに見られるように、米ドル/円は200日移動平均線(以下、200日線)をブレイクし、地合いを再び好転させた。
(出所:米国FXCM)
ただ、ここ数年、200日線をブレイクする場面も何回かあったので、現在のレートと200日線のカイ離で見ると、まだ安心できる状態ではない。
一方、タイミングとしては良かったかもしれない。
今回は円売りの背景として「日銀による追加量的緩和とインフレターゲットに関する説明の修正」が挙げられている。
2011年10月末の値動きとは違って、政府の介入ではない米ドルの上昇は自然体であるだけに、79.52円(2011年最大規模介入後の高値)のブレイクがあれば、円高一服が本物になってくる蓋然性は高いだろう。
もっとも、このような見方は大きなサイクルに基づくもので、私が2011年最終回の当コラムにて提示していた(2011年12月26日「【2012年相場見通し】米ドル/円の16~17年サイクルは2011~12年の底打ちを示唆!」を参照)。
2012年は米ドル/円が底打ちしやすい年となるだけに、円高から円安へ展開する宿命にあった。
■米ドル/円の底打ちは見えざる神の手によるものか
追加的に下のチャートも示しておきたい。
2011年4月に作成したもので、図に示すように、2011年10月の安値出現と円高の終焉を示唆していた。
(出所:米国FXCM)
一般論では、長期スパンのサイクルは半年から1年前後のタイムラグを持つものが多いが、仮に今回、米ドル/円の上離れが成功していれば、米ドル/円の底打ち(10月31日)もマーケットにおける見えざる神の手によって形成されたのかもしれない(結果的には日銀が「神の手」を行使していたことになる)。
最後に、米ドル/円の上離れがあれば、当然のようにクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)全般の見通しも調整する必要に迫られる。
それより、筆者がもっとも修正したいのは豪ドルの見通しだ。
豪ドル相場の歴史がほかの通貨に比べて浅い分、メインサイクルを今イチ把握できていなかったので、再検討しなければならない。
詳細はまた次回に。
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