みなさん、こんにちは。
■ついに米ドル/円が80円台を回復した!
先々週、先週と、このコラムで2回続けて「ヘッジファンドが注目している!」とご紹介させていただいた米ドル/円ですが、その後も米ドル高・円安が進行しています(「資源国通貨高・避難通貨安の展開へ。豪ドル/円は中期的に90円へ向けて上昇か」ならびに「『円キャリー』復活の環境も整ってきた!ドル/円の上昇基調は徐々に鮮明になる!!」を参照)。
2月22日(水)の欧米市場で、ついに80円の大台を回復しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
この間、米ドル/円は、日本企業の3月期末に向けてのレパトリ(本国への資金送還)に伴う米ドル売りで上値が抑えられたため、急騰することはありませんでした。
しかし、欧米の市場参加者を中心に円売り圧力は強く、80円台を回復し、一時は80.40円まで上昇しました。
本原稿執筆時も80.15円レベルで推移し、80円台をキープしています。
■原発停止→LNG購入額増大→米ドル買いの需要増
それでは、中期的に見て、この米ドル/円の上昇が続くかどうかを探ってみましょう。
例年、2月中旬から3月上旬は、3月期末決算に向けた本邦機関投資家のレパトリによる円買いが持ち込まれるため、米ドル/円は軟調に推移する傾向があります。
実際のところ、そのような円買い需要はマーケットに持ち込まれているようですが、今年の場合、米ドル買いの需要が新たに出てきたため、相場展開が例年とは変わってきそうです。
それは、日本政府のエネルギー政策によるものです。
原発停止によって、火力発電のためのLNG(液化天然ガス)の購入額が増大しており、米ドル買いの需要が増しているそうです。
■グローバルな金融緩和政策も円安の要因となっている
加えて、日銀、FRB(米連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)といった主要中央銀行が金融緩和政策を続けていることも挙げられます。
先週末、2月18日(土)には、中国人民銀行も預金準備率を50bp(0.50%)引き下げました。
さらに、来週の2月29日(水)には、ECBが「LTRO(3年物無制限資金供給オペ)」の第2弾を行う予定で、これは追加の量的緩和策となります。
つまり、このようなグローバルな金融緩和政策が世界的な株高を誘発し、それが円安につながっているのです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
また、こうした相場状況の中で、オーバーヘッジで米ドル売りを行っていた本邦投資家の一部が、米ドル/円のショート(売り持ち)を買い戻しているということも、サポート要因となっているようです。
■3月に向けて、ジリジリと82円の方向に上昇へ
今週に入って、米ドル円/はついに 、昨年8月の介入時の高値である 80.25円を突き抜けました。
前述のように、一時は80.40円まで買い上げられています。
ただ、米ドル/円は押し目もなく、先週から一方的に上昇してきたため、このあたりで調整が入って下落する局面も予想されます。
それでも、欧州債務問題の悪化懸念を材料に、グローバルに積み上がった円ロング(買い持ち)の解消は始まったばかりですので、米ドル/円の下落余地は限定的でしょう。
テクニカル的に見ても、先週のコラムでご紹介した、2007年6月をピークとする「米ドル安・円高」トレンドをブレイクしています。米ドル/円の上値余地はさらに拡大しそうです(「『円キャリー』復活の環境も整ってきた!ドル/円の上昇基調は徐々に鮮明になる!!」を参照)。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 月足)
3月に向けて、米ドル/円はレパトリに伴う米ドル売りをこなしながら、ジリジリと82円の方向に上昇していく可能性が濃厚です。
引き続き、米ドル/円の動向に注目です。
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