■日銀の追加緩和策で米ドル/円は上昇するがすぐ下落
みなさん、こんにちは。
2012年9月はECB(欧州中央銀行)のOMT(※国債買い入れプログラム)、FRB(米連邦準備制度理事会)のQE3(量的緩和第3弾)、そして日銀による追加緩和の発表と、中央銀行の断続的な緩和策発表により、リスクアセットである株やコモディティが急騰しました。
そして、リスクアセット通貨である豪ドルや加ドル、そしてユーロが急騰。
中でもユーロの上昇が顕著で、リスクアセット通貨の代表である豪ドルを上回り、ユーロ/豪ドルも1.2555ドルまで急騰するという相場展開となりました。
(※編集部注:ECBが南欧諸国の国債を直接買い入れる新しいプログラム)

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/豪ドル 4時間足)
ユーロ/円も一時、103.89円まで急騰しています。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)
ただ、日銀の発表前からその動きに変化が見られています。
前コラムでご紹介したECBによるOMTの発表時には、ユーロ/米ドルは1.2600ドルを突破して、1.3000ドルまで急騰。
【参考記事】
●安住財務相発言の「必ず」に注目!米ドル/円は76円台突入で介入の可能性!(9月13日、西原宏一)
FRBによるQE3を受けて、ユーロ/米ドルは1.3000ドルを大きく上回り、1.3171ドルまで上昇しました。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
そして9月19日(水)の日銀の追加緩和策を受けて、米ドル/円は79.23円まで上昇後、時間的にも短命であっという間にいつもの78円台前半まで急落。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
本日9月20日(木)のユーロ/米ドルは再び1.3000ドルを下回って推移しています。
日銀の追加緩和策は、「ECBやFRBと比べるとやや見劣りのするものだったため」という見方もあります。
しかし、日銀の発表はマーケットがかなり織り込んでいたため、sell the fact(事実売り)の相場展開になり、79円台の滞空時間が短かったのではないかと考えています。
■GSがユーロ/米ドルのロング手仕舞いを推奨
ともあれ、この中央銀行相場を見通していたのか、8月よりユーロ/米ドルの1.3000ドル達成を予測していたゴールドマン・サックスは、9月19日(水)にユーロ/米ドルのロング手仕舞いを推奨している模様。
【参考記事】
●安住財務相発言の「必ず」に注目!米ドル/円は76円台突入で介入の可能性!(9月13日、西原宏一)
●下落続く豪ドルの今後は? ユーロ/ドルはECB理事会次第で上値更新の可能性濃厚(9月6日、西原宏一)
米ゴールドマン・サックス・グループは、対ドルでのユーロ買い推奨を終了した。ユーロは9月6日以降、対ドルで3.3%上昇した。
ゴールドマンの外為アナリスト、トーマス・ストルパー氏は19日付のリポートで、「予想していた展開の大半を経過し、当初の目標であった1ユーロ=1.30ドルの水準も達成した。一層の値固めが入る展開もあり得る。当社は約7%の上昇を見込んだユーロ買いの推奨を終了するのが適切と考える」と述べた。(出所:Bloomberg)
1.3000ドルはモルガン・スタンレーの予測でもあり、この動きは欧米の市場参加者の想定内ともいえ、9月末の第3四半期の終了に向けて欧米ヘッジファンドにとって通貨のポートフォリオは良好の模様。
■WTI原油とリスクアセット通貨反落への警戒
さて、マーケットでは、9月19日(水)の日銀発表前から、欧米の市場参加者からリスクアセットの利益確定売りが見られています。
特に顕著なのがWTI原油(※)です。
9月19日(水)のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は、前日比3.31ドル(3.47%)安の1バレル=91.98ドルで終了。
(※編集部注:「WTI原油」とはウエスト・テキサス・インターミディエート原油のこと。米国アメリカのテキサス州西部とニューメキシコ州南東部で産出する軽質原油。WTI原油を対象とした先物がニューヨーク・マーカンタイル取引所で取引されている)

これは、8月3日以来の安値でクローズ、下落率は7月23日以来で最大ということになります。
2012年の年初来では6.9%という大幅な値下がりを演じています。
この動きが同じリスクアセットである株やほかのコモディティ、そして資源国通貨やユーロの反落に結びつく可能性が高まっています。
特にOMTを受けて急騰したユーロ/米ドルにつられて上昇した英ポンド/米ドルは、1.6300ドルに到達できず反落しています。
デマーク(※)のチャート分析でも反落を示唆。
(※編集部注:「デマーク」とはTDシーケンシャルなどのテクニカル指標を開発したトーマス・R・デマーク氏のこと)
(出所:CQG)
ただ、多くのヘッジファンドは8月~9月の1000ポイント近いユーロ/豪ドルの急騰、そして前述の1000ポイントを超えるユーロ/米ドルの急騰、加えて米国株、原油の急騰といった取引を手仕舞っているのみ。
こうした調整局面では、先週(9月10日~)までの一方的なトレンドは考えにくく、方向性がはっきりしないことが多いため、今後の取引は慎重にいきたいところ。
明確なトレンドは9月19日(水)でいったん終了といったところでしょうか。
注目は日銀の発表を待たずに反落を開始しているWTI原油の行方と、反落気味の豪ドルや加ドルです。
そして英ポンド/米ドルといったリスクアセット通貨の反落にも警戒が必要でしょう。
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