円売りが主流になっている。衆院の解散が決まって後の、安倍総裁の円安誘導にもとられかねない発言が強く影響している。世の中は自民党が過半数は取れなくても、比較第1党にはなるはずだとの読みがあるのが見て取れる。そうした流れを無視することもできない。
昨日のアジア時間の昼過ぎにはドル円が前日の高値である80.30を超えてきたので、意識されるのは今月のはじめにつけた高値である80.66となった。しばらくはその手前でもんだが、触り出すと一気に81円台を目指す動きとなり、今年の4月以来の円安水準へ移行した。
私も何度かドル円でロング攻めして流れに乗っていこうとトレンドフォロー作戦で臨んだ。しかし私としてはそもそもが高いと思っているところなので、15ポイント幅も取れればホクホクとした気分になり、そこで利食い終了となってしまう。
ドル円が日本固有の材料で上がっているのは実に珍しいことなので、マーケットの関心はそちらに集中している。そのせいでユーロの値動きには鈍感になってきている。途中で押収に関するニュースなどが流れても、ユーロドルは依然のようには反応しにくくなっていた。
ギリシャの首相が「リセッションを招いたのは緊縮策のせいだ」と否定的ともとられるコメントを出しても反応薄。スペインの首相が「IMFに支援を求める状況にはない」といって、支援要請する意志がないのかと疑われるような局面があっても、ユーロはダイナミックに動くことはなかった。
市場の関心は完全にドル円がどこまで上がるのかにシフトしてしまっている。ドル円は81円台に乗せてきた後は、もう押し戻されることもなく、ユーロ円も103円台のミドルまで上昇。
こうなってくると次の注目はアメリカ株の動向である。これは今週に入ってからも軟調な展開が続いており、前日のセッションでS&P先物は今年の半値押しのレベルを下回って来て、地合いの悪化も加わってきている。もう一段安があっても不思議ではない状況だ。
失業保険はとても悪い数字が出てきたが、それはハリケーンのせいで一時的なのだとの見方が強くて無視された。エンパイア指数やフィリー指数といった景況感はマチマチ。株価は反転の兆しを見せて、現行の円安進行をリスクの面からも裏付けるかとも思われた。
だが米国株は小売りセクターを中心に下落を始めると、ニューヨーククローズに向けてまた安値攻め。今週の安値をも抜いてきた。ニューヨーク時間では為替相場は小動きだったといえよう。
今日もアジア時間で日本株は高かった。米国株がひたすら安値模索をしているにも関わらずである。それで円売りの根拠にもなっているのだが、今日のところはドル円やユーロ円では前日の高値を抜いてきていない。今晩も経済指標に関わらず、株価次第という相場展開となろう。
週末を控えているので、米国株はいっそうのポジション調整を迫られることもありうる。ここまで下がってくると次に視野に入ってくるレベルは、S&P先物では1328アラウンドだ。これは7月下旬にドラギ総裁が「何でもやる」といってマーケットが大きくリスクテークにさらされる直前のディップだ。
昨日は1345ポイントまで下がっていることだし、一段安で行ってしまう距離である。ニューヨークオープンあたりの株価の挙動を見て、ダメそうだったらユーロ円でも売り込んでみたいものである。
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