■ギリシャのユーロ離脱懸念と再選挙でユーロが下落
次に、忘れてはならないのが、冒頭でも記載した欧州債務問題。特に2012年、頻繁にマーケットニュースなどで目にしたのは、ギリシャとスペインです。
6月1日(金)に、ユーロ/円が約12年ぶりの安値である95.60円台まで下落するなど、2012年5月~6月にかけては、とにかくユーロの下落が目立ちました。
(出所:米国FXCM)
なかでも注目イベントとなったのは、2012年6月に行われたギリシャ再選挙。2012年5月に実施された選挙では、いずれの政党も過半数を獲得できず、6月17日(火)に再選挙が実施されることになりましたが、緊縮財政推進派の新民主主義党(ND)と緊縮財政反対派の急進左派連合(SYRIZA)が拮抗。
【参考記事】
●ギリシャはユーロを離脱すると思う? ギリシャ再選挙前に個人投資家の見方は?(6月12日)
●ソシエテ ジェネラル島本幸治さんに聞く(1) ギリシャがユーロを離脱する確率は何%?(6月6日)
急進左派連合が勝利した場合、本当にギリシャがユーロを離脱しちゃうかも!? と懸念が高まりました。
結果は、緊縮財政推進派の新民主主義党が第1党となり、同じく緊縮財政推進派の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)との連立政権樹立が可能となったことで、ひとまずギリシャのユーロ離脱懸念は後退。
選挙後、マーケットはリスクオンの流れに傾き、ユーロは主要通貨に対して持ち直す動きとなりました。
【参考記事】
●ギリシャ再選挙は緊縮財政推進派が勝利。ユーロ離脱回避でユーロ高、円安に!(6月18日)
■ユーロの下落はさらに続いた! 94.10円台まで急落!
ギリシャ再選挙を経て、マーケットは落ち着いたかに見えましたが…そうはいかず。7月もネガティブなニュースは続々と出てきて、各国中央銀行はさらなる金融緩和策を打ち出さざるを得ませんでした。
7月5日(木)には、ECB(欧州中央銀行)が利下げを実施し、さらに中銀への預入金利をゼロにすると発表。BOE(イングランド銀行〔英国の中央銀行〕)は、資産買い入れプログラムの買い入れ枠を500億ポンドに増加。中国は、同月2度目の利下げを実施するなど、1日の間に主要3カ国が同時に金融緩和に踏み切るという、ちょっと珍しい事態が起こりました。
【参考記事】
●ECB、BOE、中国が続けて金融緩和。欧州経済は厳しく、ユーロは売り継続!(7月13日、今井雅人)
また、7月に発表された米雇用統計(6月)が予想を下回る弱い結果となったことや、スペイン情勢への懸念から同国債利回りが7%超と過去最高水準となったことなどを受け、ロンドン五輪開幕直前の7月24日(火)には、なんと、ユーロ/円が2012年6月につけた安値を更新! 94.10円台まで下落しました。
(出所:米国FXCM)
ギリシャやスペインを筆頭に、ここ数年の間くすぶり続けている欧州債務問題。2013年には、完全解決へ向かうのでしょうか? 引き続き、マーケットの主要テーマの1つになりそうですね。
(「ザイFX!で振り返る2012年(2) 【マーケット動向・後編】安倍相場で円安に」へつづく)
(ザイFX!編集部・向井友代)
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