FX税制一本化へ! 取引所FXの優位性が崩壊!?
続いて確認しておきたいのが、2012年のFX業界の動向。熾烈なスプレッド縮小競争や業界再編の動きなどが目立ちましたが、年始に大きなニュースとして注目されたのは、FX税制の一本化でした。
【参考記事】
●迫ってきた2012年のFX税制大改革! 店頭FXが税率一律20%の申告分離課税へ
2012年1月より、店頭FXの税制が、くりっく365などの取引所FXと同じ一律20%の申告分離課税に変更され、税制の一本化が行われました。
もともと店頭FXでは、課税所得額に応じて、掛け率が異なる総合課税が採用されていましたが、「同じFXにもかかわらず、店頭と取引所で税率が違う。しかも、店頭FXのほうがおおむね不利なのは不公平では!?」という意見も多数あった模様。
今回の税制一本化で、取引所FXと店頭FXの間に、上述した税制面での不公平さはなくなりましたので、FXトレーダーからすると歓迎すべきことですね。
くりっく365もスプレッド縮小競争参戦へ!?
一方で、取引所FXにとっては、店頭FXと比較した際にメリットとして挙げられた税制面での優位性がなくなったということですから、大変です。
詳しくは後述しますが、そもそもスプレッド縮小競争の激化は、2011年の12月あたりから。2012年1月からの税制一本化を見越して、取引所FXのユーザーを店頭FXに取り込もうとする動きの表れ(?)であったように思えます。
これまで税制面での優位性や取引所ならではの安心感を強みとして、比較的広いスプレッドでサービスを提供してきた取引所FX(くりっく365)ですが、取引量そのものは、2011年のレバレッジ規制以降明らかに減少傾向にあり、税制面での優位性という大きな魅力を失えば、さらにユーザーが減少してしまうという可能性も否定できない状況…。
危機感を感じたのか、やむにやまれぬ選択だったか…ついに2012年10月には、取引所FX(くりっく365)は、主要3通貨ペア(対円で米ドル、ユーロ、豪ドル)の最小変動幅の変更(桁数の拡大)とスプレッド縮小に踏み切りました。
これにより、取引所FX(くりっく365)は主要3通貨ペアについて、原則固定スプレッドではないものの、FX業界のなかでも上位に食い込める水準にまで縮小することに成功しました。
もしかすると、他の通貨ペアについても、スプレッド縮小を行う可能性があるかもしれませんね。
ただし、取引所FX(くりっく365)の場合は、スプレッドのほかに取引手数料がかかりますので、ご注意を。
税制面での優位性を失った取引所FX(くりっく365)が、今後生き残りをかけてどのような策を打ってくるのか…今後の動向に注目です!(※)
【参考記事】
●くりっく365の米ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円のスプレッドが0.5銭~に!
●ドル/円50%超、豪ドル/円32%超を0.5銭で提示! くりっく365のスプレッド実績!
(※この他に取引所FXには「大証FX」もありますが、取引高はかなり低迷している状況です)
FX史上もっとも過酷!? なスプレッド縮小競争!
上述のとおり、取引所FX(くりっく365)ですらスプレッド縮小に力を入れる時代ですから、当然店頭FXのスプレッド縮小競争は熾烈を極めました。
あくまでイメージですが…FX史上過去に類を見ないほど熾烈なスプレッド競争が行われたと言っても過言ではないのではないでしょうか?
なかでも、2011年後半~2012年にかけてその先頭を走ってきたのが、今では取引高で世界上位にランクインするDMM.com証券「DMM FX」やGMOクリック証券「FXネオ」。
この2社を追随するように、スプレッド縮小競争を積極的に行ってきたのが、サイバーエージェントFX「外貨ex」、ヒロセ通商「LION FX」、トレイダーズ証券「みんなのFX」などです。1年をとおして、0.1銭をかけた極限の競争が繰り広げられました。
特に、DMM.com証券「DMM FX」とGMOクリック証券「FXネオ」は、明らかにお互いを意識している模様。互いに一歩も引かず、今では、共通している取り扱い通貨ペアは、すべて同じスプレッドで提供されています。
【参考記事】
●日本のFX業界はすごい! 知ってますか?FXの取引高世界1位は日本企業なんです
●DMM.com証券が通常時のスプレッド縮小!GMクリック証券との仁義なき戦いが白熱
●スプレッド競争激化! GMOクリック証券の「FXネオ」が米ドル/円「0.4銭原則固定」に!
●早くもDMM.com証券「DMM FX」が追撃!米ドル/円スプレッドを「0.4銭原則固定」に
●ユーロ/円0.8銭、ユーロ/米ドル0.6pips。DMM.com証券、GMOクリック証券を即追撃!
●GMOクリック証券、DMM.com証券が揃ってドル/円スプレッド0.3銭原則固定に縮小!
衝撃の低スプレッド! SBI FXトレードが新規参入
さらに、2012年5月には、SBIグループのFX専業会社であるSBI FXトレードが新規参入。取引量ごとに設定された衝撃の低スプレッドが話題になりました。
ちなみに、参入当初0.19銭原則固定だった米ドル/円1万通貨までのスプレッドは、2012年12月現在、0.11銭原則固定にまで縮小されています。もはや限りなくゼロに近い水準…。SBI FXトレードは、衝撃の新規参入後も次々と取引量ごとに設定されたスプレッドを縮小し続けています。
【参考記事】
●衝撃の米ドル/円スプレッド“0.19銭固定”で1ドルから取引できるSBI FXトレード登場!
●またまたSBI FXトレードがスプレッド縮小!業界最狭水準への挑戦は続く!
●今度は豪ドル/米ドル! SBI FXトレードが9月に入って4回目のスプレッド縮小!
●SBI FXトレードが11月8度目の縮小!4通貨ペアの縮小スプレッドを一挙紹介!
●SBI FXトレードの米ドル/円スプレッドが0.11銭固定に! 100万通貨は0.48銭へ!
ちなみに、2012年12月現在のSBI FXトレードの通貨ペア、取引量ごとのスプレッドは、下表のとおりです。
どこか1社がスプレッドを縮小すると、それを追撃するように別のFX会社も動く。2012年は1年をとおして、各社が追い、追われる状況が続きました。
加えて、SBI FXトレードの参入によって、スプレッド競争はさらに過酷さを増した…改めて振り返ると、そんな印象を受けます。
一説によると、米ドル/円で0.2銭を下回るスプレッドを提供するとFX業者の利益はゼロになる! なんてウワサもあったりなかったり(実際のところ限界点の真相は不明ですが…)。
スプレッドはトレーダーにとってはコストですので、狭いに越したことはありません。しかし、主要通貨ペアの業界最狭水準のスプレッドを見てみると、さすがにこれ以上狭くすることはできないのでは? という水準に達しているようにも見えますね…。
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:取引コストで比べる
スプレッド縮小競争は、2012年も終わりに近づいてきたころから少し落ち着いてきたように思いますが、果たして、2013年も継続することになるのでしょうか? それとも…ついに終焉を迎えるのか!? 引き続き、注目しましょう。
(「ザイFX!で振り返る2012年(4) 【FX業界の動向:後編】FX業界に美女続々」へつづく
(ザイFX!編集部・向井友代)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)