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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

購買力平価が示すドル/円上昇の限界点。
なぜ、96円で頭を押さえられるのか?

2013年02月15日(金)17:23公開 (2013年02月15日(金)17:23更新)
陳満咲杜

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■購買力平価から米ドル/円を見ると…

 ファンダメンタルズの話はともかく、我々の関心はやはり円安トレンド一服の有無や、そのタイミングにある。

 とはいえ、市況にとらわれず、もう少し大局観を持って考えてみたい。

 下のチャートは、米ドル/円と購買力平価の関係を示すグラフである。

米ドル/円 購買力平価と実勢相場(クリックで拡大)

(出所:公益財団法人 国際通貨研究所)

 購買力平価という概念は、1921年にスウェーデンの経済学者、グスタフ・カッセル氏によって提唱され、現在では広く使われている。

 米ドル/円の購買力平価を簡単に言うと、米ドルと円の購買力の比率である(それ以上の知識はトレーダーには無用だから、省略させていただく)。

 上のチャートでは、同購買力の比率を、消費者物価、企業物価、輸出物価の3つのセクターから見られる。

 3セクターを表すラインは、ともに右下がりできているので、購買力平価の概念を理解すれば、1971年以降、一貫して円高トレンドが続いている最も大きな原因が一目瞭然だ。

 つまり、1971年以降、米ドルの購買力が円の購買力と比べ、一貫して低下していることが最大の原因なのである。これほどシンプルでかつ有力な証拠はほかにはあるまい。

 ちなみに、デフレとは物価が下がって通貨の価値が上昇するものだから、デフレによって円の購買力は一層増していることになる。つまり、デフレから脱出しない限り、円の購買力の増強、つまり円高トレンドを阻止できない

■米ドル/円の上昇は96円で押さえられる?

 さらにチャートを詳しく見てみると、1980年代後半から、米ドル/円のレートは一貫して企業物価ベースの購買力平価(緑のライン)を下回っていた

米ドル/円 購買力平価と実勢相場(再掲載、クリックで拡大)

(出所:公益財団法人 国際通貨研究所)

 1998年をはじめ、そのあとも何回が同ラインに接近していたが、見事に同ラインに頭を押さえられ、再び円高局面に振れたことが確認できる。

 最新のデータとは多少誤差があるものの(上のチャートは2012年年末の数値)、為替相場と違って、購買力平価の変化は総じて緩やかなものなので、参考値としてなお有効だと思う。

 したがって、上のチャートが示している企業物価ベースの購買力平価の最新値、つまり、96円が気になる。

 というのは、アベノミクスによるものと言われる足元の円安トレンドだが、これは2011年10月末安値から始まっており、1995年4月安値を起点とした円安トレンドと同じ背景を有している。

 同背景について、本コラムでも繰り返し指摘してきたので周知の事実だと思うが、ファンダメンタルズよりもサイクル、つまり米ドル/円の16~17年の変動周期からうまく説明できる

【参考記事】
「ミスター円相場」と「アベノミクス相場」、18年の時を経た2つの相場の相違点とは?(2013年2月1日、陳満咲杜

■米ドル/円が100円の大台に乗るのはいったんお預けか

 要するに、今回の円安は性質上、1995年安値から1998年高値までの円安トレンドといっしょだから、テクニカル的な視点で一番気になるのは1998年高値がどこに位置するかである。

 このようなマクロ的な視点から足元の市況を見てみると、ジタバタせずにおのずと結論を出せるのではないかと思う。

 つまり、購買力平価でみると、今回の円安トレンドは、いったん企業物価ベースの購買力平価に押さえられる公算が大きいから、96円前後までが限度となるだろう。

100円の大台のターゲットは、いったんお預けとなるのではないだろうか。

 そして、足元の相場は、この記事を書いているうちに米ドル/円がさらに落ちてきて、いったん2月11日(月)の安値(92.45円)を割り込んでいる。

 よって、いったん調整を深めてから96円台のターゲットを打診するか、それともここから切り返しを展開し、直接96円の大台打診を遂げてから本格的な調整を行なうかの、どちらかになるだろう。

 92円台半ばから96円台まで3円超の値幅もあるから、「ここから調整するかどうかを言わずに、大台しか言わないのは無責任ではないか」といったお叱りも聞こえてきそうなので、言い訳をしておこう。

目先「材料」に振られやすいから、言い切れないわけだ。はい。

 最後に、以下の2点を記しておきたい。

 まず、短期スパンについして、ずっと円売りトレンドの一服を言ってきた筆者ですら、それを言い切れなくなっている。よって「皆が同じことを言い出したら終わり」という教えに沿っていけば、円売りポジションの買戻しは、すでに始まっている公算が大きい

 次に、今回の記事は以前のコラムで予告した「総括」の一部とみていただきたい。

【参考記事】
「ミスター円相場」と「アベノミクス相場」、18年の時を経た2つの相場の相違点とは?(2013年2月1日、陳満咲杜)

 それでは皆さん、良い週末&トレードを。

 (2月14日 PM1:30 執筆)

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