先週末に安値圏でクローズしたドル円であったが、当然のごとく期待された週明けの下攻めは起こらなかった。早朝から本邦勢の買いを集めたという需給要因もあるが、下に向かわずに、反対に上がって始まったというのが、市場参加者の意外性を誘ったのかもしれない。
日本株も安い方を攻めずにショートカバーが優勢。ここ半年の例のように国際会議では、日本立場が支持されるということに対して楽観論が台頭しているのであろうか。株価の上昇とともにリスクテークの勢いは強まって、ドル円は95円台にまで戻して欧州入りとなった。
ドル円が大きく振れ出すのはニューヨーク時間からかなと思いつつも、さすがにイギリスでサミットが開かれている以上は、欧州時間のマーケットも無視はできない。しかし伝わってくるのは今までにも言われてきたことばかりで、目新しいことは何もなかった。おおむね日本の経済政策については賛同が得られ、過度の円安に釘を刺すのも忘れていない。またとくにサプライジングな要人発言は出でこなかった。
ドル円は94.80から94.90あたりを中心に実に狭いレンジ内におさまっている。アメリカの経済指標では良いものが並んだのだが、為替相場にダイナミックな動きは見られず、ドル円も95円台に乗せてくるのがやっとで、とてもレンジブレークといった激しさはなかった。最近、注目を浴びていないユーロドルも値動きに乏しい。これでは何に照準を当てればいいのかわかりにくい。
夜中に話題になったのはFT紙の記事で、今回のFOMCではバーナンキ議長が緩和の縮小を示唆するだろうというもの。これまでも出ていた観測記事と代わり映えはしないが、なにがしらの材料を欲していたマ-ケットはこれに飛びついたようだ。緩和の縮小だから、ある意味でのタイトニング。それでドルはファーストウェーブでは買われ、ドル円も95円台に乗せた。
しかしそれは株価にとっては打撃である。それまで大幅に上昇していた米国株が、日中のゲインのおよそ半分を吐き出した。こうなるとかえってリスク回避にならざるをえない。上がっていたドル円も今度は急落することになってしまい、94円台のミドルまで。ちょっとFOMCを控えてきな臭い感じがしてきた。
それでも昨日の為替相場はひじょうに取引レンジが小さかった。ドル円はちょうど1円幅くらいで、ここ最近の上下動の激しい相場展開が続いている中では珍しい。ユーロドルは終日、1.33台だった。やはりG8も行われているし、FOMCを前にしてもいるし、動きづらいということなのか。私も動けない。
今日はますますこう着感が強まっている。一時期よりも株価が日米ともに戻ってきたので、どことなく緊張感が足りない相場が続いているようにも見える。今晩はドイツの景況指数やアメリカの住宅着工が発表される。
いずれも重要な指標なのだが、この分ではマーケットはまり反応しないかもしれない。とくにドル円が94円台にいる間は波が立たないので、世の中の関心も薄れてくるようだ。私としても93円台とか96円台とかを目にしたいものだと期待しているのだが…。
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