■不可解な米FOMC。FRBの真意は…?
前回のコラムでも紹介しましたが、米国の金融政策が混沌としてきたことで、市場は方向感を失ってきています。
【参考記事】
●米金融緩和縮小は9月に始まる?延びる?FOMC声明文にあった“3つの後退”とは?(8月1日、今井雅人)
8月2日(金)に発表された7月米雇用統計も、失業率は確実に低下していることを示していました。その他の経済指標を見ても、特段、米国の景気が弱くなってきていることを示すような指標は見当たりません。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
それにもかかわらず、FOMC(米連邦公開市場委員会)では、景気に対する認識を下方修正しています。こうした不可解な認識を受け、市場関係者もとまどっています。それが、現在の相場状況に反映されていると考えるとわかりやすいです。
私自身もFRB(米連邦準備制度理事会)の真意を計りかねていますが、バーナンキFRB議長も2013年の任期満了を控え、大きな金融政策の変更を自分の手で行うことに対し、とまどいが出てきたのかもしれません。
今後の動向には、十分注意しておきたいところです。
■日銀金融緩和の実績を4つのポイントでチェック!
今週のコラムでは、国内にも目を向けてみましょう。日銀の金融緩和の実績がどうであったのかが、同行のウェブサイトに掲載されています。今回は、それを確認してみたいと思います。
大きなポイントは4点あります。まず1点目は、マネタリーベース。これは年間で60兆円から70兆円の増加を目標としていますが、4月から7月の4カ月間で27.3兆円となっており、平均よりは、かなりハイペースで増加しているのがわかります。
2点目は、長期国債の保有残高。これは年間50兆円程度の増加を計画していますが、直近4カ月間で、すでに約26兆円増加しています。
3点目は、ETF(上場投資信託)。年間1兆円程度の増加目標に対して、4000億円増加しています。
4点目はCP(コマーシャル・ペーパー)、社債の残高を年末までにそれぞれ2.2兆円、3.2兆円にまで引き上げるという目標となっていますが、7月末の時点ですでにCPは2.1兆円、社債は3.0兆円にまで残高が積み上がっています。
■ハイペースな量的緩和なのに円安が進まない理由は?
つまり全体的に見ても、日銀は平均を大きく上回るペースで量的緩和を実施してきているわけです。
しかし、それにもかかわらず、為替市場では円安が進行していかない。これは、どうしてか? ひと言でいえば、市場はすでに、こうした行動を織り込んでしまっているからです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
こうした内外の環境下、現在、海外投資家を中心にポジションを縮小するため、日本株を売り、為替市場で円買いをする動きが活発化しています。直近の株の下落、円高はそれによって起きている動きです。
(出所:株マップ.com)
米ドル/円の日足チャートを見ても…
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