■豪ドル/米ドルが約1カ月で500pips弱急騰!
みなさん、こんにちは。
過去2回のコラムでご紹介した豪ドルの反発は、今週(10月21日~)も継続しています。
【参考記事】
●豪ドルが欧州通貨に対し急反発。債務上限問題が収まれば対円、対米ドルでも反発か(2013年10月10日、西原宏一)
●米国の債務上限問題は事態が好転! 利下げが遠のいた豪ドルの回復に注目!(2013年10月17日、西原宏一)
豪ドル/米ドルは、一時0.9758ドルまで急騰。
200日移動平均線が位置している0.9756ドルで上値を抑えられた形ですが、米国の債務上限問題に揺れていたマーケット環境であったにも関わらず、リスクアセット通貨である豪ドル/米ドルが9月30日の安値0.9281ドルから500pips弱急騰しています。

(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
■10月23日(水)の東京市場の前場まで豪ドル全面高
加えて、遅れて発表された9月の米雇用統計は、悪化という結果でした。
この結果は「テーパリング(※)が遅れる=リスクオン相場」という発想となり、リスクアセット通貨である豪ドル/円も、一時95.69円まで上昇。
(※編集部注:テーパリングとは、米量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
対ユーロであるユーロ/豪ドルも1.4125ドルまで急落し、10月23日(水)の東京市場の前場まで、豪ドルは全面高となりました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/豪ドル 4時間足)
■中国短期金利の急騰をきっかけに豪ドル/円が反落
ただそんな中、TD-Sequential(※)は、10月22日(火)の段階でカウントダウンを終了し、豪ドル/円の買われ過ぎを示唆しています。
そして、豪ドル上昇のスピードが速すぎ、過熱感が出ている中、マーケットに中国に関する報道が流れ、リスクアセットである豪ドル/円は急反落しました。
10月23日(水)の東京市場の後場、中国のインターバンク市場で「流動性引き締めの可能性」が話題となり、突然短期金利が急騰したのです。
これをきっかけに、上げ渋っていた日経平均が反落しました。
(※編集部注:「TD-Sequential(TDシーケンシャル)」とは、米テクニカルアナリストのトーマス・R・デマーク氏が開発したテクニカル指標の1つ)

(出所:株マップ.com)
連れて、デマーク(※)のオシレーターで買われ過ぎのサインが点灯していた豪ドル/円は急反落。
豪ドル/円は1週間かけて93円台ミドルから95円台ミドルまで上昇していましたが、10月23日(水)に数時間で一気に調整したことになります。
(※編集部注:「デマーク」とは、前出のトーマス・R・デマーク氏のこと)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)
この急落に、豪ドルクロス(豪ドルと米ドル以外の通貨との通貨ペア)は軒並み急落しました。
豪ドル/円の下落により、米ドル/円もアベノミクス誕生以来、サポートとなっている200日移動平均線(10月24日時点で97.31円)まで急落。

(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
過去3週間、急騰してきた豪ドルですが、上昇スピードが速過ぎ、いったん調整局面入りする可能性が濃厚です。
■NYダウは大暴落した1929年までの足取りをたどっている?
中国の短期金利の急騰があっさり株の下落を誘因したことには、下記の記事の影響もあります。
Hedge Fund Chart Guru Tom DeMark Sees Dark Days Ahead
This past weekend, DeMark says, his prognostications for the stock market started to look rather bleak. His Dow Jones Index chart covering the period from May 2012 to the present seems to be tracking, almost precisely, the months leading up to the 1929 stock market crash.
(出所:Bloomberg Businessweek)
先週末デマークは、米国株の将来はどちらかと言えば厳しくなってきたと発言した。2012年5月から現在までのNYダウのチャートは、米国株が大暴落した1929年までの足取りをほぼ同じようにたどっているように見える。
【参考記事】
●第12回 企業業績はボロボロになり、株価がとんでもなく下落した大恐慌時代
■株、豪ドル/円の調整による急落に警戒
マーケットは、イエレン相場を織り込みつつあり、10月23日(水)までは米国株、日経平均とも堅調に推移していました。
ユーロ/米ドルも堅調で、2013年初来の高値を更新した後、10月24日(木)も1.3800ドルのバリアをブレイクし、底堅い動きとなっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
そのため、上記のトーマス・R・デマーク氏の予測も、報道された時点ではマーケットになんのインパクトもありませんでしたが、10月23日(水)の豪ドル/円と日経平均の急落が、今回の株の堅調さが意外に脆いということを想起させた形となりました。
為替市場では、ユーロ/豪ドルは大幅に反発しました。
2013年末に向けて、「テーパリングの延期=リスクオン=株高・円安」というのがコンセンサスではあるのですが、リスクアセットである豪ドル/円に買われ過ぎによる過熱感があるため、「株、豪ドル/円」の調整による急落に警戒が必要です。
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