■ゴールドマンも売り! 豪ドル/米ドルは700ポイント急落!
このコラムで毎週ご紹介している豪ドル/米ドルですが、今週(11月25日~)は下落が加速し、一時0.90ドル台まで急落。安値は0.9065ドルでした。
これで10月23日(水)に到達した高値0.9758ドルからわずか1カ月で700ポイントの急落。
テクニカル的にも日足の200日移動平均線で上値を抑えられて反落している展開です(豪ドル下落の要因は、先週までのコラムを参照)。
【参考記事】
●豪ドルは依然として不快なほど高い! 利下げ観測台頭のユーロにも注目!(2013年11月7日、西原宏一)
●注目はイエレン次期FRB議長の公聴会。米ドル/円は早晩100円台回復が濃厚!(2013年11月14日、西原宏一)
●ドル/円は100円台を回復し早晩103円へ! 豪ドルはIMFに10%過大評価と言われ下落(2013年11月21日、西原宏一)

(出所:米国FXCM)
今週下落が加速したのは、米ゴールドマン・サックスが、2014年の取引推奨として豪ドル/米ドルのショートを取り上げたことも影響している模様。
具体的には以下のとおりです。
米株価指数S&P500のロングと豪ドル/米ドルのショート。豪ドル/米ドルの目標値は0.8500ドル。(出所:zero hedge)
短期間に700ポイント急落し、節目の0.90ドル台に到達したことで、調整での反発はあるでしょうが、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])のスティーブンス総裁が繰り返し、口先介入をしていることもあり、上値は依然限定的。
豪ドル/米ドルは0.85ドルへ向けて下落中です。

(出所:米国FXCM)
■日米株価、米ドル/円堅調。アベトレード再開の背景は?
一方、米ドル/円も続伸しており、今週は102円台を回復。感謝祭を控えて、ポジション調整を懸念する声を横目に海外勢の日本株買いの勢いは収まらず、日経平均は1万5600円台まで回復し(※)、1万6000円をうかがう展開。
【参考記事】
●ドル/円は100円台を回復し早晩103円へ! 豪ドルはIMFに10%過大評価と言われ下落(西原宏一)
(※編集部注:本稿到着後の編集作業中に日経平均はさらに上昇。11月28日(木)は結局、1万5700円台で取引を終えている)

(出所:株マップ.com)
アベトレードが再開している背景は、「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がリスクアセットを増加させる」、「日銀は来年4月までに追加の金融緩和策を打ち出す可能性がある」という報道の2点。
【参考記事】
●安倍政権が作る政治主導のミニバブル!? 株高・円安進む! ドル/円年初来高値へ!(2013年11月28日、今井雅人)
「感謝祭で休暇をとっている間に、日経平均が年初来高値を上抜け、米ドル/円が急騰するのでは…」というシナリオを描いている欧米短期筋の参加者も増えてきており、感謝祭の休暇中にも関わらず、彼らのトレードも依然活発です。
一方、FRB(米連邦準備制度理事会)の次期議長イエレン女史が、マーケットの想定以上にハト派であったこともあり、米国株も続伸。
NYダウは1万6000ドル超え、前述のゴールドマン・サックスがロングを推奨していたS&P500は1800ドル超え、ナスダック総合指数は4000ドル超えと続伸しました。

(出所:米国FXCM)
こうした日米の堅調な株価に支えられ、11月28日(木)の本稿執筆段階で米ドル/円は102.05円レベルと堅調に推移。年初来高値である5月22日(水)の103.74円まであと2円弱です。
米ドル/円の上値には102.50円、103.00円とオプションバリアが控えていますが、そうしたレベルを超えれば、ショート・ガンマ(※)により新たな米ドル買いも出てきます。
前述のように米国株、日本株とも堅調なことから、米ドル/円は一連のレジスタンスを上抜いてくる可能性が濃厚。
(※編集部注:「ショート・ガンマ」とはオプション取引で使われる言葉の1つ)

(出所:米国FXCM)
引き続き、米ドル/円と豪ドル/米ドルの動向に注目です。
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