■米ドル/円は引き続きボラティリティーの拡大が予想される
前回のコラムでは、相場の急変に注意を促していたが、その後、日経平均も、米ドル/円も大きく下げた。さらに、両者ともに大きくリバウンドしてきたが、昨日(1月16日)から再び軟調に推移。目先、強弱感が入り交じっており、引き続きボラティリティーの拡大が予想される。
【参考記事】
●今はもう、すでにポスト・アベノミクス。相場の春吹雪を覚悟したほうが良い!(2014年1月10日、陳満咲杜)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
もっとも、先週末(1月10日)の芳しくない米雇用統計や、その後リリースされた好調な米経済指標(小売売上高)や日本の経常赤字拡大といった材料によって、米ドル/円の上下動がもたらされ、それがあたかもサプライズのような解釈もよく聞こえてくるが、実情はやや違うかもしれない。
ウォール街では、以下のコンセンサスが主流であると言われている。
すなわち、12月雇用者数伸びの鈍化は、景気回復の中断ではなく、そもそも悪天候による偶発的な結果にすぎず、また小売売上高など米経済指標もそれほど良い内容ではなかったという認識である。
また、日本サイドの経常赤字は、原油・天然ガスの輸入増に加え、大幅な円安が進行してきた結果として十分想定できたから、サプライズとは言いにくい。
■最近の相場変動はテクニカル要素主導の可能性大
したがって、最近の相場の変動は、経済指標などファンダメンタルズの変化によってもたらされたのではなく、テクニカル要素主導でもたらされた可能性が大きいとみる。
この見方を証左するように、昨日(1月16日)、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が任期中最後の演説を行ったが、マーケットには何の影響も見られず、至って平穏な反応だった。
相場は激しく上下(正しい表現は下上だった)しただけに、今は目先の均衡点を探っている最中で、材料には反応しにくいわけだ。このあたりも結局、テクニカル要素に帰着せざるを得ない。
要するに、最近の相場の反乱はテクニカル要素主導によって作られた以上、株にしても、為替にしても、先週末(1月10日)までは買われすぎだったので、それに対する修正が見られたわけだ。そして、修正的な値動き自体も激しかったため、反動的なリバウンドも見られたわけだ。
■米ドル/円はブル・ベア、どちらのシナリオになるか?
問題はこれからどう動くかにある。
米ドル/円に関して、以下のようにブル(上昇)とベア(下落)、2つのシナリオを想定できる(チャートは1月15日に作成したもの)。
両シナリオとも、戦後最安値から米ドル/円が大きく上昇し、大型上昇波における最終子波を、2013年10月安値96.56円から数えているのは共通している。
(出所:米国FXCM)
上に示したブル(上昇)シナリオでは、2014年1月2日(木)高値を最終子波自体の第3子波のトップとみなし、1月13日(月)安値までの反落を、同第4調整波のボ トムとみなしているから、これから第5子波の展開で高値更新をめざすわけだ。
(出所:米国FXCM)
対して、上に示したベア(下落)シナリオでは、1月2日(木)高値を第5子波のトップとみなし、同高値から本格的な下落変動をすでに展開している。そして、1月13日(月)安値からのリバウンドは、推進(下落)子波内の変動とみなし、これから高値更新はできず、安値更新をめざすというわけである。
ブルシナリオの成立は、最低でも1月10日(金)高値105.34円のブレイクを前提条件とし、一方、ベアシナリオの成立は、少なくとも1月14日(火)安値103.02円の割り込みを前提条件としよう。目先ブレイク待ちの局面で、現実的な対応法は、ブレイク後の方向についていくしかないと思う。
ただし、あえて言うなら、目先はなお、ベアシナリオの可能性に…
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)