■現時点ではベアシナリオの方が優勢か
ただし、あえて言うなら、目先はなお、ベアシナリオの可能性に傾いているのではないかとみる。
ブルシナリオのチャートとベアシナリオのチャートをもう1回見比べてほしい。
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
ブルシナリオでは、調整波2と調整波4、ともにジグザグ型調整パターンを示しているが、エリオット波動論の原則では調整波2と4の形態は、互いに異なるケースが多いとされる。
【エリオット波動論の参考記事】
●宮田直彦氏に聞く(1) 為替相場は歴史的な大転換点を迎えている!
つまり、調整波2が複雑だったなら、調整波4はシンプルになる公算が大きく、反対もまたしかりである。
したがって、ブルシナリオで記している調整波2と4がまったく同じパターンを持つ構造は、どちらかというとあまりよくみられるケースではない。
対照的に、ベアシナリオで記しているウェーブカウントは、調整波2のジグザグ変動に対して、調整波4はシンプルであるし、子波5と子波1の比率(≒1.236倍)も、同カウントが正しい可能性を示唆している。
このような原則からみて、筆者は現時点では、なおベアシナリオに軍配を上げてみたいと思う。
もちろん、こういった視点は、あくまで参考程度に留めるべきで、エリオット波動論の原則も絶対的なものではない。
■豪ドルの動きを参考に今後の円相場を占うと…?
また、気になるのは、円と同じくショートポジションの積み上げが多かった豪ドルが、また安値を更新しているから、それを追随する形で、円売りが一段と強まる可能性も否定できない。
一方、資源国通貨の豪ドルは、円と異なる側面も大きく、豪雇用統計の失速で景気悪化という材料を織り込む最中でもある。日銀が景気回復と判断している日本とまったく違う方向を示しているため、同じように扱えないところも大きい。
そもそも、豪ドル/米ドルの日足で見る限り、RSIを始め、強気ダイバージェンスシグナルの構築も進んでおり、目先の下値余地は、やはり言われるほど大きくないのではないかと思う。
(出所:米国FXCM)
いずれにせよ、相場は拮抗しているが、そろそろ再度荒れるタイミングにきている。トレンドの継続か、それとも反転か、見極める時期である。市況はいかに。
(1月17日 PM2:00 執筆)
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