■米雇用統計が新年早々市場を揺さぶった
新しい年を迎え、株式市場、為替市場とも若干荒れ気味の様相を呈しています。1月は欧米の機関投資家の1年のスタートでもあるため、活発な取引になりやすいという面もあるようです。
金融市場を大きく揺さぶったものの1つとして、1月10日(金)に発表された米国の12月分の雇用統計を挙げることができます。この結果に対する市場の見方はかなり分かれています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
12月の非農業部門就業者数は市場予想が19.7万人の増加のところ、結果は7.4万人の増加となり、予想値を大幅に下回りました。11月も20.3万人の増加でしたので、それと比べても大幅な低下です。
ただ、11月の雇用者数の伸びが24.1万人の増加に上方修正されていることにも注目をしておく必要があります。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
また、失業率が予想の7.0%に対して6.7%と大幅に改善。これは分母である労働参加率が低下していることが大きく影響しています。今回の労働参加率は62.8%で、1978年以降での最低を記録した2013年10月に並びました。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
■米雇用統計の結果は好意的にみる
さて、これをどう考えるかということですが、私はこの結果を好意的にみています。2013年の12月といえば、米国全土は記録的な寒波に見舞われていました。
降雪量は例年の21%増しであったとのデータもあります。この悪天候の影響で就業不能となった労働者は27.3万人にも上るそうです。さらに今回は11月分が上方修正されているので、その分も考慮する必要があります。
それらを総合して考えると、決して悪い数字ではないと考えています。
■重点を置くべきは失業率の低下
それよりもむしろ、失業率が6.7%にまで低下してきたことに私は重点を置いて考えるべきだと思います。FOMC(米連邦公開市場委員会)は、従来から失業率の改善メドを6.5%程度としてきました。
一時期10%台であった失業率が改善目標まであと0.2%にまで迫ってきていることの意味は大きいのではないでしょうか。2014年2月からFRB(米連邦準備制度理事会)新議長に就任するイエレン女史はハト派で知られていますが、雇用環境を重要視することでも知られています。
失業率が目標にまで改善してくれば、金融政策に影響を与えるのは当然です。
【参考記事】
●米FOMCにてテーパリング開始決定!米ドル/円は105円台半ばが視野に!(2013年12月19日、今井雅人)
●米FRB初女性議長は雇用重視のハト派!大きく株高・円安が進まない理由とは?(2013年10月10日、今井雅人)
その際に重要となるが、米国の物価動向…
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