■新興国通貨の急落がマーケットをリスクオフに
そして、一連の新興国通貨の急落がリスク許容度を低下させ、株が反落しました。
マーケット環境は旧来のリスク状態となり、「株安・円高」の展開へ。資源国通貨は、対円でも急落。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 1時間足)
豪ドル/円は一時90円の大台を割り込み、88.46円まで、加ドル/円は91.25円まで暴落しています。
その影響は、底堅く推移してきた米ドル/円にも波及。
■利上げ効果は短命。米ドル/円101.77円へ下落
資源国通貨に対する円の急騰は、米ドル/円にも波及。前述のように、TCBMの緊急大幅利上げが、一時的にリスク許容度を上昇させた局面もありましたが、それはきわめて短命。
南アフリカランド、トルコリラのCDS(※)は急騰し、リスクオフの環境下、今週の米ドル/円は一時101.77円まで急落しています。
(※編集部注:「CDS」とは、クレジット・デフォルト・スワップの略で、信用リスクをヘッジしたい場合などに利用するデリバティブの一種)
■ダボス会議なのに靖国問題? 米ドル/円急落の背景は?
そしてもうひとつ、円に関してマーケットで不安視されているのが、先週開催されたダボス会議(1月22日~25日に開催)。
ダボス会議では、我が国の安倍首相が法人税改革に言及したのですが、欧米勢の反応はきわめて冷淡。2013年の相場においては、法人税というワードが出ただけで、米ドル/円の押上げ要因となったのですが、今回はまったく反応せず。
そして、ダボス会議という経済フォーラムであるにも関わらず、安倍首相の基調講演後の質疑応答で、いの一番に出た質問が、靖国問題。
靖国問題は思った以上にアベノミクスの足を引っ張る要因となっているのか、ダボス会議の翌日から米ドル/円は下落し始め、本邦機関投資家の米ドル買い注文があると言われていた103.90円を割り込むと、大きなサポートもなく急落。
■101.78円を抜けたら、米ドル/円の下値余地は拡大する
2013年8月8日(木)の安値95.80円と2014年1月2日(木)の高値105.48円の38.2%が101.78円。そして、2014年1月27日(月)の安値が101.77円。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
このポイントを抜ければ、米ドル/円の下値余地は拡大。2014年の米ドル/円は1月2日(木)の高値が、今のところ今年の高値。
仮に現時点のレベル、102.20円で1月を引けても、2014年最初の月は大陰線で終了することになります。
今週(1月27日~)も引き続き、新興国通貨の混乱による豪ドル/円、加ドル/円の下落と、その動きに呼応して調整に入った米ドル/円の動向に注目です。
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