■外人投資家はアベノミクス成功を確信していたのではない
ジョージ・ソロス氏の売りで日経平均が崩れたといったウワサが示唆するように、「外国人投資家」たちがアベノミクスの成功に懐疑的になってきたという説がだいぶ聞こえてくるようになった。
【参考記事】
●日経平均は「三空踏み上げ」で戻り弱し!ソロスも売りか。ドル/円100円割れ警戒!(2014年2月13日、西原宏一)
しかし、筆者に言わせると、「外国人投資家」たちは別に最初からアベノミクスの成功を確信していたから日本株を買ったわけではなく、今になってアベノミクスに懐疑的になったわけではない。
言い換えれば、昨年(2013年)、15兆8000億円超を日本株に投資していた外国人投資家が買っていたのはアベノミクス構想であり、その結果ではない。
さらに突っ込むと、アベノミクスで日銀が前例のない超金融緩和を打ち出したので、外国人投資家はいわゆる金余りの金融相場にいち早く乗っただけ。アベノミクス自体が成功するかどうかはまた別問題だ。
だから、外国人投資家が売ってきた理由も簡単だ、こういった金融相場が終わったから、新興国の混乱もあるし、利益確定に動いただけの話。
■日経平均には、混乱があると一番大きく下がるクセあり
また、日経平均は何か混乱があった時、先進国株の中で一番大きく下げるクセがある。
今回(2月4日の600円超の下げ)もそうだが、2013年5月23日、日経平均の下げ幅が1日で1143円に達したのも記憶に新しい。
(出所:株マップ.com)
それは日本株は外国人投資家の売買に左右される構造にあるからにほかならない。何かあった時、外国人投資家にはまず日本株を換金売りしておくという心理があることが垣間見える。
だから、アベノミクスが成功するかしないかの問題とは別に、日経平均はこれからも外国人投資家の売買に翻弄されるので、米国株以上の変動率を引き続き覚悟したほうがよい。
また、因果関係とは別の視点において、日経平均が戻し切れないことは、やはり外国人投資家が本気で日本株を安値で拾っていないことを暗示している。だから、日経平均と米ドル/円の連動性を考えると、米ドル/円の押し目買いもなかなかしづらいと思われる。
■相場は荒れるだろう。米ドル/円は100円の節目打診か
外国人投資家の視点からみれば、日本株は外国株となるわけで、米国株の押し目買いには比較的積極的であっても、外国株には慎重ということになる。そうなると、今は本当の意味でのリスクオンの環境ではないことも示唆される。
本当のリスクオンとは、海をまたいであらゆる投資チャンスを求める環境。足元の状況はそれとは明らかに違う雰囲気だ。
その意味では、VIX指数の急落に見られるように、リスクオフへの再転換の地合いが整ってきていると思う。何しろ、VIX指数の12~14レベルは歴史的な低水準なので、これがこのまま維持され、米国株がどんどん上昇していくとはなかなか想定しにくいからだ。
(出所:CQG)
換言すれば現在、米国株はなおバブル的な水準にあり、調整はむしろこれからでは…とみる。
ゆえに、日経平均は一段と荒れ、米ドル/円も100円の節目を打診することとなろう。市況は如何に。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
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