■リスクオフは一服したが、ドル/円と日経平均の戻りは弱い
先週末、2月7日(金)の米雇用統計から昨日、2月13日(木)の米小売りデータまで、米経済指標で悪い結果が続いているなか、先週の本コラムの指摘どおり、リスクオフの一服も散見されている。
【参考記事】
●「チャイナ・リスク」への市場の認識は大げさすぎる。ただし、本格的な危機はこれからだ(2014年2月7日、陳満咲杜)
この見方は米国株とVIX指数の動向からうかがえる。
下のチャートに示されているように、NYダウ指数は2月3日(月)~5日(水)と200日移動平均線を下回っていたが、足元では2013年の年末高値を起点とした全下落幅の半分押し水準(≒1万5964ドル)を上回って、力強くリバウンドしてきた。
(出所:米国FXCM)
VIX指数は2月3日(月)の高値21.48から、足元13.98まで下がり、新興国混乱の一服を示唆している。
(出所:CQG)
リスクオフの動きを弱めているなら、米ドル/円もリバウンドしやすいと思われるが、実際にはNYダウ指数に比べ、米ドル/円の戻しは弱く、高値から下落した全下落幅の38.2%までなかなか戻し切れていない状況だ。
(出所:米国FXCM)
米ドル/円は、NYダウ指数と比べると「戻りの鈍さがうかがえる」という程度だが、S&P500指数と比べると、「出遅れがかなり目立つ」と言えるほど。何しろ、S&P500指数は1月につけた史上最高値にあと約1%というところまで回復している。
(出所:CQG)
ただし、米ドル/円の戻りの弱さは日経平均との連動性からみると、何となく理解できるかも。日経平均も米ドル/円と同様、実は2013年の年末高値を起点とした全下落幅の38.2%の反騰位置まで戻り切れていない。
(出所:米国FXCM)
■円高が先か? 日経平均の下落が先か?
このところ、おもしろいことに、株式評論家が「円高傾向が続いているから、日経平均もなかなか戻し切れない」と言う一方、為替デスクの記者たちは「日経平均の戻りの鈍さから、円売り再開に慎重なトレーダーが多い」と書く。
理屈はともかく、こういった言い訳ができることもまた相場のおもしろいところというか、奥深いところであるから、深追いする必要もなかろう。
ところで、日経平均は2月4日(火)、5日(水)に一時、200日移動平均線をやや深く割り込んでいた。100日移動平均線を割り込んだだけの米ドル/円と比べると、日経平均のほうがより大きな下落があったと言える。
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
ゆえに、前記の「理由づけ」をあえてするなら、「日経平均の戻りの鈍さによって米ドル/円が戻し切れていない」という説のほうに軍配を上げられる。
もっとも、相場における因果関係は一方的なものではなく、お互いに影響しあうものだから、どちらが「因」で、どちらか「果」であるかははっきりしない。
したがって、こういった言い方は最初から健全性を欠いており、あくまで「閑話」の部類に入るだろう。
この意味では、たとえ、まじめな新聞でも、斜め読みすることがときに必要かと思う。特に政治と相場に関する記事において。
閑話休題。要するに米ドル/円と株の連動性、足元では米国株に比べると薄くなっているが、日経平均と比べれば、それなりの連動性を保っているということだ。
では、なぜ日本株は米国株に対して出遅れているのだろうか?
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