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田向宏行
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

外国人投資家が日本株を売る理由とは?
相場は荒れそう。ドル/円は100円を打診か

2014年02月14日(金)16:47公開 (2014年02月14日(金)16:47更新)
陳満咲杜

FXトレーダー・羊飼いに聞く、初心者におすすめのFX口座の選び方とは?

■リスクオフは一服したが、ドル/円と日経平均の戻りは弱い

 先週末、2月7日(金)の米雇用統計から昨日、2月13日(木)の米小売りデータまで、米経済指標で悪い結果が続いているなか、先週の本コラムの指摘どおり、リスクオフの一服も散見されている。

【参考記事】
「チャイナ・リスク」への市場の認識は大げさすぎる。ただし、本格的な危機はこれからだ(2014年2月7日、陳満咲杜)

 この見方は米国株とVIX指数の動向からうかがえる。

 下のチャートに示されているように、NYダウ指数は2月3日(月)~5日(水)と200日移動平均線を下回っていたが、足元では2013年の年末高値を起点とした全下落幅の半分押し水準(≒1万5964ドル)を上回って、力強くリバウンドしてきた。

NYダウ指数 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 VIX指数は2月3日(月)の高値21.48から、足元13.98まで下がり、新興国混乱の一服を示唆している。

VIX指数 日足

(出所:CQG)

 リスクオフの動きを弱めているなら、米ドル/円もリバウンドしやすいと思われるが、実際にはNYダウ指数に比べ、米ドル/円の戻しは弱く、高値から下落した全下落幅の38.2%までなかなか戻し切れていない状況だ。

米ドル/円 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 米ドル/円は、NYダウ指数と比べると「戻りの鈍さがうかがえる」という程度だが、S&P500指数と比べると、「出遅れがかなり目立つ」と言えるほど。何しろ、S&P500指数は1月につけた史上最高値にあと約1%というところまで回復している。

S&P500指数 日足(クリックで拡大)

(出所:CQG)

 ただし、米ドル/円の戻りの弱さは日経平均との連動性からみると、何となく理解できるかも。日経平均も米ドル/円と同様、実は2013年の年末高値を起点とした全下落幅の38.2%の反騰位置まで戻り切れていない。

日経平均 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

■円高が先か? 日経平均の下落が先か?

 このところ、おもしろいことに、株式評論家が「円高傾向が続いているから、日経平均もなかなか戻し切れない」と言う一方、為替デスクの記者たちは「日経平均の戻りの鈍さから、円売り再開に慎重なトレーダーが多い」と書く。

 理屈はともかく、こういった言い訳ができることもまた相場のおもしろいところというか、奥深いところであるから、深追いする必要もなかろう。

 ところで、日経平均は2月4日(火)、5日(水)に一時、200日移動平均線をやや深く割り込んでいた。100日移動平均線を割り込んだだけの米ドル/円と比べると、日経平均のほうがより大きな下落があったと言える。

米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

日経平均 日足(再掲載、クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 ゆえに、前記の「理由づけ」をあえてするなら、「日経平均の戻りの鈍さによって米ドル/円が戻し切れていない」という説のほうに軍配を上げられる。

 もっとも、相場における因果関係は一方的なものではなく、お互いに影響しあうものだから、どちらが「因」で、どちらか「果」であるかははっきりしない。

 したがって、こういった言い方は最初から健全性を欠いており、あくまで「閑話」の部類に入るだろう。

 この意味では、たとえ、まじめな新聞でも、斜め読みすることがときに必要かと思う。特に政治と相場に関する記事において。

 閑話休題。要するに米ドル/円と株の連動性、足元では米国株に比べると薄くなっているが、日経平均と比べれば、それなりの連動性を保っているということだ。

 では、なぜ日本株は米国株に対して出遅れているのだろうか?

■外人投資家はアベノミクス成功を確信していたのではない

 ジョージ・ソロス氏の売りで日経平均が崩れたといったウワサが示唆するように、「外国人投資家」たちがアベノミクスの成功に懐疑的になってきたという説がだいぶ聞こえてくるようになった。

【参考記事】
日経平均は「三空踏み上げ」で戻り弱し!ソロスも売りか。ドル/円100円割れ警戒!(2014年2月13日、西原宏一)

 しかし、筆者に言わせると、「外国人投資家」たちは別に最初からアベノミクスの成功を確信していたから日本株を買ったわけではなく、今になってアベノミクスに懐疑的になったわけではない。

 言い換えれば、昨年(2013年)、15兆8000億円超を日本株に投資していた外国人投資家が買っていたのはアベノミクス構想であり、その結果ではない。

 さらに突っ込むと、アベノミクスで日銀が前例のない超金融緩和を打ち出したので、外国人投資家はいわゆる金余りの金融相場にいち早く乗っただけ。アベノミクス自体が成功するかどうかはまた別問題だ。

 だから、外国人投資家が売ってきた理由も簡単だ、こういった金融相場が終わったから、新興国の混乱もあるし、利益確定に動いただけの話。

■日経平均には、混乱があると一番大きく下がるクセあり

 また、日経平均は何か混乱があった時、先進国株の中で一番大きく下げるクセがある。

 今回(2月4日の600円超の下げ)もそうだが、2013年5月23日、日経平均の下げ幅が1日で1143円に達したのも記憶に新しい。

日経平均 日足

(出所:株マップ.com

 それは日本株は外国人投資家の売買に左右される構造にあるからにほかならない。何かあった時、外国人投資家にはまず日本株を換金売りしておくという心理があることが垣間見える。

 だから、アベノミクスが成功するかしないかの問題とは別に、日経平均はこれからも外国人投資家の売買に翻弄されるので、米国株以上の変動率を引き続き覚悟したほうがよい。

 また、因果関係とは別の視点において、日経平均が戻し切れないことは、やはり外国人投資家が本気で日本株を安値で拾っていないことを暗示している。だから、日経平均と米ドル/円の連動性を考えると、米ドル/円の押し目買いもなかなかしづらいと思われる。

■相場は荒れるだろう。米ドル/円は100円の節目打診か

 外国人投資家の視点からみれば、日本株は外国株となるわけで、米国株の押し目買いには比較的積極的であっても、外国株には慎重ということになる。そうなると、今は本当の意味でのリスクオンの環境ではないことも示唆される。

 本当のリスクオンとは、海をまたいであらゆる投資チャンスを求める環境。足元の状況はそれとは明らかに違う雰囲気だ。

 その意味では、VIX指数の急落に見られるように、リスクオフへの再転換の地合いが整ってきていると思う。何しろ、VIX指数の12~14レベルは歴史的な低水準なので、これがこのまま維持され、米国株がどんどん上昇していくとはなかなか想定しにくいからだ。

VIX指数 月足

(出所:CQG)

 換言すれば現在、米国株はなおバブル的な水準にあり、調整はむしろこれからでは…とみる。

 ゆえに、日経平均は一段と荒れ、米ドル/円も100円の節目を打診することとなろう。市況は如何に。

米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

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