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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

「チャイナ・リスク」への市場の認識は大げさ
すぎる。ただし、本格的な危機はこれからだ

2014年02月07日(金)18:06公開 (2014年02月07日(金)18:06更新)
陳満咲杜

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■米ドル/円の100円台打診はオーバーな値動きではない

前回本コラムで指摘したとおり、マーケットの混乱は一段と拡大してきた。

【参考記事】
92年ポンド危機でポンド暴落。トルコ中銀の対応はそれと同じ!危機本格化はこれから(2014年1月31日、陳満咲杜)

 2月に入り、イエレン女史がFRB(米連邦準備制度理事会)議長に就任した途端、欧米株が暴落、日経平均に至っては2014年2月4日(火)に600円以上の下げ幅をもって1万4000円を打診したほどだ。 

日本株 日足

(出所:米国FXCM

 株安に比べ、米ドル/円の100円台打診は決してオーバーな値動きではなく、むしろ穏やかな下値トライの範疇に留まっているのではないかと見る。 

米ドル/円 日足

(出所:米国FXCM

 株の下落に関して、世間では「サプライズ」と表現する方が多い。2014年年初に出版されたマネー誌など、マスコミに掲載される識者や評論家の大半が強気で、1万4000円を年内の最安値とする予想も多かっただけに、早くも狼狽した模様。

■市場関係者たちの意見が一致したときほど注意が必要

 生意気に聞こえるかもしれないが、自分の経験上、重要なルールの1つで、また常に言ってきたように、専門家にしても個人投資家にしてもみんなの意見が一致したときほど要注意で、特に専門家と庶民の意見が合致した場合、もっとも厄介な結果を招く場合が多い。今回のケースもしっかりした教訓を残してくれた。

 ゆえに、今回の騒動は筆者にとってあまり違和感がなかった。

 昨年(2013年)年末から本コラムで繰り返し警告してきたように、そもそも波高しの時期(2014年1月10日17日のコラムを参照)だし、米ドル/円にしても日経平均にしても続落の余地十分(1月24日コラムを参照)だったから、相場がだらだら下げるか、それとも一気に下げるかは問題であったが、下げること自体は問題でなかったはずだ。

【参考記事】
今はもう、すでにポスト・アベノミクス。相場の春吹雪を覚悟したほうが良い!(2014年1月10日、陳満咲杜)
相場はそろそろ荒れるタイミング?米ドル/円は105.34円と103.02円に注目!(2014年1月17日、陳満咲杜)
恐怖指数上昇!2日で13%暴落の通貨も。米ドル/円も日経平均も続落の余地十分(2014年1月24日、陳満咲杜)

■値動きが先で材料はあとからついてくる

 何しろ、相場におけるもっとも大きな真実とは、「相場の内部構造こそが決定的なものであり、材料は常に値動きの後を追う形でその内部構造を証左してくれる」ということにある。

 調整が避けられない以上、何らかの悪材料が出てくるもので、またパニックを引き起こす。今回の悪材料は新興国通貨危機となったわけだが、それがなくてもマーケットは何かを見つけ、株売り・円買戻しの材料として使うはずである。

 言ってみれば、流れが変わる前には悪材料が無視され、好材料がさらに過大評価されるが、流れが変われば今度は好材料があっても無視され、悪材料ばかりに震撼するハメになるのが相場センチメントの本質であるから、問題は悪材料そのものよりも、その材料がマーケットに与えたインパクトやその材料をマーケットがどう受け止めたかにある。

■米金融政策の転換期とチャイナ・リスクがショックを増幅

 では今回、新興国市場の混乱でなぜマーケットが大きく反応しているのか。

 どうしてもファンダメンタルズ上の理由づけを出さなければならないのであれば、それはやはり、米金融政策の転換期に位置していることが大きかったのではないか。

 FRB史上最大規模の量的緩和策から大きな路線転換が図られている今、外資に依存している国々が投機筋に攻撃されやすいことは容易に推測でき、また、こういった国々自身が持つ構造的な問題が引き金になあったことも言うまでもない。

 と同時に、今回マーケットのショックが大きかったもう1つの問題も見過ごせない。いわゆる「チャイナ・リスク」だ。

 チャイナ・リスクに関しては、日本ではよく語られる懸念であり、よく知られている。中国崩壊を予測する書籍は、筆者が来日した1992年当時に比べ、非常に多くなっており、今や書店にあふれている。10年ぐらい前からこの類の本が圧倒的に多くなってきたのも世間の大きなトレンドを示している。

 問題はこの類の本は、一部の真面目な研究者を除き、ほとんどの作者が「ポジション病」にかかっていることだ。毎年予測を出し続けても、それが実らないのも周知のとおり。

■あなたは「ポジション病」にかかっているか?

 「ポジション病」とは何か。

 たとえば、自分が円売りポジションを持った場合、チャートを見ても円売りのサインしか見えないし、新聞を見ても円売りの材料しか目に入らないとしよう。それは間違いなく「ポジション病」だ。

 要するに、自分の結論ありきで、最初から色眼鏡をもって材料を探し、分析していくから、正論にたどり着くわけがないのだ。

 話が長くなったが、要するにチャイナ・リスクというものは「今年こそ」と繰り返されてきたし、新しいものではないが、中国の景気が懸念され、成長の減速が鮮明になってきた足元では、「今年こそ」が正論のように見えてくる。

 こういった疑心暗鬼の元、世界最大の外貨準備高を有する一党独裁の体制にもかかわらず、中国の銀行がデフォルトを起こし、金融大混乱で国が崩壊するといった憶測が氾濫、チャイナ・リスクがくすぶって、マーケットの恐慌を引き起こしたわけだ。

「今年こそ」と語られ続けてきたものの、いっこうにやってこなかった「チャイナ・リスク」だが…。写真は中国の中央銀行である中国人民銀行の上海支店。

■一党独裁の国だからこそ、問題はコントロールできる

 しかし、中国の事情を感情抜きで冷静に分析すれば、誰でも以下の結論にたどり着くだろう。

中国は一党独裁の国だから、銀行に本格的なデフォルトを起こさせて、金融の大混乱を許すわけがない。

 「金満中国」、少なくとも今はこういった問題を処理する体力を持っているから、いわゆる「シャドーバンキング」の問題はコントロールできる範囲にあり、処理をしていく公算が大きい。

 皮肉にも、シャドーバンキング問題にしても、不動産バブルにしても、一党独裁の中国だからこそ、コントロールができるわけだ。

 もっとも、中国がくしゃみをすれば、新興国は風邪をひく、といった構造が近年できあがりつつあるから、それが今回の新興国の騒動へつながっている。

 しかし、中国の存在感が語られると共に、存在感自体が過大評価されている側面も否定できない。

 まとめてみると、チャイナ・リスクに対するマーケットの今の認識は大げさで、そろそろ鎮火されていくだろう。それと連動した形で、新興国の混乱も、まず一服していく可能性もある。

■雇用統計後もドル/円は当面100.15円前後に留まるだろう

 今晩(2月7日)の米雇用統計次第で、相場はまた一波乱の可能性があるが、米ドル/円は当面、200日移動平均線(≒100.15円)前後に留まるのでは。 

米ドル/円 日足

(出所:米国FXCM

 日経平均もセンセイたちの言うとおり、当面1万4000円の大台にサポートされる可能性が大きい。 

日本株 日足

(出所:米国FXCM

 しかし、胸をなでおろして安心するのも早い。昨年(2013年)最後のコラムでは、イエレン・ショックの可能性を書いたが、今の下げをもって同ショックが過ぎたと見るのは早計だ。

 そもそも筆者は今回の下げをイエレン・ショックと見ていないし、本格的な危機はまだこれからだと思う。

【参考記事】
2014年春にイエレン・ショックの可能性! 米ドル/円の上値目標は110円と控えめに(2013年12月27日、陳満咲杜)

■NISA口座の保有者は引き続き我慢を!

 ところで、「NISAで損した」と最近多くの知人に泣きつかれた。彼らに対し、筆者は以下のように慰めさしあげている。

 「NISAとは日本株・いざとなったら・サービスとしてのアソシエイツの略だから、別にいいではないか」と。そういえば、NISA口座の保有者は、今はとにかく我慢と本コラムでは言っていなかっただろうか?

【参考記事】
今はもう、すでにポスト・アベノミクス。相場の春吹雪を覚悟したほうが良い!(2014年1月10日、陳満咲杜)

 我慢できなかった者は自分のお金をマーケットにサービスするしかない。とはいえ、マーケットがいつか我々にサービスしてくれる時期も必ずくるので、NISA口座はそのまま保有を。

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