■日豪首脳会談は日本にとって良い内容に
4月7日(月)、日豪首脳会談が行われ、日豪経済連携協定が大筋合意されました。本協定により日本から豪州への輸出額の3割未満であった無税品目の割合が、発効時にただちに8割を超える水準になります。
特に注目すべきは自動車部門です。具体的にはオーストラリアへの完成車輸出額の約75%が即時に関税撤廃され、中でも主力の1500cc超3000cc以下のガソリン車では関税がすべて撤廃されることになりました。
一方、牛肉の関税が引き下げられることになりましたが、こちらはセーフティーガードがかかっているため、大量にオージービーフが日本に入ってきて、日本の畜産業界に大きな痛手を与えるということにはならないと思います。
全体的に日本にとっては良い交渉でした。今後のTPP(環太平洋経済連携協定)の行方が注目されます。TPPが進めば株式市場にはプラス材料になると思いますが、こちらは視界不良です。
■豪ドル/米ドルのチャートに豪ドルの堅調さが出ている
さて、その豪ドルですが、非常に堅調です。
あとで説明しますが、少し全体的に円高になっている影響を受けて、豪ドル/円はもみ合いに入っています。しかし、対米ドル、つまり豪ドル/米ドルのチャートを見てもらえば、その堅調さがはっきり出ています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
上昇の要因は、前回のコラムでお話ししたとおりです。
【参考記事】
●豪ドル/円は100円あたりまで抵抗線なし!米国株堅調&円安で日経平均もしっかりと(4月3日、今井雅人)
相場はファンダメンタルズとポジション状況で動くと、私は常に話していますが、その典型のような動きです。
■豪ドル/米ドルは0.96ドルあたりまで上昇余地ありか
直近のIMM(国際通貨先物市場)のポジション状況を見ると、ほぼショートポジションがなくなってきていますので、ショートカバーは終わったと言えるでしょう。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
ここからは、上昇のスピードはやや鈍くなってくるかもしれませんが、もう少し上昇の余地はあるのではないかと思っています。0.96ドルあたりまでは視野に入れておいても良いのではないでしょうか。
■黒田総裁の会見後に米ドル/円ロング解消へ
ここからは、円相場の話に移りましょう。
米ドル/円は、この1週間(4月7日~)で市場の雰囲気が変わってしまいました。
一部は観測情報なので正しいかどうかはわかりませんが、市場で出ている話を整理しますと、まず、中国の中央銀行が外貨準備の調整でかなりの額の「米ドル売り・円買い」をしたということでした。
そして、その後、黒田総裁が日銀の金融政策決定会合後の定例記者会見で、「現在の日本経済の状況は好調で、需給ギャップもゼロに近づいてきているので、当面追加の金融緩和の必要はないと考えている」という話をしました。
ヘッジファンドなど一部の市場関係者は、4月中に追加緩和があるのではないかとの思惑で米ドル/円をロング(買越し)にしていたようで、黒田総裁の会見を聞いて、米ドル/円の買越しのポジションを売払いました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
さらに、FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録で…
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