■ユーロ/円は目下ベアトレンドの初歩段階にすぎない
次に、2014年3月28日(金)の本コラムで説明したように、週足におけるRSIが示す大型ダイバージェンスが効くかどうかは、これからRSIが50のラインを切るかどうかにかかっている。
【参考記事】
●RSIのシグナルを見るとユーロ/円は最大8円ほど大きく下落する可能性あり!(2014年3月28日、陳満咲杜)
この見方が正しければ、ユーロ/円の反転パターンはすでに証左されているから、今はベアトレンドの初歩段階にすぎないことがわかる。
(出所:米国FXCM)
ちなみに、RSIの50ライン割り込みは、2012年後半以来の出来事で、2013年年末高値までの上昇波の終焉や反落波の進行を一層強化さるサインと読み取れる。
約1年もかけて構築されてきたRSIの弱気ダイバージェンスがやっと効いてきたわけで、これがどの程度の水準で終わるのか想定しにくい。足元の切り返しは、あくまで下落変動におけるスピード調整とみなされるべきだろう。
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)とはいえ、ユーロ/円はインターバンク市場において直接取引される通貨ペアだから、ユーロ/円の内部構造から、ユーロ/米ドルや米ドル/円のトレンドを推測できる。
■1.4ドル乗せ失敗のユーロ/米ドルは長い下落トレンドへ
次にユーロ/米ドルに関してだが、1.4ドルの節目乗せに失敗したユーロ/米ドルは月足において、先月(5月)のチャートをもってトップアウト、また反転のサインをしっかり点灯していたので、これから長い下落トレンドをたどる公算が大きい。
(出所:米国FXCM)
ユーロの一段安は避けられない以上、目下の水準はやはりまだ下落の初歩段階にすぎないとみる。
■米ドル/円は104.12円をブレイクしなければ100円台割れ?
となると、これから米ドル/円の大幅上昇なしでは、ユーロ/円のブルトレンドへの復帰もないはず。
ユーロ/円と同様、先週(5月26日~)再度200日線にサポートされた米ドル/円は、目先リバウンドを強めているが、2014年年初来の下落波の構造を打破しない限り、ベアトレンドに位置し、早晩安値をトライするだろう。
では、米ドル/円の2014年年初から構築された構造とは何か。簡単なイメージとなるが、下のチャートが示すように、大型ジグザグ変動パターンである。
(出所:米国FXCM)
同パターンを打破するには、4月高値104.12円のブレイクが必要となり、そのハードルはずいぶん高いとみる。
2014年年初来高値105.44円~2月安値100.75円までの値幅を単純に繰り返すなら、104.12円から継続された下落波は100円の大台割れに至る計算になる。ゆえに、目下のリバウンドをもって、従来の見通しを否定するのは時期尚早だ。
■目下の米ドル/円のリバウンドは戻り売りのチャンス!
週足では、米ドル/円のRSIが約10カ月間をかけて構築してきた弱気ダイバージェンスも煮詰まりつつあり、RSIの50ライン前後におけるサポートは何回もその役割を果たしてきたものの、そろそろ限界に近く、今度の打診をもって下放れする公算が大きい。
(出所:米国FXCM)
この意味では、目下の米ドル/円のリバウンドは戻り売りのチャンスととらえるべきではないだろうか。
テクニカルの話に終始しているが、米ドル/円の上昇は日経225の値動きとリンクしており、ファンダメンタルズ上の材料によって支えられていることも承知している。
巷の大半は、こういった「官制材料」ばかりに目をつけ、米ドル高・株高の再来を見込んでいるが、筆者は引き続き、こういった材料の過大評価を危惧し、株安・円高のトレンドが終わっていないとみる。「官制材料」に関する検証はまた次回に。
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マンガは『あばれ花組』(集英社)などの作者・押山雄一さんです。
これはマンガとテキストが組み合わさったハイブリッド型の書籍となっており、FXの基本はもとより、陳さんならではのテクニカル指標の見方も解説されています。さらに資金管理法、トレーダーの心構えなども盛り込まれて、至れり尽くせりの内容。
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