金曜日はジャクソンホールでのイエレン議長のスピーチ待ち。それを期待しての株価などの上昇が続いた週だったが、そもそもFRBの議長にもある人が、私的な会合で金融当局としての政策変更を話すと考えているのだろうか。たしかバーナンキ議長の時期に、たとえ私的な見解としても、FRBの方針と違うことは外部で話すな、と釘を刺されたはずである。
しかもFRB議長という重要な地位を占める人が、FOMCでもない場で、容易に方針変更を決めるはずがない。それでも期待だけは高まり、米国株は歴史的な高値を越えてくるまでにリスクテークが進んでしまっている。
金曜日のイベントは、このジャクソンホールだけ。欧州時間はドル円は103円台の後半で、ユーロドルは1.32台の後半で始まった。いずれもドル高のレベルである。ドル金利の早期利上げのほうを期待しているのか。それでもドル金利は短期も長期も、ここ1週間ではかなり低下してしまっている。
金利安で株高はわかるが、ドル高に進んでいる為替相場だけが理屈に合わない方向に進んでいるとも言える。しかしマーケットは価格がすべてだ。理由は何でもよろしい。問題はドル高がさらに進むかどうかである。ドル円は104円台乗せのほうに向かうのか。ユーロドルはさらに下押しを敢行するのか。
さてイエレン議長の発言待ちで、様子見が続いた欧州時間。そしてニューヨーク市場が始まっても様子見が続いた。米国株が始まってからも、歴史的な最高値に張り付いたままである。そしてイエレン議長のスピーチが始まると同時に、ドル円は104円台に乗せてきた。もう高値張り付きで、上に行きたがっていたドル円のことだ。内容に関係なく、上攻めをしたのだろう。
それでもユーロドルも今年安値をブレークして安くなっている。それなりにドル買いの材料めいたことを話したのだろうか。ニュースで流れてくるものを眺めても、特に利上げを急ぐとか、そんなことは言っていない。結果的に見れば、マーケットが振らされたのは、イエレン議長が話し始めてから15分くらいの間だった。
ドル円は104.20まで瞬間的に上がったが、やはりドルの上値では、かなりの抵抗があった。イエレン議長の発言内容が従来の主張とあまり変わらなかったからだ。その後のニューヨーク時間ではほとんど動かず。ニューヨーククローズまでには株価も為替相場も全部が元のレベルにまで戻った。
今週は8月の最終週。ジャクソンホールが終わったことで、大きな材料は出尽くし。来週末の雇用統計までは大きなイベントに欠ける。ちょっとリスクテークし過ぎた先週までの反動が起こるのではないだろうか。言うまでもなく株価主導のマーケットとなるのだが、私としてはドル円が104円台に乗せてきても、そこを買っていきたくはない。
日本時間 15時30分
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