■米FOMCでは予想どおり、テーパリング終了へ!
10月30日(水)の日本時間明け方に、FOMC(米連邦公開市場委員会)が声明文を発表しました。
政策金利であるFF金利(※1)は0.0%から0.25%を目標範囲とすることで変更はありませんでしたが、これまで減額(テーパリング ※2)を続け、現在では月額150億ドルとなっていた資産買取りプログラムの終了を市場の予想どおり決定しています。
(※1 編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
(※2 編集部注:「テーパリング」とは、米量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
【参考記事】
●FOMCでドル高が進んだ3つの理由とは?米ドル高・円安が続く限り流れに乗って!(9月18日、今井雅人)
●米量的緩和10月終了へ。市場への影響は?このところポンドが上昇している理由とは?(7月10日、今井雅人)
●米FOMCにてテーパリング開始決定!米ドル/円は105円台半ばが視野に!(2013年12月19日、今井雅人)
また、フォワードガイダンスとして、「今月資産買取りプログラムを終了した後も、相当な期間(considerable time)、FF金利を現在の目標範囲に維持することが適切である」という文言もそのまま残すことになりました。
FRB(米連邦準備制度理事会)保有債券の満期分の再投資についても、今後も継続することを決定。この政策は、緩和的な金融状況を維持する一助になることも確認しています。
■「労働市場のたるみ」はなくなってきているか
ただ、大きく変更された点がありました。
それは、労働市場に対するFOMCの認識です。
前回は、「いくぶんさらに改善してはいるものの、失業率はほとんど変化しておらず、広範な労働指標はかなりの労働資源の未活用がいまだに存在していることを示している」としていたところを今回は一転して、「労働市場の状況は、力強い労働力と失業率の低下とともに、いくぶんさらに改善しており、結局は広範な労働指標が労働資源の未活用が次第に減少していることを示している」との見解を表明しています。
【参考記事】
●FOMCでドル高が進んだ3つの理由とは?米ドル高・円安が続く限り流れに乗って!(9月18日、今井雅人)
イエレンFRB議長が何度も指摘してきた「労働市場のたるみ」が次第になくなってきていることを示唆しました。
■ハト派の急先鋒が反対に回ったことが一番のサプライズ!
また、利上げの時期に対しても、「もし経済指標が予想しているより速いペースで改善していることになれば、我々の見通しよりも早めに利上げを開始するが、反対に指標が予想よりも遅いペースでの改善となれば、利上げ時期はより遅くなる」点にも言及しました。
そして、一部市場参加者からは、「これが一番のサプライズ」との声も聞かれているように、今回の声明文に反対したのは、これまでのフィッシャー米ダラス連銀総裁とプロッサー米フィラデルフィア連銀総裁ではなく、何とコチャラコタ米ミネアポリス連銀総裁でした。
簡単に言えば、これまでのFOMCでは「タカ派の急先鋒」が反対を表明していたものの、今回から「ハト派の急先鋒」が反対に回ったという非常に意味深い劇的な変化となりました。
■「タカ派」な声明文を受けて一気に米ドル買い!
為替相場は、この「タカ派」な声明文を受けて、一気に米ドル買いで反応しています。
米ドル/円は、10月30日(水)のアジア市場に、一時109.11円まで上昇しました(※)。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
ユーロ/米ドルも、一時1.2617ドルの安値まで売り込まれるという結果となっています(※)。
(※編集部注:本稿寄稿後に米ドル/円でもユーロ/米ドルでもさらに米ドル高が進んでいる)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
「エボラ熱」などのリスク要因が、これまで市場の不安…
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