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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

量的緩和&ギリシャ問題でユーロは下落!
ロシア株暴落、ルーブル下落もユーロ安要因

2015年01月29日(木)16:46公開 (2015年01月29日(木)16:46更新)
今井雅人

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■ECBの量的緩和策は期間がポイントだった

前回のコラムを書いた後、ECB(欧州中央銀行)の量的緩和政策が発表されました。

【参考記事】
スイス中銀決断の背景にECBの緩和策。ドル/円下落局面終了。ユーロ売り継続!(1月22日、今井雅人)

 内容は、月額600億ユーロの量的緩和(各国国債と民間債券の資産買取り)を実施するというものです。期間は、2015年3月から2016年9月までの間か、あるいは消費者物価指数が2%に達する見通しがついたときまでということになっています。

 だいたい事前に言われていたような内容となりましたが、期間が少し長かったという点がポイントだったと思います。この発表を受けて、ユーロはさらなる下落となりました。

■ECBの量的緩和、ギリシャ総選挙でユーロはさらに下落

 その後、週末の1月25日(日)にはギリシャの総選挙が実施され、緊縮財政反対派の野党である急進左派連合が勝利。単独で過半数を獲得することはできなかったものの、政権を握ることが確実になりました。

 翌日1月26日(月)には、ユーロはさらに下落し、ユーロ/円は一時130円台前半、ユーロ/米ドルも1.10ドル台後半にまで下落しました。

ユーロ/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足

ユーロ/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足

■SNBの介入もユーロ調整を後押ししたが、下落傾向は継続

 しかし、その後は、いったん大きなイベントが終わり、これからしばらく新規のネタもなさそうだということで、相場は一転。ユーロは対米ドル、対円ともに上昇しました。

 それまでのユーロの下落スピードがあまりにも速かったこともあって、こうした調整が起きたということだと思います。

 さらに、ユーロ/スイスフランの下限レートである1.2000スイスフランを撤廃して大混乱を引き起こしたSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])が、今週(1月26日~)に入ってから、連日ユーロ買い・スイスフラン売り介入を実施していたことも、買い戻しを後押ししたようです。

ユーロ/スイスフラン 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 4時間足

 しかし、ギリシャの問題はこれから本格化してくることになるでしょうし、ユーロ圏の金融緩和も2015年3月から実際に開始されるわけですので、中期的にはユーロの下落傾向は継続すると考えています。

【参考記事】
スイス中銀決断の背景にECBの緩和策。ドル/円下落局面終了。ユーロ売り継続!(1月22日、今井雅人)
2015年の最有望戦略はユーロ/ドル売り!パリティ(1ユーロ=1ドル)まで下落もあり!(1月8日、今井雅人)

■ロシア経済への打撃がユーロ下落要因に

 先日、米国の大手格付け会社S&Pがロシアの格付けを「BBB-」から「BB+」、いわゆる「投機的水準」に格下げをしました。

 これを受けてロシアの株式市場は暴落し、ルーブルも下落しています。

米ドル/ロシアルーブル 1時間足

(出所:CQG)

原油価格の急落がロシアの経済に打撃を与えているというのが大きな理由だと思いますが、その原油価格も、とても反転するような気配がありません。

NY原油 日足

(出所:米国FXCM

 むしろ、最大の産油国であるサウジアラビアからも1バレル=20米ドルの可能性を示唆するような発言も出てきています。

 そうなると、ますますロシア経済には打撃となる可能性が高いと思います。これもユーロの下落要因になってくる、と私は考えています。

■2015年半ばまでにFOMCは利上げ開始へ

 さて、1月27日(水)~1月28日(木)には、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。

 終了後には声明文が出されていますが、ポイントは2つ。

 1つは、米国の経済に対する見方をやや上方修正したことです。今回は、成長のペースについて、前回の「緩やかな(moderate)ペース」から「堅調な(solid)ペースで」という表現に変更されています。

 もう1つは、利上げの時期についてです。

 これに関しては、従来どおり、フォワードガイダンスとして「金利の正常化に対して辛抱強く(patient)」という表現になっていますが、前回声明文の中に残されていた「相当な期間(considerable time)FF金利を据え置く」という文言を完全に削除した上で、その後に状況が変われば、利上げが早まるというニュアンスの表現が添えられています。

【参考記事】
2015年の米ドル/円最終目標は135.20円!?さらなる株高・円安が進むとみる理由は?(2014年12月25日、今井雅人)

 逆に政策変更に際して考慮するべきものとして「国際情勢(international developments)」が追加されてはいるものの、こうした表現を見る限り、2015年の半ばまでにはFOMCは利上げを開始するのではないかという見方が、ますます強くなったということができると思います。

 これは、米ドルにとっては、ややプラスという程度の影響ではなかったかと考えています。

米ドルVS世界の通貨 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足

 ただ、逆に言えば、米ドル安方向に反転するリスクは弱まったということも言えるのではないでしょうか。

■米ドル/円は下がったところをしっかり拾っていくこと

 米ドル/円に関して言えば、現在117円台前半から118円台後半でのレンジ相場に入り込んでいますが、下に下がると日本の公的年金などがしっかりと買ってくることもあり、117円を大きく割り込んで落ちるようなことはおそらくないのではないかと思っています。

米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

 ただ、現状では上昇していくにも材料不足であるので、下がったところをしっかり拾っていくというトレードを心がけておきたいと思います。


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