■英ポンド/円は2カ月で20円もの暴騰!
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)に目を向けると、まず英ポンド/円の急騰に驚かされます。
4月30日(木)の当コラムでご紹介させていただいた英ポンド/円は、190円どころか195円も突破。一時195.85円まで急騰しています。
【参考記事】
●英ポンド/円は190円へ上昇濃厚! なぜ、ここに来て、英ポンドは注目を集めている?(4月30日、西原宏一)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
2015年4月14日(火)に174.87円という安値をつけていますので、2カ月で20円もの暴騰。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
さすがに、一気に200円を超えるのは難しいでしょうから、いったん調整局面入り。
■NZ中銀利下げ決定でNZドル下落
一方、英ポンドの急騰を横目に、じわじわと値を下げているクロス円もあります。それは、NZドル/円。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 日足)
2015年年初こそ底堅さを維持していたNZドルでしたが、ミルクプライス(乳製品に対する支払い価格)の下落に伴い、ニュージーランド経済は停滞気味。そうした中、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])は、6月11日(木)に利下げを決行しました。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移)
RBNZが利下げを実施したのは、2011年3月以来、約4年ぶり。これで、政策金利は3.25%となりました。
これに呼応して、NZドル/米ドルは0.7000ドル割れまで沈みました。
■利下げカードをちらつかせ、口先介入を繰り出すNZ中銀
ただ、その下落スピードが緩慢であったことに加え、前述のFOMCがハト派的であったこと、さらには、17日(水)に発表されたニュージーランドのGDPが下振れしたことに業を煮やし、ニュージーランド当局から下記のコメントが飛び出します。
「We need a period of lower exchange rate.」
(=我々には為替レートが一段と下落する期間が必要 ニュージーランド イングリッシュ財務相)
これを受けて、NZドル/米ドルは一気に、0.6900ドルを割り込み、一時、0.6880ドルまで下落しました。
この、イングリッシュ財務相のコメントから、市場参加者の間ではニュージーランド当局は、当面、NZドル/米ドルの為替レートを、0.7000ドル以下に沈めておきたいとの思惑が拡大しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/米ドル 日足)
■80円割れに向けて続落の可能性があるNZドル/円に注目
NZドルは対米ドルのみならず、対円でも値を下げ、本稿執筆時点では85円を割り込む展開。
RBNZは、2015年7月にも追加緩和を実施すると分析しているアナリストも増えてきており、現状、利下げというカードを持っているニュージーランド当局が発する口先介入は極めて効果的。こうした背景から、NZドル/米ドルは0.7000ドルレベルが当面重く推移しそう。
前述のように、米ドル/円が軟調なことから、NZドル/円は80円割れに向けて続落する可能性が濃厚です。
(出所:米国FXCM)
125円でトップアウトした米ドル/円に加え、利下げのカードをちらつかせながら、口先介入も繰り出すようになったRBNZの動きも気になる、NZドル/円の下落にも注目です。
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