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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル/円は当面145~150円±1円程度でレンジか。米利下げ織り込みでも、本邦勢の米ドル買い需要あり。39%関税でもマイナス金利否定のスイスフラン/円を押し目買い

2025年09月11日(木)11:02公開 (2025年09月11日(木)12:29更新)
西原宏一

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米ドル/円は当面、145~150円±1円程度のレンジに収束しそう。米利下げが織り込まれても、本邦輸入勢の米ドル買い需要で下げ渋り

 みなさん、こんにちは。

 為替市場において、通貨ペアの動きを説明する際にもっとも頻繁に引用される要因が「金利差」です。特に日米金利差は、米ドル/円相場を語る上で避けて通れない指標となっています。

 しかし、最近の市場動向を見ると、この「常識」が必ずしも通用しない状況が生まれています。

 米10年債利回りと米ドル/円の週足チャートを見てみると、2024年は年間を通して相関性が高く、米10年債利回りが低下すると、米ドル/円も低下傾向にありました。

米ドル/円&米10年債利回り 日足
米ドル/円&米10年債利回り 日足チャート

(出所:TradingView

 しかし、今年の4月2日(水)以降、その相関性は崩れます。4月2日(水)はトランプ大統領が「開放の日」と称し、相互関税を発表した日

 それをきっかけに、米国債売り(金利は上昇)、米国株売り、米ドル売りとトリプル安となっています。

 その後、マーケットは落ち着きを取り戻しますが、過去2カ月、米10年債利回りが低下しても、米ドル/円はあまり反応しなくなっています。

 これは、9月8日(月)の作戦会議コラムでもご紹介した「TARF」を利用した本邦輸入勢の米ドル買い需要が影響しています。


デリバティブのなかでは「TARF(ターフ)」と呼ばれる取引が広がっているという。通貨オプションを組み合わせた数年単位のものが主流で、企業側が「ドルを140円で3年間確保する」などと契約を結び、あらかじめ設定した上限額まで割安にドルを調達できる仕組み。「中小向けデリバティブの8割以上がTARF」(西日本の地銀)。
(出所:日経新聞)


 今週(9月8日~)も、米雇用統計の悪化をきっかけに、欧米勢は米ドル/円でも米ドル売りを仕掛けるものの、本稿執筆時点での米ドル/円の安値は146.31円どまり。

 ゴールドマン・サックスやモルガンスタンレーが米/ドル円の売りを推奨しているようですが、本邦輸入勢が145〜146円台で断続的に米ドル買い注文を置いているようで、米ドル/円は下げ渋っています。

 ただ、米金利先物市場で、年内2.7回程度の米利下げが織り込まれている中、ゴールド(Gold、金)が続伸し、他通貨では米ドル売りが進んでいることもあり、150円レベルで米ドル/円は上値を抑えられています。

当面の米ドル/円は145〜150円の±1円程度のレンジに収束しそうです。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 ただ、後述するクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が続伸しており、米ドル/円もレンジの上値をブレイクする可能性があるため、要注意です。

 そのクロス円での注目通貨ペアは、今週も史上最高値を更新したスイスフラン/円です。

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スイスフラン/円を押し目買い。米国による39%関税でも、SNBがマイナス金利否定で史上最高値更新

 今週のスイスフラン/円は一時186.22円まで上昇し、再び史上最高値を更新しています。

 このコラムでは「最強通貨スイスフラン」に対して強気で通してきましたが、トランプ政権がスイスにも攻勢をかけてきたため、いったん調整を警戒していました。

トランプ政権の攻勢というのは、スイスに対して39%という驚きの関税を決定したこと

 これに対して、マーケットではSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])が年内にマイナス領域へと金利を下げてくるとの見方が拡大したため、スイスフランの反落に警戒せざるを得なかったわけです。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は当面145~151円で方向感のないレンジか。最強通貨スイスフランに暗雲。39%関税に加え、医薬品への衝撃的な関税の可能性、SNBによる利下げの公算が高まる(8月7日、西原宏一)

 しかし9月9日(火)、SNBのマーティン・シュレーゲル総裁が「預金者や年金基金への悪影響を考慮し、マイナス金利への回帰には高いハードルを設けている」とコメントしたとの報道で、再びスイスフランが反発してきています。

 スイスは米国による39%関税の影響が懸念され、マイナス金利の予測が拡大していましたが、8月のインフレ率が3カ月連続でプラスを維持したことを受け、SNBが来年(2025年)も政策金利を据え置くとの予想が拡大。

SNB総裁もマイナス領域への利下げを否定したため、スイスフラン/円が史上最高値を更新しています。

スイスフラン/円 日足
スイスフラン/円 日足チャート

(出所:TradingView

 今回のスイスフラン円の上昇に関しては、米系銀行も買い推奨を出しています。


「ゴールドマン・サックス・グループとバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストは、安全資産としての円の魅力が政治的不確実性の高まりによって損なわれつつあるとして、円よりもスイス・フランを推奨している。
BofA日本部門の山田修輔主席FX・金利ストラテジストは8日のリポートで、円の財政リスクを取引に反映させるにはCHF/JPYのロングが最も分かりやすいかもしれないと指摘。スイスの財政面の健全性と、従来の安全通貨であるドルおよび円のリスクプレミアム上昇を挙げた。
マイケル・ケーヒル氏らゴールドマンのストラテジストも同様の見解を示し「日本で新たな政治的不確実性が生じていることは、スイス・フランにとって、またユーロにとっても幾分、支援材料となるだろう」と分析。米経済の先行き懸念や、米連邦準備制度理事会(FRB)による段階的な利下げが、両通貨にとって追い風になるとの見方を示した。
(出所:Bloomberg)


 個人的には、同じような材料でスイスフラン/円をロングにしていますが、米系銀行の推奨は心強く思う半面、マーケットにあまりスイスフランのロングが増えるのもどうかなという不安もあります。

 ただ、米国による39%関税発表で、スイスフランのロングは大幅に減っているはずなので、スイスフラン/円の上値は拡大したままだと考えており、押し目買いの方針です。


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