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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

スイスフラン/円の200円到達に現実味! Gold史上最高値、米ドル続落の環境でも、本邦勢の米ドル買いで米ドル/円は崩れず。SNBは静かなスイスフラン高黙認スタンス

2025年09月18日(木)14:30公開 (2025年09月18日(木)14:30更新)
西原宏一

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Goldが史上最高値を更新、米ドル続落の中で、米ドル/円が下げ渋るワケは?

 みなさん、こんにちは。

 今週(9月15日~)のマーケットでは、Gold(ゴールド、金)が史上最高値を更新したことが大きな話題となりました。NY金先物は一時、1トロイオンスあたり3740ドル台を記録しています。

NY金先物 日足
NY金先物 日足チャート

(出所:TradingView

 この急騰の背景には、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ期待があります。日本時間9月18日(木)未明、FOMC(米連邦公開市場委員会)では0.25%の利下げが決定され、市場では年内さらに2回程度の追加利下げが織り込まれています。

 パウエルFRB議長は会見で「労働市場が『非常に堅調』とはもはや言えない」と述べ、雇用環境の悪化が利下げ期待の背景にあることを示唆しました。

 この利下げ観測によって、ドルインデックスは7月1日(火)以来の低水準に下落し、ユーロ/米ドルは一時1.1878ドルまで上昇。

 一方、Goldの価格上昇には、各国中銀による金の買い増しや、トランプ大統領によるFRBへの圧力も寄与しています。ゴールドマン・サックスは金価格が5000ドルに達する可能性にも言及しています。

 こうした環境下で米ドルは売られる一方、米ドル/円は一時145.49円まで下落した後、147円台まで急反発し、145〜150円のレンジを抜け出せていません

 この背景には、先週のコラムでも触れたように、TARF(Term Auction Facility、ターフ)を活用した本邦事業法人の実需による米ドル買いが存在します。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は当面145~150円±1円程度でレンジか。米利下げ織り込みでも、本邦勢の米ドル買い需要あり。39%関税でもマイナス金利否定のスイスフラン/円を押し目買い(9月11日、西原宏一)


<先週のコラムより抜粋>
本邦輸入勢が145〜146円台で断続的に米ドル買い注文を置いているようで、米ドル/円は下げ渋っています。


 FOMC後には米系短期筋がドル売りで145.49円まで仕掛けたものの、その売りを日本勢の米ドル買いが吸収した格好となり、結果的に147円台まで踏み上げる展開に。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 このように、Gold高と米ドル安の環境でも、米ドル円は「売れそうで売れない」構造が続いているのです。

スイスフラン/円も史上最高値を更新。現在のSNBは緩やかやスイスフラン高は黙認する構え

 注目すべきは、Goldと連動するかのように、スイスフラン/円も186.39円まで上昇し、史上最高値を更新していることです。

スイスフラン/円 日足
スイスフラン/円 日足チャート

(出所:TradingView

 スイスフランの動きを読むうえでカギとなるのは、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])のスタンスです。

 SNBはこれまで、スイスフラン高を嫌って為替介入を断続的に実施してきましたが、最近になってスタンスが大きく変わっています。過去5年間の通貨政策の変化を見てみましょう。


(1) 2019〜2022年:デフレ回避のため「スイスフラン高抑制」に注力(マイナス金利+外貨買い・スイスフラン売り介入)
(2)2022年後半〜2023年:インフレ抑制を優先し「スイスフラン買い(外貨売り)」へ転換。ジョルダン総裁は「強いスイスフランはインフレ抑制に寄与」と発言
(3)2024年:金利政策を主軸にシフト、為替介入は年間12億フランに激減(前年は1329億)
(4)2025年:政策金利を6月に0%へ引き下げ、だが為替市場への関与は限定的に。 トランプ政権との関係もあり、大規模介入は困難との見方が優勢


 そして、今週明らかになったSNBの新たなスタンスは以下です。


●為替レートへのこだわりを捨てた:市場変動の緩和を優先
●「スイスフランは過大評価されている」との言及もなくなった
●総裁交代(マルティン・シュレーゲル氏)後、選択的な通貨政策へ
●金利据え置き観測が強まり、為替介入の可能性は後退


 現在のSNBは、急激なスイスフラン高には対応するものの、緩やかなスイスフラン高については黙認する構えです。

スイスフラン/円に200円シナリオが浮上。複数のヘッジファンドや大手金融機関が買いを推奨

 こうした中、対米ドルではなく対円でのスイスフラン買いが市場の注目を集めています。

 米ドル/円が下げ渋っている以上、円を売ってスイスフランを買う「クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)トレード」が有効になるためです。

 実際、ゴールドマン・サックスやバンク・オブ・アメリカ(BofA)など複数のヘッジファンドや大手金融機関がスイスフラン/円のロング(買い)を推奨しています。

 その背景には安全資産としてのスイスフラン需要の高まり、SNBの「静かなスイスフラン高黙認スタンス」、本邦事業法人の米ドル買い需要により米ドル/円の下落余地が限定的なことなどの複合要因があります。

 現在の為替市場では「米ドルは売られるが、米ドル/円は崩れない」という構造が定着しつつあり、スイスフラン/円は200円到達の現実味が帯びてきました

スイスフラン/円 月足
スイスフラン/円 月足チャート

(出所:TradingView

 今後も金価格の動向とSNBのスタンスには要注目です。


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