■米国株は大きく反落する時期に差し掛かっている
米国株式市場のサイクルについてはまた別途詳説したいが、簡単に言うと、リーマンショック後の安値から一貫して上昇してきた米国株は、本格的な調整を経験せずに史上最高値(NYダウ、S&P500やナスダック指数)を更新してきたから、大きく調整(反落)する時期に差し掛かっている。
中国クラッシュに米利上げ、タイミング的にも合っているから、ここからリスクオフ局面の到来にしっかり備える必要に迫られるだろう。
(出所:米国FXCM)
シンプルに言えば、リスク資産から手を引くことが大事である。
為替市場では、リスク資産と言えば、まず新興国通貨が挙げられるだろう。次は豪ドル、加ドルなどの資源国通貨である。
■リスクオフでユーロが買われている背景にあるものとは?
メイン通貨では、短期スパンの反応と中長期スパンの反応が違ってくるので、要注意だ。
典型的なのがユーロであろう。最近中国株の動向をにらみ、リスクオフの動きがあれば、ユーロが売られるのではなく、むしろ、買われている。その背景には、ユーロがキャリートレードの対象になっていることが見逃せない。
要するに、ギリシャ問題を抱えるユーロ圏は、これからもQE(量的緩和策)を継続していく公算が大きく、また実質マイナス金利になっているから、借入通貨として調達されているということだ。キャリートレードがうまくいく環境の大前提は、低い変動率であることから考えると、マーケットが激動期に入ると、キャリートレードの手仕舞いが続出しやすいことも容易に推測できる。
したがって、リスクオフ局面におけるユーロ買いの正体はキャリートレードの手仕舞いで、これは調達された(売られた)ユーロの買戻しを意味するから、ユーロ高につながったわけだ。
このような動きがいつまで続くかは目先なお判断しにくいところがあるが、いつまでも続くとは限らないことも明白で、欧米金融政策の格差から見ると、いずれ元のトレンド(ユーロ安・米ドル高)に復帰するだろう。
ただし、短期スパンに限っては、しばらくこういった逆転が続くなら、ユーロ/豪ドル、ユーロ/円などクロス通貨ペア取引のほうに妙味があるかもしれない。
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
■リスクオフの円買いはなお健在で、しばらく続きそう
肝心の円に関しては、リスクオフの円買いはなお健在で、しばらく株式市場と連動し、円安トレンドに対する修正が続くだろう。
(出所:米国FXCM)
スピード調整に留まるか、それともトレンドを転換させるかを判断するのは、これからのチャイナショックがどれぐらいのものかによって決定されると思うが、2011年を起点とした「史上最大」の円安トレンドは、そろそろ頭打ちとなって、トレンド転換する気運が高まりつつあるとみる。
(出所:米国FXCM)
このあたりの詳細はまた次回。市況はいかに。
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