■値動きは荒いままだが、一方的な円高の流れはストップ
前回のレポートで、今回の株安・円高の動きは、あまりにも動きが急であることから、早晩、いったん終了するのではないかという見方を紹介しました。
【参考記事】
●月曜朝方の突っ込みで流れが変わった?でも下げ止まっても2016年は強気になれず(1月14日、今井雅人)
その後、株価は下落が続くこともありましたが、円相場の方は、動きは荒いままであるものの、一方的な円高の流れはいったん収まっています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
■株価も反発、ある程度、円安方向へ向かう可能性あり
下のIMM(国際通貨先物市場)のポジションにもあるとおり、投機的なポジションは、すでに円買いに向かっているので、さらに大きく突っ込む可能性は低いのではないかと考えています。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
ですから、少し、株も反発、為替市場もある程度、円安方向に向かう可能性も十分あると考えています。

(出所:株マップ.com)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■日銀金融政策決定会合で追加緩和などされれば…
戻りのメドを考えるのは非常に難しいのですが、この問題がスタートした出発点にまで戻ることは考えにくいと思います。米ドル/円では120円、日経平均では1万9000円あたりまで戻るのは、正直難しいと思うのです。
ただし、来週1月28日(木)~29日(金)に実施される日銀の金融政策決定会合において、今回の状況に対応して緊急の対策、たとえば、緊急の金融追加緩和策などが講じられれば、戻りはかなり大きくなってくるかもしれません。
来週の週末は、十分注意をしておいてもらいたいです。
■景気悪化でも、公共投資ができない中国政府に打つ手なし
しかし、ここで1つ考えておかなければならないことは、この混乱の本質的な問題が解決しているかどうかということです。
言うまでもなく、今回の混乱は、中国経済の低迷と原油安によるもの。
【参考記事】
●急激な円高は一服か。けれど2016年は強気相場にならない。1月に日銀追加緩和も…(1月7日、今井雅人)
中国経済は、2015年に6.9%という成長率だったようですが、貿易の縮小や電力消費量の低下、鉄道貨物輸送量の低迷などを見ると、6.9%という数字すら疑わしくなってきます。
以前のレポートにも書きましたが、中国はリーマンショック以降、莫大な金額の公共投資を景気対策として推し進めた結果、過剰投資、過剰供給に陥ってしまいました。
【参考記事】
●上海総合指数は年初来、約15%の下落!中国経済は四面楚歌の状況に陥っている(2013年6月27日、今井雅人)
こういう状況ですから、今回景気が悪くなったからといって新しい公共投資はとてもできない状況になっています。つまり、中国政府としては、打つ手がないということです。
■問題は長期化! 戻れば米ドル/円、クロス円は売るところ
一方、原油価格ですが、これも先行きは非常に悲観的です。
中国を中心とする景気の低迷で需要が減ってきているのに、産油国は生産調整をするどころか、逆に増産をする有様です。
さらに、イランの経済制裁解除によってさらなる供給が出てきますし(日量で100万バレル程度)、米国も原油の輸出解禁に踏み切りました。
供給は緩むばかりです。これでは、悲観的に考えざるを得ないのも皆さん、わかっていただけると思います。
したがって、この問題は間違いなく長期化します。

(出所:CQG)
であれば、2016年は、この問題に長期間悩まされるということになるでしょう。
そういう状況であるから、仮に日銀や政府が何らかの対策を講じたとしても問題の本質を解決できるわけではないことは明白であるので、その影響は、一時的に終わる可能性が高いと考えています。
仮に大きく戻るようなことがあったら、そこは米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)ともにしっかり売っていくことだと思っています。
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