■米ドル/円はテクニカル的に上昇のサインが出ていた
米ドル/円でみると、1月20日(水)のチャートが重要な意味合いを示唆していた。この意味合いは、筆者が月曜(1月25日)朝のレポートをもって詳しく解釈していたので、一部を引用し、テクニカル上の蓋然性を説明したい。以下本文。
アナリシス:先週波乱、115.96の安値をトライした後反転、118.77にて大引けした。先週ドル/円の値動き、リスクオフの強弱を表し、原油相場と高い相関性を示し、また人民元より香港ドルの動向がベンチマークと化していたことも重要であった。香港ドルや原油の落ち着き、一時的の可能性が大きいとはいえ、目先リスクオフの一服感が強く、今週為替市場もまず落ち着くでしょう。1月20日罫線、ピンバーの形をもって昨年8月24日安値に迫ったものの、その後反騰し、一種の「フォールス・ブレイクアウト」のサインを灯した(業者によって、8月安値の一旦割れも)。同サインの指示通りなら、今週まずリバウンドの余地を拓き、その後レンジ変動に留まるでしょう。昨年12月18日罫線が示した「フェイクセットアップ」のサイン、強い売りサインと解釈されてきただけに、同日高値123.55を起点とした下落幅が重視され、先週一旦同38.2%反騰位置の118.85をトライ、今週前半における押しが限定なら、同半分程度の119.75前後の上値余地が想定されるでしょう。もっとも、1月19日の罫線もピンバーと数えられ、同高値118.11がブレイクされていた以上、目先サポートになりやすく、また先週末安値117.53も目先の強い支持ゾーンを果たすでしょう・・・・・
■相場のシグナルが先。材料はあとからついてくる
実際、昨日(1月28日)から米ドル/円のさらなる上値余地をなんとなく「警戒」していた。テクニカル上のサインが強かったからだ。このサインに関しては、昨日(1月28日)のレポートにて説明していた。
ドル/円は昨日続伸した。日足におけるプライスアクションの視点では、昨日の高値打診、昨年12月18日高値を起点とした下落波の38.2%反騰位置の打診のみではなく、上放れのシグナルを点灯していた。そのシグナルは22日~26日罫線で形成した「インサイド」の上放れであり、また26日安値が1月13日高値から引かれた元抵抗ラインの延長線の再確認であった。更に、20日罫線が示した「フォールス・ブレイクアウト」のサインに続いているから、蓋然性が高いと見る。従って、昨日高値119.06のブレイクがあれば、120.20前後の上値余地を拓くでしょう。同ターゲット、22日値幅の上乗せとなり、シグナルの指示ターゲットと数える。
しかし、レポートを書いている時点で、何か特別な材料なしでは米ドル/円がガンガン上昇しにくいこともわかっていた。だから、本日(1月29日)、日銀の政策決定が、何かあるのではないかと思った。
このため、円絡みのストラテジーは、ターゲットをすべてオープンにしていたが、まさに本コラムを書いている間に、日銀のマイナス金利導入が伝わってくるとは…。
こう書くのは、自分のアナリシスがすばらしいと言いたいのではなく、「相場のシグナルに追随すれば、材料はあとでついてくる」という相場の真実をただ繰り返し強調したいからだ。今回の事例も然りである。
■マイナス金利導入でも昨年以上の円安は期待できない
さて、日銀のマイナス金利導入は、かなり大胆かつサプライズ的な決定だから、当面円安に作用することは間違いないが、果たして昨年(2015年)高値を超えて円安トレンドを引っ張っていくだろうか。結論から申し上げると、筆者の答えはノーである。
前回コラムの最後に記した、「相場の女神が救いの手を伸べてくれるはずで、その救いをムダにしてはならない」ことを再度強調しておきたい。
【参考記事】
●猫も杓子もソロス!ソロス!李万ショックはまだなのに市場がパニックした理由とは?(2016年1月22日、陳満咲杜)
市況はいかに。
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