■政府の経済対策は、単年でせいぜい2~3兆円規模
すべてが、明日7月29日(金)の日銀金融政策決定会合の内容次第という相場展開になってきました。
7月10日(日)の参議院選挙終了後、さまざまな憶測で相場が乱高下しています。

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最初は、建設国債を政府が発行し、それを日銀が直接買い取るのではないかという憶測が飛び交いました。また、秋の臨時国会で決定される政府の緊急経済対策に対する期待感も高まりました。
しかし、その後、政府の経済対策に関しては、全体規模では28兆円とも言われる大きな金額となっていますが、中身を見ると、真水が6~7兆円。それも複数年かけての数字であることもわかっています。単年では、せいぜい2~3兆円程度に留まる可能性が高まっており、期待感は一気に萎んできています。
【参考記事】
●「ポケモンGO」で任天堂も日経平均もGO↑ 3.3兆円買収劇で英ポンドは買われていた(7月21日、今井雅人)
■「ヘリマネは必要なし」と黒田総裁は、ハッキリ!
日銀に関しては、7月11日(月)と12日(火)にヘリコプターベンとも呼ばれるバーナンキ前FRB(米連邦準備制度理事会)議長が黒田日銀総裁、安倍首相と次々と会談したことから、「ヘリマネ」という言葉が独り歩き。
市場は、あまり確固とした根拠もないまま、期待だけを先行させて相場をはやしました。
【参考記事】
●「ヘリコプターベン」来襲で株高・円安! 「ヘリマネ政策」前提の期待先行相場続く(7月14日、今井雅人)
その後、7月21日(木)には、黒田総裁がBBCのインタビューで、「ヘリマネは必要ないし、可能性もない」とはっきり不要であることを発言したこともあって、当初の期待感は剥落してきました。
しかし、昨日7月27日(水)には、政府が50年国債を発行し、それをまた日銀が買い取るといった政策を検討していると一部で報じられたことをきっかけに、かなりの乱高下を演じたことは記憶に新しいところでしょう。

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■FOMCの結果からは、いつ利上げをするのかが曖昧
今週(7月25日~)は、米国でもう1つのビッグイベントであるFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。
日本時間7月28日(木)午前3時に公表された声明文では、「雇用データは、ここ数カ月で労働力活用の一定の増加を示している」などとして、米国経済の現状認識を上方修正させました。
また、「経済見通しの短期的なリスクは後退した」との文言を追加するなど、前回の会合からは利上げに対するハードルが低くなったことだけは確かですが、市場では「年内利上げの余地は残したものの、いつ利上げを行うかは依然として曖昧」との見方が台頭。
米長期金利の大幅な低下という反応となりました。

(出所:CQG)
市場でもその解釈について見方はかなり分かれており、結局のところ、8月に発表される7月の米雇用統計次第ということになりそうです。
■日銀の決定が前日までに事前に漏れることはない
そして、明日7月29日(金)には日銀が金融政策を発表します。
直近では、日経新聞が「正副総裁が追加緩和について検討に入った」と報じていることもあり、何らかの追加緩和が決定されるとの見方が大勢を占めています。
ところが、中身は? と言えば、3次元緩和の強化。つまりマイナス金利のさらなる引き下げや、金融市場調節額の増額、さらにはETF(上場投資信託)などの買入れ額の増額などを組み合わせたオーソドックスな追加策に留まるとみられています。
また、一部では「日銀のバランスシートを2%物価目標が達成された後も、そのまま維持するといったフォワードガイダンスを採用する」とか、「財投機関債を新たに買入れる」とか、これまでにはなかった「サプライズ」が必要ではないかとの声も聞かれています。
しかし、一般的に言って、日銀の決定が前日までに事前に漏れることはありません。したがって、実際に決定されてみないとわからないというのが実態であります。
■日銀追加緩和あっても、米ドル/円の反応は一時的
今週は、確認がとれないヘッドラインなどに振り回される相場展開となっていますが、やはり、きちんとした正式な政策決定を待つしかないでしょう。
為替相場ですが、これまでの日銀金融政策決定会合後の動きを見ても明らかなように、私は、どのような政策が決定されようが、持続は難しいのではないかと思っています。
仮に、多少のサプライズな追加策が決定されたとしても、米ドル/円の反応は一時的なものに終わってしまうと考えています。
【参考記事】
●日銀マイナス金利導入の影響は終わり!少しレンジディールに徹する時期にきた(2月4日、今井雅人)
そういった見方で週末のイベントに臨みたいと思います。

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