■アベノミクスに米国の年内利上げという朗報
それはFRBのフィッシャー副議長。
フィッシャー副議長が米CNBCテレビの生インタビューで「9月、そして、年2回の利上げ」は「イエレン議長の講演と整合的」と回答したのです。
先ほどから紹介しているように、2月の上海合意以降、米国株高、そして、米ドル/円は高値125円から20%もの調整、さらに原油は持ち直していました。
でも、フィッシャー副議長がこの発言をした時点で、上海合意は破棄され、FRBは利上げに対してフリーハンドを得たとマーケットは認識したわけです。
結果、このフィッシャー副議長のコメントを受けて、年内における米国の利上げ観測が急速に高まります。
100.00円割れ寸前まで急落していた米ドル/円も即座に反発。この流れを受けて、今週(8月29日~)の米ドル/円は一時、103円台ミドルまで上昇しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
今週末、9月2日(金)の米8月雇用統計を無事乗り越えれば、米国の利上げ観測はさらに高まることになります。
米雇用統計は9月2日(金)21時30分の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
米国の年内利上げ観測の高まりから、アベノミクスの課題であった円高がようやく沈静化の兆しを見せ、「株高・円安」へ回帰する可能性が出てきました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■日銀会合で想定以上の緩和策が発表されるとの見方も…
このコラムでも何度かご紹介してきましたが、ポイントはアベノミクス相場の高値と安値の50%戻しである100.60円。
【参考記事】
●ドル/円は105円決壊で100.60円へ下落中! 英ポンド/円は1カ月以内に30%乱高下!?(6月16日、西原宏一)
●ドル/円のボラティリティがリーマン以来の高水準! 日銀会合後の乱高下に要注意(7月28日、西原宏一)
(出所:CQG)
過去3カ月、ザラ場では、何度もこのレベルを割り込みましたが、クローズレベルでは100.60円でサポートされた展開です。
アベノミクスの課題であった為替が安定の兆しをみせたことから、日銀の追加緩和が効力を得る環境が整ってきました。
そして、9月20日(火)~21日(水)にかけて開催される日銀金融政策決定会合に向けても、期待が高まっています。
どのような形になるかはわかりませんが、今月(9月)の日銀金融政策決定会合では、さらなる追加緩和が決定されるという観測が高まってきました。
今週(8月29日~)、某欧州系銀行から、「今月(9月)の日銀会合では、マーケットが想定している以上の緩和策が打ち出される」というレポートが出ていることも話題に。
■浜田宏一氏は「日銀が外債を買う手段もある」とコメント
また、浜田内閣官房参与は、日銀が外債を買うという手段もあるとコメント。
日銀の外債購入も選択肢=浜田内閣官房参与
安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は30日、日銀による金融緩和強化にもかかわらず、外為市場で円高が進行しているのは、アベノミクス失敗に賭ける投機的な動きとし、政府の市場介入が難しければ、日銀による外債購入も選択肢との見解を示した。
ロイターとのインタビューで述べた。
日銀が1月にマイナス金利政策、7月に上場投資信託(ETF)の買い入れ倍増など追加緩和に踏み切ったものの、為替市場で円高圧力が継続している背景について「投機によって為替市場がゆがめられている」との認識を示した。
本来であればマイナス金利によって、低金利通貨を借りて高金利通貨に投資するキャリートレードで「ドル買いが起こるはずだが、起きなかった」と指摘。
さらに「ヘッジファンドと推察されるが、アベノミクスに正面から戦いを挑んでいると受け止める必要がある」と警告した。そのうえで「政府はどうすれば為替市場を正常化できるか考えるべき」と強調した。
具体的には「為替の過度な変動には、市場介入すべき」としたが、米国からの理解は得がたいとし「もう少し穏やかなかたちとして、日銀が外債を買うことも選択肢」と言及。市場で大規模な国債買い入れの限界も意識される中で「外債はいくらでもある。日銀も楽になる」との見方も示した。
(出所:ロイター)
アベノミクスの課題であった為替問題に、米国の利上げという朗報。そして、今月(9月)の日銀金融決定会合に向けての期待の高まり。
懸念は、米国の利上げ観測の高まりに呼応して、売り圧力がかかる米国株が安定推移できるかどうか?
アベノミクスの課題であった為替問題に加えて、米国の利上げという朗報、反発の兆しをみせてきた米ドル/円の行方に注目です。
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