■日銀会合の結果と政府の経済対策に市場は大注目
みなさん、こんにちは。
今回の日銀金融政策決定会合はいつも以上に注目が集まっていますが、その注目度が想定以上のものとなっています。
その背景は、過去のコラムでご紹介したとおり、「ヘリコプターマネー」期待。
【参考記事】
●ヘリコプターマネーの憶測でアベノミクスに反撃の兆し? ドル/円は107円が焦点!(7月14日、西原宏一)
実際には、ヘリコプターマネーは財政法第5条で禁止されていますので、「擬似ヘリマネ」期待となります。
日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条により、原則として禁止されています。
出所:日本銀行ウェブサイト
加えて、マーケットの注目を集めているのが、8月2日(火)に政府が閣議決定する経済対策で、その事業規模は28兆円。
安倍晋三首相は27日、福岡市で講演し、8月2日に閣議決定する経済対策について「事業規模で28兆円を上回る総合的かつ大胆な経済対策をまとめたい」と表明した。
国と地方の財政支出(真水)や財政投融資を合計した財政措置は13兆円とする方針も示した。「真水」で6兆円超、財政投融資も6兆円超とする方向だ。
出所:日経新聞
通常、為替マーケットは財政政策に無関心。
ただ、7月29日(金)に日銀が政府に呼応して追加緩和を発表するとの思惑が強いため、今回、「日銀の追加緩和と政府の経済対策」がマーケットの大きな注目を集めることになっています。
■ドル/円のボラティリティがリーマンショック以来の高水準に
ここで驚くのが、米ドル/円の1週間物のボラティリティが24%にまで高騰していること。

(出所:CQG)

(出所:CQG)
これは、先月(6月)の英国国民投票前の英ポンド/円のボラティリティを連想させるほどの急騰です。
【参考記事】
●ドル/円は105円決壊で100.60円へ下落中! 英ポンド/円は1カ月以内に30%乱高下!?(6月16日、西原宏一)
■あまり多くの選択肢がない日銀の決定だが…
では、明日(7月29日)の日銀金融政策決定会合において、どんな材料が米ドル/円のボラティリティを急騰させているのでしょうか?
実は、日銀の決定には、あまり多くの選択肢はありません。
(1)フルパッケージの金融緩和
マイナス金利の深掘りや量的質的金融緩和(QQE)の拡大。
これはマーケットの予測の範囲内であるため、米ドル/円は2~3円上昇の後、急反落。
(2)変更なし
変更なしであれば、失望で米ドル/円は急落。
(3)擬似ヘリマネ
これは、マーケットの予想を超えているので米ドル/円は暴騰。
これらがマーケットのコンセンサス。注意したいのが、(3)以外は結果として円高を期待している参加者が多いということです。
「フルパッケージの金融緩和」で米ドル/円が上昇後、下落というのは、相場の基本。
いわゆる「事実で売る(Sell The Facts)」ではあるのですが、今回、この流れがコンセンサスになりつつありますので、(3)の場合の急反発には要注意。
加えて、(1)と(2)の場合の米ドル/円の下げ幅。
通常であれば、4~5円の下落幅だと思われますが、気になるのが、前述の米ドル/円の1週間物のボラティリティ。

(出所:CQG)
24%のボラティリティということは、米ドル/円が下落するにせよ、反発するにせよ、その値幅は4~5円ではなく、もっと大きな値幅を想定しておく必要がありそうです。

(出所:CQG)
米ドル/円という通貨ペアは、流動性が枯渇することはまれで、資金管理しやすい通貨ペアと言えるのですが、その米ドル/円のボラティリティがこれほど高いことには要注意です。
先月(6月)のBrexit(英国のEU離脱)時の英ポンド/円と同様、今回の日銀金融政策決定会合時の米ドル/円トレードに関しては、方向性より、資金管理に留意して、乱高下に巻き込まれないようにしたいところです。

(出所:CQG)
来月(8月)のみならず、2016年後半の米ドル/円の方向性を占う意味で、注目度を増している、明日(7月29日)の日銀金融政策決定会合の結果公表。
急騰しているボラティリティ環境下では、米ドル/円の方向性よりも、乱高下に巻き込まれないようにトレードしたいところです。
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