■FOMC議事録を受け、米ドル高が一段と進む
9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が公開された後、米ドル高が一段と進み、米ドル/円も昨日(10月13日)高値104.64円まで切り返した。
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要するに、「早期利上げが適切」といったFOMCの議事要旨にマーケットが反応したわけだ。
一方、ここまで来ると「早期利上げ」自体の意味が薄くなっているというか、やや滑稽に聞こえる。何しろ、昨年(2015年)年末の時点では、2016年にはFOMCが4回利上げすると予想されていたし、その後「最低2回」と修正された経緯がある。
が、いつの間にか「2016年年内利上げの有無」の論争となり、いくら早期と言っても結局12月にあるかないかの問題で、はたして早期と言えるかどうかと違和感を覚える方も多いかと思う。
このせいか、「FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げ詐欺」をしていると激しく批判する者も出たほど、イエレンFRB議長をはじめ、FRBに対する厳しい意見が散見される。
■FRBが利上げに踏み切れないこと自体が示すものは?
こういったリスクを承知した上で、FRBが利上げに踏み切れないこと自体、「経済成長や雇用環境の改善にFRBが確信をもって判断できずにいる」というほかない。だから、いくら「早期利上げ」と主張しても、利上げ自体がなお流動的で、たとえ今年(2016年)12月の利上げ可能性が大きくなっているとしても、現時点では確実視すべきではないかと思う。
最大の障害は、景気や雇用よりも米大統領選の結果であろう。確かにトランプ氏は現在苦戦している模様だが、クリントン女史がそれでも圧倒的な支持率を獲得していないので、結果がどうなるかは油断できない情勢だ。
10年前とはいえ、トランプ氏の猥褻話は下品すぎて、普通ならとっくに退選に追い込まれてもおかしくないが、それでも彼が一定の支持率をキープしていること自体、クリントン氏への逆風と読むべきかと思われる。
いずにせよ、米大統領選自体が流動的で、6月の英EU離脱投票と同様、市場のコンセンサスが「裏切られる」リスクが大きいから、現時点では慎重なスタンスを保つべきだと思う。
■米大統領選決着まで断定的な見方は避けるべき
もっとも、政治的な要素を配慮しないことはFRBがずっと表明してきたスタンスであり、米大統領選自体よりも、金融市場の動向が障害としてあり得る。
言うまでもないが、「問題児」のトランプ氏が米大統領に選出される場合、一時的にせよ、世界金融市場の動揺が避けられず、状況次第ではFRBが利上げできなくなるといった可能性も十分想定される。
トランプ氏が苦戦と伝われば伝われるほど、このような「サプライズ」が発生しやすく、また影響力(破壊力とも言うべきか)も強くなるから、米大統領選の結果が出るまで、米「早期利上げ」に関する断定的な見方を取らないほうが無難だ。
■米ドル/円が直ちに円安方向に進むという確信は持てない
米ドル/円に関しては、要するに円高方向に動くモメンタムが大分低下しているものの、直ちに円安方向に進むかと聞かれると、確信を持てない。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
目先、市場は「米早期利上げ」云々で米ドル買い・円売りを仕掛けているが、前述のように、もはや「早期」などと、とても言えない現時点では、単に材料の蒸し返しにすぎない、といった感じが強いから、継続力には疑問がある。
もっとも、2012年末から昨年(2015年)夏場までの…
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