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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

トランプ氏は不確実性の塊! 「もしトラ」が
実現すれば米ドル/円は100円割れも!

2016年11月07日(月)18:35公開 (2016年11月07日(月)18:35更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■「不確実性の塊」に要注意!

いよいよ米大統領選の投票日が明日、11月8日(火)に迫ってきました。


今朝になってFBIは「クリントン氏を訴追しない」と明らかにし、米ドル/円は大きく上窓を開けてスタート。

【参考記事】
ヒラリー氏のメール問題をFBIが捜査再開! 米大統領選直前に発表した理由とは…!?(10月31日、西原宏一&大橋ひろこ)

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足

でも、このままヒラリーさんで決まってすんなり上昇するかというと、そうも思えませんよね。

先々週(10月24日~)まではヒラリー圧勝の空気でトランプが挽回する気配すらなかった。


それがメール問題の再燃で一変。トランプが猛追しましたが、政治的な圧力なのか、「やっぱり訴追なし」。


ただ、トランプは「不確実性の塊」。「もしトランプが大統領になったら」(もしトラ)の可能性はゼロにはなりません。

【参考記事】
トランプリスクさえ乗り切ればドル/円上昇。米大統領選の注目度高めた2つの理由は?(11月4日、西原宏一)

トランプ氏は「不確実性の塊」。「もしトラ」の可能性はゼロではない

 トランプ氏は「不確実性の塊」。「もしトラ」の可能性はゼロにはならない

(C)Win McNamee/Getty Images

投票は明日(11月8日)の午後から。どこの州を誰が取ったという話でボラティリティが高まりそうですね。

「スウィングステート」と呼ばれる、民主党と共和党の支持者が拮抗した州の動向を見ながら乱高下しても、そこではAI(人工知能)やHFT(超高頻度な自動売買)が大活躍するでしょうから、短期で追随するのは難しそうです。

【参考記事】
ソニーFHDの尾河眞樹さんに聞く(1) 米大統領選挙、トランプ大逆転の可能性は?


■「もしトラ」なら100円割れ、ヒラリー当選なら105円

過去の選挙ではオハイオ州で勝った候補が28回中26回、大統領となっているそうです。

 

あとはフロリダ州やジョージア州といった州も注目されていますね。

大差がつくようなら、11月9日(水)の午前中からお昼には決まるのでしょう。


気になるのは為替の動きですが、コンセンサスとしては「もしトラ」が実現すれば、瞬間的に米ドル/円は100円割れ。ヒラリー当選なら105円といったところ。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(出所:CQG)

多くの人がヒラリー勝利を予想しているので、ヒラリー勝利で上がったところには「セル・ザ・ファクト」の利食い売りが入りそう。ただ、その場合も大きく下げず、底堅いイメージです。

多くの人がヒラリー勝利を予想しているので、ヒラリー勝利で上がったところでは利食い売りが入りそう

 多くの人がヒラリー勝利を予想しているので、ヒラリー勝利で上がったところでは利食い売りが入りそう (C)Chip Somodevilla/Getty Images

トランプ勝利で米ドル/円が100円を割ったところは買いたくなる人が多そうですよね。

そのときは株価、東京市場の時間帯なら日経平均の動きを見ながらでしょうね。


トランプ大統領となっても1万6000円を割るほどの急落にならないようなら、買ってもいいかなと思います。一方、1万6000円を割って下げていくようなら株価を見ながら戻り売りになるでしょう。

日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:株マップ.com

ただ、もうひとつ気になるのが議会選挙。「大統領は民主党のヒラリー、議会は共和党」という「ねじれ」が続くようなら、ややこしくなる。

■欧米メインプレイヤーも東京市場から待機するはず

あとは時間帯ですよね。結果が出るのはおそらく東京市場。そこでの反応が欧州市場、NY市場で否定される可能性もありますか?

それはないでしょう。英国民投票や今回のようなあらかじめ時間の決まったイベントでは、欧米のメインプレイヤーもモニターの前で待機しますから。


むしろ待機していなかったプレイヤーが欧米市場で追随することで東京市場での動きが加速する可能性のほうが高いと思います。

州ごとの結果や速報を見て、投機筋が仕掛けてくることもあるでしょうし、明日は荒れそう。


ムリをせずに休むのもいいかもしれない。私は100円台で買った米ドル/円のポジション以外はもう決済しました。

メルマガ「FXトレード戦略指令!」でも既報のとおり、少なくともポジションは軽くしておくべきだし、不確実性が高いのでスクウェアにするかもしれません。

乱高下に惑わされず、「いくらまで下がったら買う、どこで損切る」と方針を決めておくのがよさそうですね。

ムリをせず、結果が出てから追随してもいいと思います

 

Brexit(英国のEU離脱)では英ポンド/米ドルの1.35ドルという明確なターゲットがあり、実際、Brexit決定後の相場はそこから始まりましたが、今回はそこまで強いコンセンサスもないですから。

【参考記事】
ついに英国のEU離脱が確定的な状況に!! 英ポンド暴落、米ドル/円も100円割れ!


■ひっそりと下げている原油にも警戒を

あとは気になるのが原油。30日(水)のOPEC(石油輸出国機構)総会を前にWTI原油価格が45ドルを割ってきています。

 

9月の減産合意が実現できない可能性が高まっているためです。

WTI原油先物 日足
WTI原油先物 日足

(出所:CQG)

過去、米大統領選が為替を大きく動かしたことのほうが少ないですし、原油の動向にも注目ですね。


これが40ドルを割り込んでくるようだとリスクオフの動きが強まるかもしれない。50ドル前後にいてくれれば安心なのですが。


■ニュージーランドの利下げは最後か

11月10日(木)早朝にはRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の政策金利発表もあります。

NZ政策金利
NZ政策金利

米雇用統計は11月10日(木)午前5時の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移

利下げの織り込み度合いは77%。利下げする可能性が高そうですね。

ただ、予想では利下げはあと1回


労働市場やインフレ指標も強めの数字が出てきていますし、今回が最後の利下げとなれば、材料出尽くしでNZドルは買い戻される可能性もありそう。

NZドル/米ドル 日足
NZドル/米ドル 1時間足

(出所:CQG)

英ポンドも反転が始まっていてテクニカル的には上昇が続きそうなので、どこかでユーロ/英ポンドのショートも考えているのですが、いずれにせよ、米大統領選が終わってから。


米大統領選が終わるまでリスクを抑えてキャッシュに戻しているプレイヤーたちも結果が出れば動き出す可能性があります。


そうした動きにも気をつけながら、ギャンブルにならないよう、焦らずトレードしていきたいですね。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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