■メール問題の再燃、FBIは共和党寄りの傾向
10月28日(金)の深夜、ヒラリーさんのメール問題が突然、再燃。FBI(米連邦捜査局)が捜査を再開すると発表しました。
ヒラリーさんはしっかり反論もしているし、訴追を見送った7月の決定が覆ることはないと考えています。
米大統領選の投票日は来週、11月8日(火)。このタイミングで捜査再開ということは選挙がらみの動きなんでしょうね。
ひとつは、これまでやられっぱなしだったトランプさんが反撃に出たということ。
トランプさんの当選確率が急低下していましたから、このまま選挙戦へ突入することは想像しづらかった。
もうひとつは、FBIという組織がもともと共和党寄りだということもあるのでしょう。
ヒラリー氏のメール問題でFBIが再捜査に乗り出すことを発表。そこには、FBIが共和党寄りということがある模様 (C)Ramin Talaie/Getty Images
■好調な米GDPの要因は大豆豊作にあり!?
投票日が近づいていますから、手仕舞いの動きも出やすいんでしょうね。これまで上がっていたものは押しやすいし、下がっていたものは戻りやすい。
FBIの発表直後、米ドル/円は下がりましたし、トランプリスクの警戒で金は上昇。金と同じように動きやすいビットコインは週末にも取引できるため、この土日に直近高値を更新しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 日足)
米ドル/円は下がったといっても104.50円程度まで。
ここまでの米ドル/円は高値をつけると1円から1.50円程度の押し目をつくりながら上がってきました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
今回も同じ動きだと言えます。メルマガ「FXトレード戦略指令!」で解説しているように104円、105円と大台を越えたら一部を利益確定して押し目で拾い直す、といったようにトレードすると楽ですよね。
FBIの再捜査が発表される直前には米GDPも出ていましたよね。予想を上回る2.9%の強い数字でしたが、米ドルはあまり買われませんでした。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国GDP成長率の推移)
個人消費が思ったほど伸びていないことも要因でしょうが、注目してほしいのが大豆。
今年(2016年)後半、アメリカでは大豆やとうもろこしが大豊作で価格が下がっているんです。
(出所:CQG)
そのため、中国が大豆輸入を南米産からアメリカ産にシフトし、アメリカの大豆輸出が好調だったことも米GDPを押し上げる要因となったようです。一時的な要因なので要注意ですね。
■日米英豪の中央銀行が集中するも、すべて据え置きか
今週(10月31日~)は日銀やFOMC(米連邦公開市場委員会)、MPC(英金融政策委員会)、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])と日米英豪で中央銀行の会合があります。
コンセンサスはいずれも金融政策据え置き。来週、11月8日(火)に控えた米大統領選を前に、どこも動きづらくなっています。
そんななかで注目しているのがBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])。
利下げも辞さないとしていたカーニー総裁ですが、最近の英ポンド安に対して懸念を示しており、今回は利下げ見送りが濃厚。それに対して、英ポンドがどんな反応を見せるのか、注目です。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
テクニカルを見ると英ポンドはいつ上がってもおかしくないのですが、フラッシュクラッシュがあったばかり…。流動性が確保されるまでは手を出しづらいですね
【参考記事】
●原油上昇と金反落が米ドル/円をサポート。105円突破すれば109円台へ上昇濃厚!(10月13日、西原宏一)
英ポンドと同じく追加利下げの予想があった豪ドルもCPIがよかったことなどから、今回は見送りとなりそう。
金融政策ウィークですが、やっぱりすべて据え置きでしょうかね。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: その他地域経済指標の推移)
■雇用統計は大きく下ブレない限り、米12月利上げ変わらず
豪ドルはとくに材料もなく上昇していたのですが、こうしたとき背景にあるのはだいたい鉄鉱石の上昇。今回も鉄鉱石の急騰が豪ドルを押し上げていました。
中国リスクも後退していますしね。中国の経済実態を反映するものとして、鉄道貨物輸送量や銀行の融資残高、電力消費をもとにした「李克強指数」という指数があるんですが、今年(2016年)に入って上向いています。
また、中国では先週(10月24日~)、六中全会が終了。習近平氏への権力集約が顕著となったようです。国営企業の整理、合理化路線が続けば、コモディティの過剰在庫も片付いてくるでしょう。
中国が本当に復調するのならコモディティ市場全般のサポート材料となりそうですね。それから今週、11月4日(金)には雇用統計もあるんですよね。
予想だとNFP(非農業部門雇用者数)は16.9万人程度。ハードルは低いので、よほど大きく下ブレしない限り、12月利上げのシナリオは崩れないでしょうね。
米雇用統計は11月4日(金)21時30分の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
来週、11月8日(火)の米大統領選の結果がわかるまで大きな動きは出にくいかもしれませんが、米国株が上昇しているわけでもないのに日経平均、米ドル/円は非常に強い。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
(出所:株マップ.com)
今週(10月31日~)も引き続き米ドル/円の押し目は買っていく戦略でいいでしょう。
【参考記事】
●なぜ、日本株と米ドル/円はじりじり上昇? カギ握る中東マネー。ドル/円は109円台も(10月27日、西原宏一)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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