週末にキューバ―のカストロ前議長が死亡した。もうそろそろだと思われていたから、それ自体は大した驚きではない。キューバとアメリカが国交回復のほうに向かっているので、オバマ大統領は必要以上に丁寧なお悔やみの言葉を発した。これも当然のことである。
問題はトランプ氏である。彼はキューバの政治体制の在り方をさんざんに避難してきた。それでも当選後の柔軟な姿勢から見ると、マイルドな言葉を発するのではないかとの期待もあった。
しかし実際に出てきた言葉は、実に辛辣なものだった。やはりトランプ氏は変わらないのか。これが間接的にマーケットに不安を与えた。週明けのマーケットでは朝からリスクオフに傾いた。
ドル円は112円台で始まり、113円台乗せをトライするものの無念に終わった。そしてアジア時間の午前中に111円台まで沈んだ。先週末は114円台を臨んでいたのだから、そこから見ると急落といってもよい。ドル円ほどではないがユーロドルもいちおうのドル安方向には進んでいる。
そして111.36まで安値を付けた後に、戻しも強烈で112円台まで回復するものの、やはり急落の後だけに売りのプレッシャーも強い。一筋縄では上がっていかない。
先週末の高値が113.89までだったのだから、その半値戻しは112円台の中盤である。戻っても112.60あたりまでかなとあたりをつけると、なかなか112円台にのせたところからは買っていくのはツラい。
しかしニューヨーク序盤ではドル円は112.70あたりまで上がってきた。さすがにテクニカル的な売りものも集まってきて、動きは鈍くなった。また経済イベントも全くないのだから仕方がない。
月末に控えているOPEC総会の結論を出すための会合でも、芳しいコメントは出てきていない。市場には不透明感が漂い、米国株も軟調に推移した。
リスクオフの動きが顕著に表れているのはユーロ円であろう。ユーロ円は120円ちょうどが壁のように重たくなった。トライはしたが、付けきれなかったので、ついに投げ売りに転じたということなのだろう。ドル円もニューヨーククローズにかけては再び軟化。そして111円台に逆戻りしている。
今晩もリスクオフの流れに注目したい。ドル円がにわかにショートカバーするようなことがあったら、そこは売り場になると見きって、逆張りでショートメークしたいところ。もしもトランプ相場の反転が来るのであれば、それもそれで結構、大きな相場になりそうである。
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